オトコはつらいよ!? ~CNS 坂コーの独り言~

急性・重症患者看護専門看護師である坂コーの手探りなブログです。

このブログについて

はじめまして。 都内某大学病院ICUで働く専門看護師の坂コーです♪ 心にうつりゆく医療や看護に関する事をそこはかとなく書いていくブログです。 2019年4月からこちらにお引越し↓↓↓↓↓↓

2017年大晦日 ー圧倒的感謝!!ー

2017-12-31 17:35:44 | ひとりごと
気がつけば2017年も大晦日。
今年はCNSとなって初めての年でした。
思い通りにいかないことも多く、「どうやって理想と現実のギャップを埋めていくか?」とモヤモヤもしました。
しかし、結局自分にできることは多くないので、“選択と集中”、意図を持ってNOは言わず、与えられた機会には全力で取り組む事をした1年でした。

出会いやチャンスを与えてくれた皆様に感謝し、チームと協力しながら来年も楽しくカイゼンしていきたいと思っています。

今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

<2017年の執筆>
⋅クリティカルケア領域における身体抑制と看護の実際(看護技術63巻6号 P601-608(2017.05))
⋅困難は分割せよ!コミュニケーションプロセスの視点から考える(呼吸器ケア15巻10号 P1008-1009(2017.10))
⋅メガネをかけるようにAACツールを活用しよう(呼吸器ケア15巻11号 P1108-1109(2017.11))
⋅挿管したまま使えるって本当?電気喉頭について(呼吸器ケア15巻12号 P1214-1215(2017.12))
⋅誰が主役?患者の声なき声を聴こう!(呼吸器ケア16巻1号 P78-79(2018.1))
⋅12時間以上人工呼吸管理を受けたICU入室患者のストレス経験(日本集中治療医学会雑誌24巻4号 P399-405(2017.07))
⋅ ICUにおける看護師にとってのベッドサイドの写真の意味(日本クリティカルケア看護学会誌13巻3号 P11-20(2017.10))

<2017年の勉強会での発表>
挿管患者のコミュニケーション(JC-CC)
家族へのお悔やみの手紙(JC-ICM)
ICU患者家族ケアのガイドライン(JC-CCM)
Post-Intensive Care Syndrome (PICS)


ご興味のある方はぜひ、見ていただけると嬉しいです。
本年も皆様、本当にありがとうございました。
心から感謝いたします!!




毎週日曜日にブログ更新予定(あくまで予定です)!
よーし、2018年もがんばるぞー!!!
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PICS(Post-intensive Care Syndrome)について考える

2017-12-24 00:01:40 | 理論
今月は PICS(Post-intensive Care Syndrome)について考えると言うテーマで、ICUの勉強会を担当させていただきました。
PICSはピックスと発音し、日本語では”集中治療後症候群”なんて訳されたりもします。
せっかくなので少しご紹介します。

医学の進歩とともに、ICUで亡くなる人は少なくなってきました。
ARDSや人工呼吸器による生存率は1990年では40%程度だったらしいです。
それが、2010年には80%に倍増している…、これはすごいことですね。

そうすると、今までは死亡率をいかに減らすかが課題だったけど、ICUを生存する人が増えたことで、その後の課題がより明確になってきました。
病気は何もICUにいるときだけ患者に影響を与えるわけではなく、ICUに入る前から始まり、退室後も、退院後も長期的に影響を与えます。


では、ICUを生存した後の課題…。つまり、ICU退室後に起こる長期的な合併症に対してどのように立ち向かっていくか?

