正月がどんど焼きとともにあとかたもなく去り、
成人式も終わった立春までのこの期間の
エアポケットのような静けさが好きだ。
(実際のエアポケットは要注意空域だが)
妻は早朝から道場へ、その後句会、その後
新年会、と一日いない。長男は仕事、次男は
ひたすら勉強、クーは寝ている、と我が家は
真空状態。
そこで私は隠れ家へと向かう、ふふふ…。
私の好きな谷根千(谷中・根津・千駄木界隈)
の中でも三ツ星の蕎麦屋「三里」
(「三星」じゃないですよ!)
ここが案外知られていないんだなあ。
以前、ぶらぶらしていて偶然見つけてからは、
お気に入りの隠れ家にしている。
行くのはもちろん、昼下がり。
ランチの客がいなくなるころを見計らって座り、
ゆっくりと蕎麦と酒を堪能するのだ。
カウンターのみのこじんまりした店内は、
清潔であたたかい。
店主は蕎麦はもちろんのこと、料理の素材、
酒、空間づくりにもこだわりのある知的な
職人。でも決してそれを声高には主張せず、
物腰が丁寧なところもいい。
香りがいい~。
酒は今日は「四季桜」。
「菊姫」も捨てがたいが、春待ちの気分で
菊より桜を選ぶ。
そして蕎麦味噌、焼酎の蕎麦湯割りへ…。
ひんやりからまったりへと存分に味わった
あと、今日は田舎せいろでシメ。
(ここの鴨せいろがまた美味いんだ。)
つゆは辛口。蕎麦も引き締まったいい味。
主人は脱サラで蕎麦屋を始めたらしいが、
たいしたものだ。
居合の有段者とおっしゃっていたから、
きっと蕎麦に対する気合も集中力も鍛えられ
ているのだろう。
背筋を伸ばして、「ご馳走さまでした!」
もちろん、帰りは谷中までぶらりぶらり。
いましたよ!今日も。
この光景を見ないでは
それにしても仲良く
みんな太っているね。
地域の人達にかわいがら
れているからだろう、とても人懐っこい。
そういえばこの地域は犯罪が少ないそうだ。
隣近所の付き合いが密で、犯罪者が入り込み
にくいからだという。
空き巣に入ろうとウロウロしていると、
「どうされました?お困りですか?」と親切に
声をかけられてしまうらしい。いいねえ!
やっぱり猫に優しい街は住みよい街なんだ。