オトコはつらいよ!? ~CNS 坂コーの独り言~

急性・重症患者看護専門看護師である坂コーの手探りなブログです。

このブログについて

はじめまして。 都内某大学病院ICUで働く専門看護師の坂コーです♪ 心にうつりゆく医療や看護に関する事をそこはかとなく書いていくブログです。 2019年4月からこちらにお引越し↓↓↓↓↓↓

BLS

2012-02-28 23:33:15 | 循環
今日はBLSについて。
去年はAHAのBLSインストラクターとして、自分の職場でインストをやらせてもらったんで軽く整理しておく。

BLSはBasic Life Support、つまり一次救命処置のことで、医療者と名のつく人は新人だろうが定年間近だろうが出来なきゃダメってやつである。
また、大切な家族を守りたいと願う一般の方も是非知って欲しい内容。

まずこの図を見て欲しい

あまり厳密ではないが
「心臓が止まってから」、「呼吸が止まってから」、または「多量出血」の状態から、時間の経過による死亡率を示したもので
心臓停止後約3分
呼吸停止後約10分
多量出血後約30分
を経過すると、50%が死亡してしまうことを意味している。

例えば突然の心停止。救急車呼んであたふたしてたらあっという間に5分経過→もう助からないとなってしまう。
こうならないためにも早期の介入が不可欠。

前置きが長くなってしまったが今日はBLSについて。

①まず人が倒れてたら安全を確認する。
 安全が確保されていないところでの救命活動は二次被害予防のためにも大事。

②意識と呼吸の確認(5秒以上10秒以内)
「大丈夫ですか」と両肩をたたいて確認←麻痺があると悪いから。
 呼吸してないか、死戦期呼吸か(あえぎ呼吸)をcheck!
 10秒以内に分からないようなら呼吸してないって事で助けを呼ぶ

③助けを呼ぶ。119番、AED持ってきて~!!
 一人じゃ戦えない。とにかく人を集める。チームで協力して蘇生する。
 いくら胸骨圧迫してても不整脈が治る訳じゃない。あくまで胸骨圧迫は時間稼ぎ。AEDを早くかけることが大事。

④頸動脈の触知(医療関係者じゃなきゃこれは見なくても良い)5秒以上10秒以内
 これも分からなかったら10秒以上時間をかけないで胸骨圧迫スタート

⑤胸骨圧迫開始。胸骨圧迫と人工呼吸の割合は30:2。
 胸骨圧迫のポイントは速さ(100回以上/分)、深さ(5cm以上)、手の位置(胸骨の下半分)、押したらしっかりと戻す(Chest Recoil)、中断は10秒以内
 とにかく強く早く押す。胸骨がメリメリってなるくらい押す。そのくらい押しても普段の心臓の一回拍出量にはかなわない...。
 
⑥AEDが来たらショックをかける
 まずAEDがあれば(到着したら)電源を入れる。そうするとAEDが次に何をすればいいか教えてくれるからその通りに動く。
 ショックが必要なのはVF,Pulseless VTの2つ。Asystole,PEAはショック不要。AEDが判断してくれる。
 2分おきに勝手に解析してくれるからそのときに胸骨圧迫する人を交代する。疲れる前に交代するのがポイント(疲れを感じた時点で有効な胸骨圧迫が出来ていない!)
 解析の時とショックをかけるときは傷病者に触っちゃダメ。電源も切っちゃダメ。

⑦ショックをかけたら直ちに胸骨圧迫を再開。


と、BLSの流れはこんな感じ。
どんな名医でも最初の5分に出来ることは大きく違わない!?
まずは人を集めること、そして胸骨圧迫。いかにAEDを早くかけるか。

さて、胸骨圧迫をやり始めたはいいけどいつまで続けるべきか。
勝手にやめてはいけない。
やめていいのは2つだけ。
1つは傷病者の意識が戻る(痛ったいなぁ~的な)。もう一つは救急隊やACLSチームが来たとき。
これまでは頑張って続ける。




