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アムネスティーの死刑制度の問題の背景情報

2012-03-29 | 死刑問題
我が国は、国際社会の責任ある一員として、死刑廃止に向かう世界の情勢も十分に考慮しなければならない。現在、全世界の7割に当たる141ヵ国が、法律上または事実上死刑を廃止しており、アジア太平洋地域においても41ヵ国のうち28ヵ国が、法律上または事実上、死刑を廃止している。東アジアでは、韓国が2008年に事実上の死刑廃止国となり、現在まで14年間、執行を停止している。本年3月13日には、モンゴルが「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の第2選択議定書(いわゆる死刑廃止議定書)に公式に加入した。死刑廃止に進むこれらの国の多くで、世論の多数は死刑の存置を支持していた。アメリカは死刑存置国ではあるが、全50州のうち16州と、コロンビア特別区が死刑を廃止しており、昨年11月22日にはオレゴン州知事が任期中の執行停止を表明した。

冤罪の危険性も、死刑廃止の重要な論拠である。とりわけ、現在も再審請求の審理が続く袴田事件では、代用監獄や捜査取調べ中の自白強要など、冤罪につながる日本の刑事司法の問題点が、数多く指摘されている。そして、2011年12月26日には、冤罪の決定的な証拠ともなりうるDNA鑑定の結果が提出された。国家が引き起こす冤罪による長期間の拘禁と処刑は、「究極の不正義」である。刑事司法から誤判の可能性を完全に拭い去ることができない以上、死刑という取り返しのつかない刑罰を行使すべきではない。
死刑の犯罪抑止効果についても、科学的な研究において、死刑が他の刑罰に比べて効果的に犯罪を抑止するという確実な証明はなされていない。死刑と殺人発生率の関係に関する研究が1988年に国連からの委託で実施され、1996年と2002年に再調査されているが、最新の調査では「死刑が終身刑よりも大きな抑止力を持つことを科学的に裏付ける研究はない。そのような裏付けが近々得られる可能性はない。抑止力仮説を積極的に支持する証拠は見つかっていない」との結論が出されている。また、いわゆる「みせしめ」としての死刑は、人間の生きる権利を、その他の政治的社会的な目的のための手段とする発想であり、国際人権基準に照らして許されるものではない。

アムネスティは、死刑判決を受けた者が犯した罪について、これを過小評価したり、許したりしようとするわけではない。しかし、被害者とその遺族の人権の保障は、死刑により加害者の命を奪うことによってではなく、国家が経済的、心理的な支援を通じ、苦しみを緩和するためのシステムを構築すること等によって、成し遂げられるべきである。


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