見ました、昨夜のNHK教育「趣味悠々 中高年のための楽しいサイクリング生活入門」。
高千穂遙さんが出るというので、その勇姿を見るのが目的。でも、走るところは一瞬しか映らなかったな。1秒くらいか。あっと思ったら、すぐにインタビューへ突入してしまった。あれは武蔵野公園?
インタビューでは、ひたすら自転車の効用と楽しさを伝道するばかりで、NHK出版から出ている『自転車で痩せた人』のことも口にさせてもらえない。もう少しゆったりとした編集をすればいいのに。
『徳富蘇峰 終戦後日記――「頑蘇夢物語」』(講談社)を読んで、蘇峰老の頑固ぶりに驚き、あきれ、圧倒される。
終戦直後から口述筆記した手記は、敗戦の原因(昭和天皇・軍・政治家・官僚)を指弾し、皇国日本がマッカーサーに蹂躙されることを憤る。最初、自分の言うことを聞いておれば戦争には勝てたものをとしきりに悔しがっていたのが、だんだんと陸軍・海軍の体たらくが明らかになるにつれて「幻滅せざるものはない」というに至る。
そしてさらに――
- 露骨にいえば、戦争中は、全く日本は嘘で固めて来たようなものである。ただ莫迦正直なる我等が、その嘘を、そのまま信用して、今更ら幻滅を感ずるに至りたる次第であれば、我等は実に莫迦の骨頂といわねばなるまい。
明治・大正・昭和と常に言論界の先頭に立ってきた老人は80歳を過ぎてなお意気軒昂である。戦争を断固支持し、国民を鼓舞してきた自らの責任を回避することなく、しかし、自分は間違っていなかったと自負する。その硬骨ぶりは見事というしかありません。
でも、敗戦の事実を受け入れて、これからどうやってゆくかという実際的方面にはまるで考えを及ぼそうとしないんだなあ。過去の日本を背負いこみ、自爆するような感じ。
その点、蘇峰老は責めていますが、マッカーサーと会い、今後の日本がどうあらねばならないかを考えていた昭和天皇の方が賢明だったと思います。
しかし、この本では老人の賢明さではなく、頑迷さを尊ばなくてはならないでしょう。
読後、自転車で多磨霊園に出かけ、蘇峰老人のお墓に「『頑蘇夢物語』拝読しました」と報告しよう思ったのですが、どうしてもお墓に行き当たりませんでした。
今まで何度もお参りしているのに、あの「待五百年後」と記した百敗院泡沫頑蘇居士のお墓はどこへ行っちゃったのかしら。また出かけなくっちゃ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます