オトコはつらいよ!? ~CNS 坂コーの独り言~

急性・重症患者看護専門看護師である坂コーの手探りなブログです。

このブログについて

はじめまして。 都内某大学病院ICUで働く専門看護師の坂コーです♪ 心にうつりゆく医療や看護に関する事をそこはかとなく書いていくブログです。 2019年4月からこちらにお引越し↓↓↓↓↓↓

JINGRのすすめ

2019-03-08 02:07:00 | 研究
というタイトルで、看護管理に1ページコラムを書かせていただきました。

JINGRというのは、
Jikei Icu Nursing Group for Resarch
の略です。
簡単にいうと、私の施設で作っている看護研究のグループです。

今年度は、私がリーダーを務めさせていただきました。
メンターの先生やメンバーに支えられながら、
フォローして学びを促しているようで、実は自分が一番勉強になったと感じる一年でした。
このグループから、集中治療医学会に2つ演題が出せたのも良かったです。
この活動を、自分がいなくなった後も続くようなものにしていかなければいけないなぁ、と思います。




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PADISガイドライン2018

2018-10-21 08:33:36 | 研究
先週、誕生日を迎えて34歳になりました。
ちょうど誕生日の日に、院内抄読会の担当がありまして、眠れない日々を過ごしていました。
今回の抄読会のお題は、PADISガイドライン2018です。
PADISは
Pain(痛み)
Agitation(不穏)
Delirium(せん妄)
Immobility(不動)
Sleep(睡眠)
の頭文字です。

2013年に発表された PADガイドラインの5年ぶりの改訂版です。
日本版に改定されたPADである、J-PADガイドラインは読みやすいので、まだ読んだことがない方は見ておくといいと思います。

今回のガイドラインには、
Immobility(不動)とSleep(睡眠)の2つの関連するトピックスを追加されたり、
共同研究者および共著者に患者を含めたりと、バージョンアップされています。

読んだ感想は、
ガイドラインのほとんどが弱い推奨だったので、臨床を大きく変えるインパクトは、そこまでないと思います。
でも、かなり看護に焦点を当てた内容が増えている印象があって、普段の看護を改善させるヒントが満載でした。
2013年と比較すると長期のアウトカムも評価しようとしていたのが印象的です。
PICSが普及して来たことも背景にあるんだとおもます。
痛みはもちろんですが、鎮静もせん妄も睡眠もしっかりと評価することから始まります。
特別なことではなくても、組織的に徹底してやることが大事だな、と改めて考えさせられました。

もし良ろしければ、 抄読会のスライドも見ていただけると嬉しいです。
実践のヒントや感想、フィードバックをお待ちしています。


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ICUの患者の記憶について考える

2018-04-29 02:47:37 | 研究
尖った帽子の小さな日本人の男が天井に登った。彼は照明器具と煙探査機を動かし、ベットの周りを飛び回った。彼は蒸発器を使い私を興奮させた。
私は人工呼吸器に繋がれていたので話すことができなかった。
私は警察に連絡しようとしました…

J Clin Nurs. 2014 Mar;23(5-6):634-44.


これは、術後に感染症性ショックに陥った50歳男性の記憶の記述です。
この患者さんは、25日間ICUにいて、そのうち6日間は深い鎮静、4日間はせん妄で、それ以外はCAM-ICUが陰性でした。

ドイツ人の妄想的記憶に小さい日本人男性が出てくるところがなんともおかしいですが、ICU退室後もこのような記憶が患者を長期的に苦しめています。

今回、勉強会で、
急性ストレス反応および妄想記憶は、なぜ、その後の精神疾患と重要な関連があるのか?
それについて何ができるのか?
について考えてみました。

この領域に対して、私たちに出来ることはきっと多く、患者さんはそれを必要としていると思います。
ご興味のある方は、ぜひスライドを見てください。

この本にも、人工呼吸器を受けた患者さんの記憶やそれに対する対応が書いてあるので、是非!


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第45回集中治療医学会を終えて

2018-02-27 06:25:11 | 研究
久しぶりに更新します。

まずは、クリティカルケア看護学会の演題登録ですが、なんとか間に合いました。
内容は、早期リハビリテーションに関する実態調査です。
診療報酬改定で早期リハビリテーションに加算がつくことが決定したので、プロトコールを作っていうえでも、現在の状況を整理しておきたいなぁという気持ちからです。

そして、2/21から2/23までの3日間、幕張で集中治療医学会でした。


今回は演題を出していなかったのですが、 共同研究させていただいた論文が奨励賞に選ばれ、筆頭研究者が出席できないため代理で発表して来ました。
貴重な機会をいただけてとても勉強になりました。

せっかくなので、結果の一部を載せますね。
対象者は96名でした。



ストレスはICU-SEQJという尺度を使って測定しました。
ストレスが全くないが1点、非常にあったが5点で質問項目が34項目あるので最低が34点で最高が170点になる質問紙です。
lCU-SEQJ合計点の平均値は85.64点でした。
ストレスが高い項目上位10個です。
「口渇」がもっとも強いストレスで、「話せないこと」、「気管挿管に伴う不快や不安」、「吸引」、「話しにくいこと」、「動くことができないこと」、「痛み」や「緊張」、「コントロール不能」と続きました。