そこで、この領域の専門家たちが集まって会議が開かれました。
それが2010年のアメリカ集中治療医学会の ステークスホルダーカンファレンスです。

この会議で、PICSという言葉が生まれました。
PICSは、
重症疾患後の患者に退院後も持続する、身体機能、認知機能、メンタルヘルスにおける新規または悪化した障害
を指す言葉です。
PICSという言葉をつくることで、その概念の認識を促し、スクリーニングし、疫学、病態生理、治療、予後について明らかにしていくことを期待しています。


従来は、ICUではICUのケアを行うことが多かったかもしれません。


しかし、長期的なアウトカムに焦点を当てた役割の拡大が必要です。


このモデルは 2003年の論文に出ていたものですが、10年以上前からいわれているということがわかります。
少しずつ変わりつつありますが、まだやれることはたくさんあると感じる今日この頃です。

微力ながら、できることを周りを巻き込みながら行っていきたいなぁ...。
だって、患者と家族のゴールは生存ではなく、可能な限り最高の生活に戻ることだから。

ご興味のある方はぜひ、 スライドを見ていただけると嬉しいです。

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困難は分割せよ!コミュニケーションプロセスの視点で考えてみよう♪

2017-12-17 18:42:00 | 理論
以前コミュニケーションについて少し紹介しました。
ICUでは人工呼吸器を使用している患者さんと、うまくコミュニケーションがとれないことがあります。

ICUの看護師が ONE PIECEの見聞色の覇気が使えたら、患者さんの声なき声を聴き、介入につなげることができるはずです。



でも、そんな特殊能力は現実にはないわけです。
ないんですけど、挿管中の患者さんとうまくコミュニケーションをとれる人と、苦手な人がいるのはなぜでしょう?

センスと言ってしまえばそれまでなので、あえてここでは少し頭でっかちに考えてみます。

「困難は分割せよ!」と昔の偉い人が言っています。
私も、何か行動ができなくなった時は、パッキングと分解をイメージします。

「脳はあらゆる作業をパッキングしたがる」らしいです。
先送りせずにすぐやる人に変わる方法 (中経の文庫 さ 17-1)
つまり、細かく小さなことを、脳は一つのまとまった概念として取り扱おうとします。
その方が抽象的に物事を考える時にうまくいきます。

しかし、脳にパッキングされた仕事は、いざそれを実行しようとするときにとても難しく感じるそうです。これが「すぐできない」原因になる…、わかる気がします。
そこで、パッキングされた仕事は、小さく分解していく。
あえて抽象化した概念を、分解して具体化していくイメージです。
このイメージを意識するようになってから、仕事の仕方が大きく変わったと感じます。

だいぶ話が逸れましたが、困難は分割せよ!
難しいコミュニケーションも、コミュニケーションプロセスを分解して考えてみると解決の糸口が見つかります。

コミュニケーションプロセスモデルを、私なりに解釈して図式化するとこのような感じになります。


メッセージの送り手である患者さんは、考えや感情を共通のシンボルである言語・非言語メッセージに変換(記号化)し、何らかの媒体を通して(チャネル)メッセージを伝えます。
私たちは、受け取った記号を解読し、メッセージの意味を解釈(記号解読)します。解釈するためにはメッセージの内容(コンテンツ)だけでなく、これまでの文脈や背景(コンテクスト)が重要になります。
そして、これらの要素以外にそれぞれのプロセスにおいてコミュニケーションに影響を与える要素(ノイズ)が存在します。
お互いがメッセージの送り手にも受け手にもなり、相互作用関係が形成されます。

少しわかりにくいので、患者Aと医療者Bのコミュニケーションを例に考えてみます。

挿管中のAは喉の渇きを感じ、言葉になる前の形のない感情を工夫して伝えるようとします。
挿管チューブにより言葉が出せないため、身振りと口パクという非言語的メッセージに変換します(記号化)
Aの身振りや口パクをBは視覚を媒介にして(チャネル)メッセージとして受け取ります。
メッセージを受けたBは、挿管されている状況や口腔内の乾燥、これまでの経験など(コンテクスト)を考え合わせ、送られてきたメッセージ(コンテンツ)から「口渇でつらい」という意図を読み取ります(記号解読)
せん妄や過鎮静は記号化に影響を与えますし(ノイズ)、言葉が出せないことや、筋力の低下はチャネルに影響を与えます(ノイズ)。医療者側の先入観や時間がない状況は記号解読に影響を与えます(ノイズ)