とざっくり重要だと思うことに関してまとめてみました。
やっぱり心肺停止は時間との勝負でスペシャリストが到着するのを待ってたら到底助からないのが現状です。
近くに居合わせた人がその場で動けるか動けないかが何よりも大事ってことで、是非周りの大切な人を助けられる人でいたいと思います。

今日のは大人に関してのものですが他にも小児、乳児に関する内容や窒息に対する対応なども網羅しているコースなので受けていない方には是非オススメです♪

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BLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアル AHAガイドライン2010準拠
American Heart Association
シナジー

ショックの4つの病態-閉塞性ショックー

2012-02-25 22:48:44 | ショック
さて最後は閉塞性ショック(obstuctive shock)について整理する。

閉塞性ショックの病態は、心臓や大血管の充満または排出を障害する物理的要因による血圧の低下、ということになる。

この病態を呈する絶対覚えなきゃいけない3つの病気があって

・心タンポナーデ(Cardiac Tamponade)
・緊張性気胸(Tension Pneumothorax)
・巨大肺塞栓(PE:Pulmonary Enbolism)

この3つはあっという間に患者がヤバイ状態になってしまうので緊急の対処が必要!

ひとつずつ見ていく。

心タンポナーデは心臓と心外膜の間に液体が大量に貯まることによって心臓が拡張できなくなる。
そのため左心室に十分に血液を貯留できなくなって一回拍出量が減ってショックに陥ってしまう。
うちのICUは外傷ほとんど来ないから、この状態を見るとしたら心外の術後とかかな。稀だけど。
術後はドレーンが心嚢と胸骨下に入ってるんだけどしっかりドレナージが効いてないと詰まってしまうかも!
例えば術後
出血多い→プロタミンでヘパリンを拮抗させよう→よしよしドレーンの量が減ったぞ→あれ?CVPが高い。血圧低くてC.Iも低い...。
受け持ち看護師はドレーンの性状とか量をちゃんと観察する。
適切なミルキングを行う。大事な事だな。
(ちなみにヘパリンの半減期は1時間くらいだから投与中止後4-6時間経過するとプロタミンは投与する意味がない)
診断は昔から言われているBeckの三徴ってのがあって

・血圧低下
・静脈圧上昇(頚静脈の怒張)
・心音微弱

ということなんだけど、これらの所見があったら心臓外科の先生にお願いしてエコーしてもらうといいんじゃないかと!
もし心タンポナーデでミルキングしてもダメなようなら再開胸とか心嚢穿刺で圧迫をとってもらいましょう。


次は緊張性気胸
これはこっちまで緊張しちゃうような緊急の対処が必要!

緊張性気胸は肺実質の急な収縮、胸腔内圧の上昇による空間占拠、および縦隔の偏位により血行動態変動をきたすとともに呼吸機能の低下をきたす。
この診断は臨床所見でつけなきゃダメ。レントゲン撮影を待ってると心臓が止まってしまう。
だから
呼吸音減弱、非対称性胸郭運動、SpO2の急激な低下、除脈、頸動脈の怒張、皮下気腫拡大
などの臨床所見で診断する。
救命処置としては第二肋間鎖骨中線上に針を穿針してまず脱気。その後胸腔ドレーンを挿入。
こういうのは本を調べている時間ないから看護師もどう対処するのか頭に入れとく必要がある。
ICUでは人工呼吸器管理の人がかなり多いし、COPDの人もよくみかける。
こんな人が急に状態悪くなったら「あれ?もしかして緊張性気胸??」なんて疑う必要があるかもしれない。


最後は肺塞栓症について。
肺塞栓症は静脈、心臓内で形成した血栓が飛んで急激に肺血管を閉塞することによって起こる。
その閉塞源の約90%以上が下肢または骨盤内静脈といわれている。
つまり下肢深部静脈血栓症(deep venous thrombosis: DVT)の予防がとても大事と言うことになる。
またまた看護師の腕の見せ所!
私のICUでは弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法、カプロシンの皮下注などで予防している。
何より早期離床が大事。
診断としては
Virchowの三徴:血流の停滞、血管内皮障害、血液凝固能の亢進
は肺塞栓症の素因となるけどなかなか難しい。
まず肺塞栓の疑いが低い、中くらい、高いものに臨床的可能性を系統立てすることが推奨されている。

