午後、早川書房のK池さんからの電話により、ロバート・シェクリイさんが今月9日に亡くなられたことを知る。享年77。死因は脳動脈瘤の合併症だったらしい(シェクリイのオフィシャルホームページ)。
SFを読み始めた頃、シェクリイはいちばん好きな作家の1人でした。短編集『人間の手がまだ触れない』に収められた「専門家」には強く心を揺さぶられたことを覚えています。
宇宙や未来社会を舞台にした作品が中心でしたが、アイデアは特に科学的なものではなく、アシモフのいう「社会科学的SF」の代表的書き手の1人といっていいかもしれません。
ひねりの効いた皮肉なプロットは、SFならではの視点の変換に支えられていて、少年時代、世界とどう向き合うかを探っていた頃に強い影響を受けたものでした。
1970年代以降は日本に紹介される作品もほとんどなくなり、ピーター・ニコルズ編の連続講演集『解放されたSF』(原著1976年、翻訳は1981年。東京創元社)で名前を見た時にはなつかしく感じたものでした。
その講演「驚嘆すべきものの探求」は、フィリップ・K・ディックのピンチヒッターとして急遽登壇したもののようでしたが、そこで彼がひどい吃音に悩んでいたことを知り(独り言もどもってしまうとか)、気の毒に思うと同時に、何か作風と関係があるのだろうかと考えをめぐらせたものでした。
多くのものをいただいたことを感謝しつつ、ご冥福をお祈りいたします。
日没後の散歩は月と火星のランデブーを眺めながら。
今夜、両者は本当に接近しています。見たところ、月の直径の3~4倍ぐらいの隔たりがあるだけ。もしかしたら、明るいうちに蝕があったりしたのかなあと考えてしまいました。
それから、八十八さんが森下先生の講座に提出した2作品を少し手を入れて、送ってきて下さいましたよ。どさっと。森下先生も、寒いのでかぜひかないでね。 まさ子
お互い、風邪には気をつけましょう。
いまシェクリイの本は入手しづらいのですが、復刻中の異色作家短編集に『無限がいっぱい』が入っています。