ストレス経験の関連要因は、年齢や性別、入室理由の疾患とは関連がありませんでした。
一方で、就業している、緊急入室、既往歴がないという患者は、有意にストレス経験が強かったです。
働いていていると、仕事のこととか気になって焦っちゃうのかなぁ??
緊急入室だと気持ちの準備ができなかったり、既往歴がないってことは病気に関して免疫がないのかもなぁ…、とかって想像しちゃいますね。



ストレス経験の項目の「痛みにストレスを感じた」、「緊張した」、「入眠できないことにストレスを感じた」について関連因子を検討しました。
rは1に近いほど関連が強いことを示します。
すべての項目は気管挿管に関することと弱い関連を示していて、「痛み」は、コントロールできないことや睡眠困難と、「緊張」は会話困難、中途覚醒、自由に動けないことと、「入眠困難」は処置や騒音とと関連していました。



rの説明はちょっと難しかったので、良さそうなホームページの画像を添付しておきます。
URLはhttp://www.koka.ac.jp/morigiwa/sjs/les10801.htmです。


改めて図を見ると、「入眠できないことと」、「眠ることができないこと」、「中途覚醒」は似たようなことを聞いているのでrが0.824とか0.750とか高い値になって関連していることを示しています。
処置(Procrdures)や騒音(Noise)は0.344とか0.326とかで弱い相関があります。
つまり、処置があったり、うるさいと眠れないわけです。
じゃあ、介入の方向性は…。
処置をまとめて処置のない時間を作ったり、静かな環境を作ると良さそう!って感じに考えられますね。

今回、発表する機会をいただいて、改めて実態を丁寧に分析していくことの大切さを学びました。
この研究から見えてきた要因に対して、現場にいる者として介入を行っていきたいと思います。
そして、それを言語化していくことが大事だと思われます。
よーし、頑張るぞーーー!!!


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ICUのベットサイドの写真

2017-12-10 03:50:03 | 研究
写真の持つパワーってすごいなぁと、日々感じています。

今年は文春砲でお茶の間のニュースは持ちきりでしたが、あれだって写真がなければインパクトは半減してしまいます。

スーダン・ソンダクは著書の写真論の中で「写真は時間だけでなく空間の薄片でもある」と言っています。

だからこそ、NASAが撮影した「ザ・ブルー・マーブル」をみれば地球のはかなさを感じ、南北戦争での「死の収穫」という写真を見て街にいながらにして戦争を感じることができるわけです。



たった一枚の紙が、時間や空間を超えて、私たちの心を動かします。


ICUで働いていると、時々写真を持ってきてくれるご家族に遭遇します。

元気な頃の患者さんの生き生きとした姿を見ると、その患者さんに対する関心が高まり、その人に合わせた介入がないか模索し始めたりします。
ICUは具合が悪くなってから患者さんに関わることが多いので、写真の元気だった頃の姿や、背景に映る暮らしぶりは、私たちにインパクトを与えます。

ICUのベットサイドにある写真は、私たち看護師にとってどのような意味があるのでしょうか??

そんな、素朴な疑問を解決するためには、まず文献検索をしてみると良さそうですよね。
調べてみるといくつか文献が出てきます。
ここでは、2013年のIntensive and Critical Care Nursing
という雑誌の Patient photographs—–A landmark for the ICU staff: A descriptive study”という論文を紹介します。



17項目のアンケート用紙をICUスタッフに使用した結果がのっています。
各質問項目を、1(強く同意する)、2(同意する)、3(同意しない)、4(強く同意しない)の4段階で評価しています。
ざっと見ると、2番と3番の質問項目が得点が低いので(赤い枠)、皆さんが同意している内容と解釈できます。
2は、写真は、患者を一人の個人として関連付けるのを助ける
3は、自分の実践において、患者を個人として知ることは重要だ
というような項目に、皆さん同意している感じです。

一方で、14,15,16番の質問項目は得点が高くなっているので(青い枠)、皆さんが同意していない内容だと解釈できます。
14は、一般的に、写真は患者が受けるケアに違いをもたらす
15は、写真は私のケアを妨げることがある
16は、写真は、私がいつも望んでいるよりも感情的に患者に関わるように感じさせる
というような項目に、皆さん同意していない感じです。

他にも自由回答に関して、
“getting closer and see the person”“a landmark bringing hope”という2つのカテゴリーが生成されています。
なんとなく、私がICUのベットサイドで写真を見て感じた感覚と、スウェーデンのICUスタッフの感覚が似ていることや、
そういったことをしっかりと研究的に調査する姿勢に感銘を受けました。

そこで、私も質的に“ICUにおける看護師にとってのベッドサイドの写真の意味”について調査しようと思いました。

私は、看護師にとっての写真には、17項目の質問用紙では測りきれない意味があるのではないかと考えました。
そこで、じっくりと写真について具体的なエピソードを通して、何を感じ考え行動したかをインタビューしました。

さて、結果はいかに???




研究の具体的な内容に興味を持ってくださった方は、
日本クリティカルケア看護学会誌13巻3号P11-20(2017)を見ていただけると嬉しいです。

日々何気なく感じることも、一つ一つを流さず向き合うことで、見えてくるものって多いなぁ、と感じます。



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