治療としては肺塞栓症が疑われて抗凝固が禁忌でないなら診断テストの結果を待つ間にも、未分化ヘパリンまたは低分子ヘパリン療法を開始する。
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)が正常値の1.5-2.5倍になるようにコントロール(正常;24-36秒)
内服のワーファリンは1日目からスタートしてPT/INR(プロトロンビン時間 国際標準比)が2-3でコントロール(正常値;1)
2日間治療域に維持できれば5日後にはヘパリンをoffにしてOK。
また症例によっては血栓溶解薬の使用も考慮する。



ということでショックを4つの病態に分けて浅くはあるけどザァーっと見てきました。
一つ一つがボリュームあるのでまた別の機会に丁寧にまとめていきたいと思います。
あくまで参考程度で詳しくは本とかで確認してくださいね。

この調子でブログ続けていきたいと思うので応援よろしくお願いします♪


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ショックの4つの病態-血液分布不均等性ショックー

2012-02-22 14:14:34 | ショック
『継続』
継続は力なり。凡なる力を変えられるのは継続だけである。
高校の野球部の部訓の一つ。私の苦手なこと。
凡人の私はこのブログを頑張って継続させていきたいと強く思ってる。

さて、今日は血液分布不均等性ショック(Distributive Shock)について整理する。
あまり聞き慣れない言葉かもしれないが、病態は末梢血管の緊張低下による血管拡張によるもの。
簡単に言うと血管がダラーンとする(血管抵抗が下がる)と血液がそこにプールされて心臓に戻って来にくくなる。
Distributionとは分配する、という意味。
血液量は減ってないんだけど血液の配分が変わってしまったショック。それが血液分布不均等性ショックと理解するといい。

あまり聞き慣れない血液分布不均等性ショックだけど、敗血症性ショック(Septic Shock)とかアナフィラキシーショックとか神経原性ショック(Neurogenic Shock)なんかはよく聞く名前かと思う。
これらはすべて血液分布不均等性ショックである。
今日はこの中でも臨床で遭遇する事の多い敗血症性ショックについて整理したいと思う。


敗血症の病態は感染に対するサイトカインや、細菌がつくる毒素によって血管が拡張することにより起こる。
血行動態の特徴は心拍出量が正常~増加、体血管抵抗が低下、心室充満圧が低下~正常。
循環血液量が不十分であれば心拍出量は低下する。十分な補液が行われていれば、血管拡張のために四肢は温かく、拡張期圧は低下し脈圧は増加する。ここは他のショックと異なる点である。

それではまずは言葉の整理から。

敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック...。この言葉を混同して使ってることが多いと思うが実はそれぞれ使い分けがある。

○敗血症(sepsis):全身症状を伴う感染症のこと。つまり感染+SIRS(全身性炎症反応症候群)。2002年頃大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)とは関係ないので混同しちゃダメ。

SIRS(systemic inflammatory response syndrom)の診断基準は以下の4つの診断基準のうち2つ以上を満たすものをいう
・体温:36℃以下 or 38℃以上
・脈拍:90/min以上
・呼吸数:20/min以上 or (PaCO2:32mmHg以下)
・白血球:12000/mm³以上 or 4000/mm³以下 (or 10%以上の幼若球出現)

SIRSの診断基準は軽い風邪の人とか手術後の人でも満たしてしまう。でも、それぞれの項目の基準値からの逸脱具合や経過からの正常化などで重症度や回復過程をとらえることができる。
とりあえず敗血症=感染+SIRS!これは大事。

○重症敗血症(severe sepsis):敗血症に臓器機能障害・循環不全(乳酸アシドーシス、乏尿、急性意識障害など)あるいは血圧低下(収縮期血圧<90mmHgまたは平時の収縮期血圧より40mmHg以上の血圧低下)を合併するもの。

