惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

人斬り与太

2014-12-03 20:29:20 | 映画

 亡くなられた菅原文太さんとの出会い(スクリーン上での)は、1972年の深作欣二監督『現代やくざ 人斬り与太』でした。

 

 深作作品との出会いといってもよかったのですが、続編『人斬り与太 狂犬三兄弟』、そして〈仁義なき戦い〉シリーズへとなだれ込んでいった頃は、劇場通いが特別なものだったように思えます。
 私にとっては一連の「深作×菅原」作品が日本映画の最高峰なのかも。

 

 やくざ映画とはいえ、それまでの東映任侠路線とはまるで違っていました。義理人情を謳いあげる様式美とは無縁の、暴力への渇望。モラルや掟を振り払い、狂気の沙汰へ突き進んでゆく男の姿には、激しい戦慄を覚えます。と同時に、すべてを脱ぎ捨てた時、人間には何が残るのか。根源的なヒューマニズムへの問いかけもあったのではないでしょうか。

 

 主演した菅原さんの個性が、そうした作柄にぴったりでした。怖くて、美しくて、もろくて、激しくて、哀しい。

 

 ですから、〈トラック野郎〉は私にとっては余計なものでした(あれもまた菅原さんだったのではあると思いますが)。
 私にとって、菅原文太は深作監督と組んでこその俳優でした。

 

 素晴らしい映画をありがとうございました。あなたの映画を観ることで(そして晩年の言動に触れることで)、私の人間観・人生観は大きく影響されました。ご冥福をお祈りします。


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