先日言語学の授業で課題を出したところ、ある学生が
私の「Loveの語義」という論文を読んで、次のように
書いた。
「英語の辞書の中でloveが様々な意味を持っている
ことに驚いた。日本では神への愛というのはほとん
どないことだと思う。日本では「神を愛する」とい
うことは少し負のイメージさえでてくる。」
これは、ギリシャ語に愛を表す言葉が3種類あること、
英語にもその語義が受け継がれていることを解説した
文を読んで書いたレポートで、まじめな好青年の評で
ある。
今日ますます愛の意味が、聖書の説く愛から遠ざかっ
ていることは承知しているが、この学生の感想を読ん
で驚いた。しかし、日本の現状をよく表していると思
った。今日の日本はキリスト教にとって難しい時代で
あると言える。
課題に出した拙著
沼野治郎「私が接した言葉をその文脈」1999年

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