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デザイナーの色メガネ

写真付きで日記や趣味を書く

向田邦子という女性

2007-05-14 00:25:23 | アート・文化

Img_4836

前回の記事にご登場いただいた、葉山の風流人ご夫妻が、

帰り際にくださった麦と花(←ご本人たちも名前がわからない)。

ガラスの花瓶に入れて庭のテーブルに置いた。

麦の穂にクーが激しく反応するので、部屋に置くのは諦め、

デッキに飾ったのだが、これがなかなか優雅でいい。

午後の光の中で眺めると、ちょっと物憂い美しさがある。

さて、こうして連休も終わった先日、私は世田谷文学館の

『向田邦子 果敢なる生涯』展へ行った。

Mukouda0121 私は向田さんのドラマを殆ど知らない。

というか、テレビドラマというものを

見ないのだ。

ただ、この私のブログにコメントをくださる

方に向田ファンが、なぜか多いので、

「こlれは、なにかあるな…」とエッセイを

読んだのが、最近のこと。

感想は…「巧みだなあ。」

女性ならではの視線で表現された心理描写が、読むほどに

私自身のおおまかな感受性との違いをありありと浮かび上

がらせ、愕然とさせられた。

感受性といっても、対、人との感受性だった。が…

果たして、文学館での数々の展示を見て、人以外の

モノや、理想とする精神、表現者の使命に対する

彼女の感受性をも知らされたのだった。

膨大な数の自筆のシナリオには、どれもたくさんの訂正が

入れられ、その部分を読むと、彼女の表現への真剣さや、

それに伴う苦悩がきりきりと感じられた。

死別された恋人との書簡からは、深い愛情が汲み取られ、

また、妹想いの優しく聡明な姉の姿には哀しくなるほど

だった。

旅行と写真も大好き、そして動物、ことに猫をこよなく

愛していらしたとか。

上の写真、向田さんの頭上にある猫の絵がお気に入り

で、その下のソファによく座っていらしたという。

この猫は藤田嗣治の作品だったと思うが、館内にも

展示されており、なんとも味わいがあった。

私は、向田邦子の世界Img_4879

の初心者だが、

この企画展は

ずいぶん愉しめた。

以前よりのファンの方には、

是非いらしていただきたいと、

そして感想をお聴きしたいと思った次第。

この日、庭に咲いたクレマチス。

向田さんの姿と重なる、光と影のある美しい風情だった。


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12 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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チャーマンさま (大根の月)
2007-05-14 11:22:12
チャーマンさま
ご無沙汰しています。
益々ご活躍の様子、何よりと存じます。

「向田邦子果敢なる生涯展」いいですねぇ~~。
とっても行きたいです。けど・・、東京は不案内で・・・、詳しい地図を付けていただいてるのに、アホな事いいますけど。
東京はホンマにわからへんのです。
行けるとしても、日帰りになるやろうし・・・
日帰りでは・・・、間違ってウロチョロしてる暇ないですしねぇ・・・。

最近、畑仕事が忙しくて、晴耕なんだけど・・・雨パソコンがナカナカ出来ません。
数年前富良野で買ってきた、紫詩人(北海道で作出された、ラベンダー)が咲きだしました。この花にかなり遅れて、English lavenderが咲きます。
咲きましたら、お約束のlavender stickをお送りします。
「もうちょっとっ!、まっとくれやっしゃ」

あぁ・・・、いきたいワァ・・・向田邦子展。



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チャーマンさん こんにちは (Torahiko)
2007-05-14 16:50:17
チャーマンさん こんにちは

僕は今日のブログで浅井忠を取り上げたのですが、浅井も大変な愛猫家だったようです。
チャーマンさんのブログを訪ねると、向田邦子が愛猫家だったとあるではないですか・・・
猫つながりですね。(^o^)

向田邦子のドラマは数本僕は見ています。『寺内貫太郎一家』などはただただ楽しく見ました。『阿修羅のごとく』や『あ・うん』は奥が深いと云うことが感覚的にわかっても、その根本に辿り着くことはできないままです。

51歳の若さで不幸な事故で急逝されているのが残念ですね。

麦の穂はクーにとっては猫じゃらしなのでしょうか。

先日見た『迷宮美術館』での北斎ですが、竜虎の肉筆画の落款『百』。感激しました。90歳の北斎が百までには自分の境地を極めたいという願いがあるということですが、芸術家のすさまじさというようなものを感じました。