○敗血症性ショック(septic shock):敗血症で適切な補液でも血圧低下(収縮期血圧<90mmHgまたは平時の収縮期血圧より40mmHg以上の血圧低下)が持続する。血管作動薬使用により血圧が維持されている場合でも、臓器機能障害・循環不全(乳酸アシドーシス、乏尿、急性意識障害など)がある。

このように敗血症、重症敗血症、敗血症性ショックは定義されているので覚えておく。


では敗血症性ショックに対しどう戦っていくか考える。
感染に対してやることは循環を維持しながら
・抗菌薬の投与
・感染源のコントロール
である。

抗菌薬の投与はまず適切な培養検体を取ってから行うのが理想。
①疑われる病原体、疑われる感染臓器、②感染源として疑われる臓器から得られた検体のグラム染色、③可能性のある薬剤耐性菌の評価、④患者の合併症、を元に適切な初期治療薬を選択する。
抗菌薬の投与はearly(ショックの1時間以内に!)かつbroadに行う。初期治療を外すと予後が悪くなってしまう。培養結果がでた後はその感受性に合わせて抗菌薬を調節する(de-escalation)

感染源のコントロールは創洗浄やデブリドマン、カテーテルの抜去などがある。


あとは重症敗血症のガイドライン、いわゆるSSCG(Surviving Sepsis Campaign guidelines)の敗血症における初期蘇生プロトコールであるEGDT(Early goal-directed therapy)は覚えておく必要がある。

・中心静脈圧(CVP):8-12mmHg
・平均動脈圧(MAP):65mmHg以上
・尿量:0.5ml/kg/hr以上
・ScvO2:70%以上
この4項目をゴールとしこれを6時間以内に達成する。

これにより敗血症性ショックの死亡率は減少するといわれている。

治療は医師が考えるものだから看護師はそこまで知らなくていい。
なんていう先輩がたまにいるがそれは非常に危険だ。どのような方向性で治療をしているか、これから何が起こりそうかなど予測することは知識がないとできない。
また知識がないと意図的に情報を拾うことができなく治療につなげることが難しいと思う。

色々勉強しなきゃダメだから看護師も大変だ(笑)

今日は敗血症性ショックを中心に血液分布不均等性ショックを整理した。
感染に関しては別の機会にもう少し深めて勉強したいと思う。

ショックはあと閉塞性ショックを残すのみ。

継続できるよう頑張ります。よろしくお願いします。

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ショックの4つの病態-心原性ショックー

2012-02-18 16:09:42 | ショック
前回は循環血液量減少性ショック(Hypovolemic Shock)について整理した。
血が減ってるから一回拍出量も減っちゃう。心臓は回数で一回拍出量を維持しようとして心拍数を上げる。戻ってくる血も少ないから中心静脈圧(CVP)は下がる。末梢では大事な臓器に血液送るために血管しめるから末梢血管抵抗は上がる。皮膚表面は血が少なくなるからひんやりする。
これに対して輸液や輸血で循環血液量を確保しつつ、循環血液量が減っちゃう原因に対し対策をとる。ここまでが前回の復習。

補足。私のICUはあまり外傷が来ないから救急の同期からの話を元に知識だけ。
外傷のショックは9割が循環血液量減少性(出血性)ショックである。
骨折は意外と出血が伴う。簡単に出血量を予測する早見表はこちら。



今日は心原性ショック(Cardiogenic Shock)について整理する

心原性ショックはその名の通り心臓のポンプとしての機能がおかしくなって心拍出量が低下して起こる。
まずは心臓のおさらい。

心臓は両サイドを肺、前は胸骨、後ろは胸椎、下は横隔膜に囲まれた縦隔の中にある。
ざっくりいうと左斜め下、左斜め前を向いている。
              
2つの心房と2つの心室に4つの弁がある。
全身から還ってきた血液は上・下大静脈から右心房→(三尖弁)→右心室→(肺動脈弁)→左右肺動脈→→左右肺静脈→左心房→(僧帽弁)→左心室→(大動脈弁)→全身と流れる。
なので右心系は肺循環(小循環)、左心系を体循環(大循環)という。全身に血液を送り出すのは左心室なので当然一番でかい。
略語でよく言われて混乱することも多いので軽くまとめると