このように考えると、コミュニケーションを改善する視点としては、
①患者が考えや感情を記号化できるか
②患者が記号化したメッセージを発信できるか
③医療者が受信した記号を解釈できるか
 がありそうですね。

同じ困難な状況でも、見え方が少し変わってきませんか?
見え方が変わると、行動が変わります。

少しでも、ヒントになったら幸いです。

今回の内容は、呼吸器ケア10月号に一部執筆させていただきました。

ご興味があればそちらも読んでみてください。

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ICUのベットサイドの写真

2017-12-10 03:50:03 | 研究
写真の持つパワーってすごいなぁと、日々感じています。

今年は文春砲でお茶の間のニュースは持ちきりでしたが、あれだって写真がなければインパクトは半減してしまいます。

スーダン・ソンダクは著書の写真論の中で「写真は時間だけでなく空間の薄片でもある」と言っています。

だからこそ、NASAが撮影した「ザ・ブルー・マーブル」をみれば地球のはかなさを感じ、南北戦争での「死の収穫」という写真を見て街にいながらにして戦争を感じることができるわけです。



たった一枚の紙が、時間や空間を超えて、私たちの心を動かします。


ICUで働いていると、時々写真を持ってきてくれるご家族に遭遇します。

元気な頃の患者さんの生き生きとした姿を見ると、その患者さんに対する関心が高まり、その人に合わせた介入がないか模索し始めたりします。
ICUは具合が悪くなってから患者さんに関わることが多いので、写真の元気だった頃の姿や、背景に映る暮らしぶりは、私たちにインパクトを与えます。

ICUのベットサイドにある写真は、私たち看護師にとってどのような意味があるのでしょうか??

そんな、素朴な疑問を解決するためには、まず文献検索をしてみると良さそうですよね。
調べてみるといくつか文献が出てきます。
ここでは、2013年のIntensive and Critical Care Nursing
という雑誌の Patient photographs—–A landmark for the ICU staff: A descriptive study”という論文を紹介します。



17項目のアンケート用紙をICUスタッフに使用した結果がのっています。
各質問項目を、1(強く同意する)、2(同意する)、3(同意しない)、4(強く同意しない)の4段階で評価しています。
ざっと見ると、2番と3番の質問項目が得点が低いので(赤い枠)、皆さんが同意している内容と解釈できます。
2は、写真は、患者を一人の個人として関連付けるのを助ける
3は、自分の実践において、患者を個人として知ることは重要だ
というような項目に、皆さん同意している感じです。

一方で、14,15,16番の質問項目は得点が高くなっているので(青い枠)、皆さんが同意していない内容だと解釈できます。
14は、一般的に、写真は患者が受けるケアに違いをもたらす
15は、写真は私のケアを妨げることがある
16は、写真は、私がいつも望んでいるよりも感情的に患者に関わるように感じさせる
というような項目に、皆さん同意していない感じです。

他にも自由回答に関して、
“getting closer and see the person”“a landmark bringing hope”という2つのカテゴリーが生成されています。
なんとなく、私がICUのベットサイドで写真を見て感じた感覚と、スウェーデンのICUスタッフの感覚が似ていることや、
そういったことをしっかりと研究的に調査する姿勢に感銘を受けました。

そこで、私も質的に“ICUにおける看護師にとってのベッドサイドの写真の意味”について調査しようと思いました。

私は、看護師にとっての写真には、17項目の質問用紙では測りきれない意味があるのではないかと考えました。
そこで、じっくりと写真について具体的なエピソードを通して、何を感じ考え行動したかをインタビューしました。

さて、結果はいかに???




研究の具体的な内容に興味を持ってくださった方は、
日本クリティカルケア看護学会誌13巻3号P11-20(2017)を見ていただけると嬉しいです。

日々何気なく感じることも、一つ一つを流さず向き合うことで、見えてくるものって多いなぁ、と感じます。



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