この場をお借りして
大根の月さん お元気のようで何よりです。そうですか・・・晴耕雨パソコンだったのですね。京野菜なども作られているのでしょうか・・・?最近僕のブログもさぼり気味だったのですが、今日から漱石先生のシリーズを始めましたので、良かったら覗きに来てくださいね。
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チャーマンさんが向田邦子さんを記事にしてくれて (ねこぼーし)
2007-05-14 20:38:05
チャーマンさんが向田邦子さんを記事にしてくれて
とても嬉しく思っています。
長くラジオやテレビの脚本家として活躍した彼女が
乳がんを患ったあとの後遺症でリハビリ中に書いたエッセイ
「父の詫び状」は多くの人の心を動かしました。
私も最初に読んだのはこの本で、その流麗な文章の魅力に
いっぺんにファンになりました。

向田邦子は突然現れ、すでに天才だった…とは山口瞳氏の言葉。
妹の和子さんの店「ままや」では優れたオーナーの顔が見えます。
…こういった逸話は調べなくてもすらすら出てきます。
自分でもよっぽどの向田ファンだなあとちょっと照れくさい。

チャーマンさんがエッセイを読んで感じた「巧み」という感想は
すごく的を得ていると思います。
うますぎるのです。テレビ脚本を長くやっていたせいか
読んでいると「造った」部分がちょっと感じられるのですよね。
でも魅力的な文章であることに変わりはありません。

冒頭の写真の麦と紫の花。向田さんが好みそうな風情です。
チャーハンでもたくさんの材料を組み込むよりも
一種類か二種類の具材できっぱりとした味を際立たせる…。
そんな粋な性格の向田さんの喜びそうな写真です。
(ああ、いくらでも語れます。企画展に行ってみたい…)。
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大根の月さん、こんばんは! (チャーマン)
2007-05-14 23:24:59
大根の月さん、こんばんは!

お元気そうで、良かったです。
しばらくお見かけしないので(あちこちで…)、どうされたかなあ、と心配していました。
Torahikoさんも、同じ思いでいらしたようですね。

私が向田さんのエッセイを読んだのは、大根の月さんの影響ですから、来ていただいて嬉しいです。
「大根の月」と、お名前まで向田さんの作品名からとられるとは、よほど素晴らしいのだろう、と思ったわけです。
(会場で、「大根の月」の朗読も聴いてきました。)

おかげさまで、今回の企画展を楽しむことができました。
それに、私もファンになりましたよ。

さて、畑仕事が忙しい季節なのですね!
以前、お聞きしたところでは、相当広い面積でしたから、これから収穫の秋までは、たいへんなことでしょう。

「紫詩人」という名のラベンダーは初めて聞きました。
lavender stickを、送っていただけるのですか!
おお、ものすごく楽しみです。できれば畑の写真なども拝見できたら、嬉しいですけれど…。

あ、しかし、あまり無理をしないようにしてください。
ではまた、雨の日にでもぶらっといらしてくいださいね。

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Torahikoさん、こんばんは。 (チャーマン)
2007-05-14 23:45:53
Torahikoさん、こんばんは。

浅井忠も猫好きでしたか。
向田さんは猫、そして猫族を愛していらしたそうで、ケニアへ何度か旅行されてライオンの写真を撮られていましたよ。
「私はどうして、こんなに猫族に魅力を感じるのだろう。」と日記に書いてありました。

まさに果敢なる生涯を送られたのですが、その最期も衝撃的でしたね。
突然、すっぱりと逝ってしまわれ、その深い余韻がいまだに人々の心を揺らしているようです。

さて、「迷宮美術館」をようやく観ました。
北斎は、自分をとことん信じた人、という印象を受けました。
型にはまらず、限界を設けず、ひたすらに自分の模索まで信じて生きた。(そんなことを意識してはいなかったでしょうけれど、才能がそうさせたのですね、きっと。)
だから、あれほど自在な肉筆画を90歳にして描くことができたのでしょう。
あれは、まだまだ高みを目指している絵ですね。
そこが素晴らしい、と思いました。
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ねこぼーしさん、こんばんは。 (チャーマン)
2007-05-15 00:16:02
ねこぼーしさん、こんばんは。