心室はV(ventricle)、心房はA(atrium)、右はR(right)、左はL(left)
大動脈Ao(aorta)、肺動脈PA(pulmonary artery)、肺静脈PV(pulmonary vein)、上大静脈SVC(superior vena cava)、下大静脈IVC(inferior vena cava)
三尖弁 T弁(tricuspid valve)、肺動脈弁 P弁(pulmonary valve)、僧帽弁 M弁(mitral valve)、大動脈弁 A弁(aortic valve)

慣れるまでは何で略語使うんだよ、わかりズライじゃん、と思ってたがなれると略語の方が話しやすい。お互いが共通認識してるかが大事。

話は戻って
心臓は1分間に60~100回拍動し一回約70ml、1分間に約5Lの血液を送り出す(安静時)
心臓の筋肉には筋肉の収縮・拡張により血液を送る固有心筋と、固有心筋を動かすための電気刺激の発生と伝導を行っている特殊心筋がある。
特殊心筋で形成する刺激伝導系が正常に機能することにより心臓は最大の機能を発揮する。

刺激伝導系
洞結節(sinus node)→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ繊維

これが正常に機能しない(不整脈)とポンプとしての機能が損なわれてしまう。


心臓というポンプは全身に血液を送らなきゃならないし休むことは許されないので、酸素や栄養をたくさん必要とする。
これを心臓におくる血管が冠動脈である。
これが詰まる病気が狭心症や心筋梗塞である。

冠動脈は大動脈の基始部(根本のところ)から2本でてて右冠動脈(RCA:right coronary artery)と左冠動脈(LCA:left coronary artery)に分かれる。
左冠動脈はさらに左前下行枝(LAD:left anterior descending coronary artery)と左回旋枝(LCX:left circumflex coronary artery)に分かれる。分かれる前の部分を左冠動脈主幹部(LMT:left main trunk)という。
冠動脈には番号が付けられていて番号で大体どの辺の話か分かる。

まず最初に覚えるのは番号は全部で15番まであるということ。
それで#1~#4は右冠動脈の番号。番号の若い方が中枢側(根本の方)。
つまり4番が詰まるよりも1番が詰まった方がヤバイっとこと。
#5~#15は左冠動脈の番号で#5が左冠動脈主幹部(LMT)。
#5が詰まると左側全滅だから完全閉塞では突然死ってことになる。
#6~#10が前下行枝で、#11~#15が回旋枝。
それぞれの中で番号が若いところが詰まるほどヤバイ。
冠動脈が詰まると、酸素や栄養がこない心臓は働けなくなってポンプとしての働きが損なわれる。


前置きが大変長くなったけど心原性ショックは虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や心筋炎による心機能の低下、弁膜症や心室中隔欠損による機械的・構造的欠陥、不整脈などのために心臓のポンプ機能不全が生じ、心拍出量の低下により起こる。

心拍出量は低下、脈拍は回数で補うため上昇(不整脈が原因であれば低下することももちろんある)、心臓から前に血液を送れないから後ろにたまるので動脈圧はやたら低いのに静脈圧はすごく高い(血圧低下、PAWP上昇→肺うっ血、CVP上昇、頸動脈の怒張)ということになる。

治療は心筋機能の改善で血管が詰まってるならカテーテルで広げたり薬で溶かすとか、不整脈なら薬使ったりペースメーカー入れたりということになる。
心不全の治療に関してはフォレスターの分類が参考になる。肺動脈楔入圧(PAWP:pulmonary artery wedge pressure)は正常値が6~12mmHgで肺動脈圧(PAP)の拡張期圧と近似する。
PAWPの上昇は左心不全、減少は循環血液量の減少を示唆する。

 (フォレスターの分類)
 



今日はここまで。何か話がどんどん広がって広く浅くになっちゃうから困る。
不整脈とか虚血性心疾患とかまた詳しく整理してアップしていきたいな。

残るショックは閉塞性ショックと血液分布不均等性ショック。
がんばります。
よろしくお願いします♪

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ショックの4つの病態-循環血液量減少性ショックー

2012-02-13 16:35:17 | ショック
前回の続き

酸素の需要と供給のバランスが崩れて、供給を上回る需要が生じている結果がショックだよ、ということは前回まとめた。
具体的に酸素バランスを評価していく指標にSvO2(混合静脈酸素飽和度)、ScvO2(中心静脈酸素不和度)や乳酸値(Lac)がある。



どのくらいの酸素が供給できているかはCO,Hb,SaO2(SpO2)で大体予測できるが組織での酸素消費量を直接みることはできない。
そこで全身を回ってきた血液の中にどのくらいの酸素が残っているかをみることで大体予測することができる。
SvO2が65%以上あれば組織の酸素が十分足りていることが多い。もしそれ以下なら酸素の需要と供給のバランスが負になっている可能性がある!
CO,Hb,SaO2,臓器の酸素消費量などが今どうなっているのか、と考える必要がある。
乳酸(Lac)も全身の酸素バランスの指標の一つである。エネルギー(ATP)を産生するとき酸素不足の状況では嫌気性解糖が行われその結果Lacが生じる。詳しくは別の回で勉強しようと思うがLac上昇は組織の低灌流と関係していることが多く、重症患者のLacの増加は生存率が低くなるといわれている(正常値:2μmol/l以下(18mg/dl))

ショックと一言で言ってもその病態から4つの病態に分けることができる

・循環血液量減少性ショック
・血液分布不均等性ショック
・心源性ショック
・閉塞性ショック

全てのショックがどれか一つの病態に当てはまるということではなく、複数の病態を合併していることもある(混合性ショック)ので色々考えることが大事。
あれ!?敗血症性ショックはどこに含まれるんですか?出血性ショックは??
それぞれ血液分布不均等性ショック、循環血液量減少性ショックに含まれる訳でとりあえずこの大きく分けた4つを覚えると良さそうだ。
それでは一つずつもう少し詳しくみていく

○循環血液量減少性ショック
まず人間の体にはどのくらいの水分があるかざっくり考える。一般的に体重の60%が水分で細胞内液はそのうち40%、細胞外液は20%を占める。細胞外液のうち15%は組織間液で残る5%が血漿である。

では循環血液量とは何だろう。
簡単に言うと血液のことである。血液は血漿成分と血球成分に分けられる。ヘマトクリット(Ht)は血液中に占める血球の体積を示すもので%で表される。
Ht40%なら血漿が体液の5%と考えると5×0.4 = 体重の2%が血液中の血球成分と考えられる。
そんなわけで循環血液量は体重の7-8%くらいとイメージするといい。
これを踏まえて
循環血液量減少性ショックとは血管内の内腔容積に対して血管内の血液量が低下して生じるショックである。
出血や脱水はイメージしやすいが熱傷や膵炎など血管内から間質へ水成分が移行しても起きるから難しい。
循環血液量が減ることにより前負荷が減り一回拍出量が減る。代償的に脈拍が上がって末梢をしめて血管抵抗をあげる。
代償が働くことで一般的に循環血液量の30%未満の喪失であれば血圧は維持されるといわれている。だから血圧が保たれている = 出血はないです。とは言えない。血圧が下がる前に呼吸数や脈拍、意識レベルなどに変化があるはず。総合的に患者をとらえることが大事な理由はそこにある。最初に気づけるのは患者の近くにいる看護師の特権!

ではどのように対処するか。2本柱があって
・血管内容量の補充
・さらなる血管内容量の損失の予防
である。血が出てるなら輸液したり、血を止めたりしましょうということ。
目標は平均血圧(MAP)65以上(MAP = 拡張期血圧 +(収縮期血圧-拡張期血圧)÷3)と酸素供給の確保(SaO2,Hb,CO)。



とりあえず今日はここまで。時間がかかる上になかなか進まない(T_T)
めげずにコツコツ続けていきたいですm(_ _)m♪

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