コメントを読ませていただいて、向田さんの魅力が、また大きくふくらみました。

そうなんです、エッセイを読んで「造った」部分を感じた、のです。
まさに、ねこぼーしさんのおっしゃるとおり!
それが、嫌ではないのですが…。

作家が「造る」のは当然ですが、向田さんの作品は、舞台のようにできあがっている。だから、日常のようでありながら、日常の肌に馴染まないような、奇妙な違和感がありました。

それは、脚本を書いていたから、とは、ねこぼーしさん!
ものすごく納得のいく説明です。
すっきりしましたよ。

麦と紫の花、私も向田さん好みかな、と思っていました。
紫のイメージを強く感じたのです。

そうです、きっぱりとした優しい紫です。

可愛がっていらした猫たちの写真もたくさん展示されていて、本当にねこぼーしさんに観ていただきたかったです。
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こんにちは♪ (ねじっこ)
2007-05-15 14:10:23
こんにちは♪
魅力的な企画がまたあったのですね。
知的できりきりと気働きのよく利く、勝ち気な女性。
向田さんという人は、わたしのなかではねこぼーしさんのイメージとダブります。(勝手な思いこみですからね、あくまでも)
そんな自分を上手に押し包むだけの筆力もたたえた人でした。
>膨大な数の自筆のシナリオには、どれもたくさんの訂正が入れられ、その部分を読むと、彼女の表現への真剣さや、それに伴う苦悩がきりきりと感じられた。
ああ、わたしもそれを観てみたいものです。
決して才気煥発というタイプではなく、大変な努力のひとだったのですね。
感情の「澱の部分」を、丁寧に何度も何度も裏ごしして描いたようなあの世界は、そうして生まれていたのですね。
わたしはあの方を天才と思ったことは一度もないのです。
むしろとことん普通の女性で、だから支持されているのでしょう。
猫の絵と、ソファでくつろぐ写真は有名ですね。トップの写真の、すっきりとした麦と鮮やかな紫の花も、向田さんにふさわしい風情をたたえています。
我が家の長女が「あ・うん」を読んで号泣したのは16歳のとき。
彼女の心の、どういう部分に触れたのかは分かりませんが、今もよく読んでいるそうです。


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おはよございます^-^ (早乙女)
2007-05-16 09:59:48
おはよございます^-^
チャーマンさん~♪
早乙女です。

向田さん私も存じています。
私のような浅学非才の者でもビビッと心にきますね~☆
読書が楽しいと感じた10代を思い出されます(^-^)b
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ねじっこさん、こんにちは。 (チャーマン)
2007-05-16 13:34:42
ねじっこさん、こんにちは。

私は向田さんとねこぼーしさんのイメージは、ダブリません。
どぢらかというと、ねじっこさんとダブリます。
ご本人は「ヒエ~ッ!」と驚かれるかなあ…でも、うう~ん、やっぱりねじっこさんです!

物静かで落ち着いた雰囲気だけれど、とても熱いところがある、そんなところがね。
ねこぼーしさんは、茶目っ気があってちょっと子供っぽいような…。
(あ、このコメント、ねこぼーしさんもチェックされそうなので、このへんで)

向田さんは、私も「天才!」ではないと感じました。
天才のような強引さはなく、まさに自分をしっかり見つめていきることの努力を惜しまなかった人だと感じました。
私は作品をそれほど知ってはいないので、直感ですけれど。

麦と紫の花に向田さんを感じていただけて、とても嬉しいです。
言葉でぐだぐだと表現するよりも、この写真の方が雄弁ですね。

お嬢様が「あ・うん」を呼んで号泣されたのですか。
素敵ですね。そんなに豊かな感受性を持っていらっしゃる、それは宝物です。
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早乙女さん、こんにちは! (チャーマン)
2007-05-16 13:42:50
早乙女さん、こんにちは!

浅学非才だなんて、浅学な人は言わないと思いますけれど…。

私も読書家とはほど遠い生活をしてきたのですが、ここへ来てくださる方たちはなぜか読書家が多いんですよ。

ですから、最近はビジュアル本ばかりでなく、活字本の方へもちょっとシフトしています。
早乙女さんは10代に、どんな本を好んで読まれていたのかなあ。
また記事にしてください!
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