オトコはつらいよ!? ~CNS 坂コーの独り言~

急性・重症患者看護専門看護師である坂コーの手探りなブログです。

このブログについて

はじめまして。 都内某大学病院ICUで働く専門看護師の坂コーです♪ 心にうつりゆく医療や看護に関する事をそこはかとなく書いていくブログです。 2019年4月からこちらにお引越し↓↓↓↓↓↓

JSEPTICセミナー<PICS: 集中治療後症候群>

2018-09-09 23:34:56 | 倫理
先週末はJSEPTICのPICSセミナーにICUの同僚2名と参加して来ました。


PICSは2010年のSCCM (Society of Critical Care Medicine)における集中治療と、退室後のケアに関わる専門家による会議で命名されました。

重症疾患後の患者に退院後も持続する、身体機能、認知機能、メンタルヘルスにおける新規または悪化した障害と定義されています。



医療の進歩とともに28日生存率や90日生存率が向上してきてよかったんです。
でも、1年後、3年後の生存率はどーだろう?
QOLはどーだろう?
ということに、あまり注目されてこなかったんですね。
それで、長期にを追って調べてみると、全然HAPPYになっていない現状が見えて来ました。

そこでPICSという概念が登場したわけですね。

今回の参加者は6割が看護師だったようです。
それだけ、PICSに対する看護師の関心が高いわけですね。
そりゃ、命がけで生還した患者さんの先に待ってるものがHAPPYじゃないのは辛いですもんね。

今回、特に印象に残ったのはICU follow up外来です。
退院してからもきちんと患者さんをフォローアップする、とても素晴らしいなぁと思いました。
退院してからも、
・2ヶ月は筋力低下から歩けなかった
・夜中に徘徊したり睡眠のリズムがおかしかったり
・嚥下障害から肺炎になったり…
色々な事例を提示してもらいながら、食事指導や嚥下リハ、眠剤の調整など、命がけで生還した患者さんが生活に戻っていくのに、ICUが関わっていけるのは素晴らしい!!

私の現状では、ICUを退室した後の病棟訪問ですらままなりませんが、PICSを啓蒙するリーフレットなどをうまく活用して、行動に起こしていこうと思います。

患者さんと家族のゴールは生存じゃなくて、可能な限りHAPPYな生活に戻ること。
我々もそのゴールに向けて、一緒にできることがたくさんなるなぁと感じた一日でした。

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MacにEZRをインストールする方法

2018-01-28 00:15:19 | 倫理
クリティカルケア学会の演題登録が1/31までに延長になりましたね。


…、ありがたい。
でも、間に合うかどうか。

今回、データを収集していて、自分には統計の知識が全然ないことを痛感しました。
まぁ、知ってたけど。。。

というわけで、来週これに参加して勉強してきます。

JSEPTIC看護部会 研究セミナー 臨床で活用するデータ処理技法

事前準備としてEZRという統計ソフトを自分のパソコンにダウンロードするようにとのことです。
…、この時点で意外と難しい。
苦戦の末、なんとかインストールに成功しました。
せっかくなので、簡単にインストールの方法をまとめてみます。

まずは このホームページを開きます。
そして、私はMacなのでMac OS X版をダウンロードします。



CRAN(Comprehensive R Archive Network)ホームページをクリックして、



Download R for (Mac) OS Xをクリックし、



R-3.4.3.pkgをダウンロードします。



次に、 http://xquartz.macosforge.orgからX11システムをインストールします。




これでRというアプリケーションができました。


詳しいやり方は、いろいろ調べてみてこのYoutubeの情報がわかりやすかったので、参考にしてみてください。




この後、少しセッティングをすればこの画面になって準備完了です。




来週が楽しみです。
いろいろいじってみて、臨床で使えるようになりたいと思います。

自分なりに解釈できたら、ここで共有しますね。



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ABCDEFバンドルって何?

2018-01-14 15:05:46 | 倫理
ABCDEFバンドルって知ってますか?

2010 年にVasilevskisさんたちが提唱したものです
Reducing iatrogenic risks: ICU-acquired delirium and weakness--crossing the quality chasm.


これは、人工呼吸器装着している患者さんの管理で、せん妄とICU-Aquired weakness を予防するために ABCDE を頭文字とする管理をバンドル(束=全部やる)でやってみようという概念です。
A:Awaken the Patient Daily : Sedation Cessation = 毎日の覚醒トライアル
B:Breathing : Daily Interruptions of Mechanical Ventilation = 毎日の呼吸器離脱トライアル
C:Coordination : Daily Awakening and Daily Breathing = A+B の毎日実践
D:Delirium monitoring =せん妄のモニタリングとマネジマント
E:Early Mobility and Exercise =早期離床


ABCDEバンドルはその後どんどん進化していきます。

CCM2017ではABCDEバンドルはABCDEFバンドルとなりました。

Aが痛みのアセスメント、予防、管理についてとなり、Fの家族の力を活用し、エンパワーすることが追加されました。


このように進化してきたABCDEFバンドルは効果があるのでしょうか?

CCM2017にABCDEFバンドルの効果を研究した論文がありました。
Improving Hospital Survival and Reducing Brain Dysfunction at Seven California Community Hospitals: Implementing PAD Guidelines Via the ABCDEF Bundle in 6,064 Patients.

この研究の目的はABCDEFバンドルの遵守と、病院の生存期間、せん妄・昏睡期間の関係を明らかにすることで、多施設前向きコホート研究です。
6064名のICU患者を対象にしています。


さて、結果やいかに??

対象はおよそ4分の1は呼吸器管理をされており、ABCDEFバンドルの要素すべてに適合しました。
呼吸器管理を受けていない患者は、バンドルの遵守を評価する際にA(SAT)、B(SBT)、C1(SAT+SBT)の要素の対象から外しました。

患者アウトカムと遵守率に関してです。
10人に1人が退院する前に死亡し、ICU在室日数は3日、在院日数は5日でした。
ABCDEFバンドルの遵守率は89%、95%とともに高かったです。



この図は、横軸がバンドルの遵守率、縦軸が生存率を表しています。
上のAはバンドルの要素を全て実施したものを分析していて、下のBは要素を部分的に実施しているものを分析しています。
すべてのバンドルの遵守率が10%増加するごとに、院内生存率が7%有意に増加します。
部分的なバンドルでも、遵守率が10%増加するごとに、院内生存率が15%有意に増加することが示されました。


この図は横軸がバンドルの遵守率で、縦軸にせん妄・昏睡フリーの日数です。
すべてのバンドルの遵守率が10%増加するごとに、せん妄・昏睡フリーの日数が2%増加し、部分的な遵守率が10%増加するごとに、せん妄・昏睡フリーの日数が15%増加しています。

このように、観察研究ですが、ABCDEFバンドルが効果的だという結果が出てきました。

看護師ができることはとても多いように感じます。
実際にやれていることも多いのではないでしょうか。
一つ一つを丁寧に可視化して発展させていけるように、自分も行動していきたいなぁと思います。



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Let’s PubMed search♪

2017-08-13 10:14:45 | 倫理
先日、ICUの抄読会 を担当させていただきました。
今までは、30分枠の担当でしたけど、今回5回目にして1時間枠になりました。

お題は家族の面会に関してです。
そこで、PubMedを使って文献検索をすることから始めました。

スタディサプリを5月に初めて3か月が経ちました。
そう、あの神授業が見放題のやつです。
効果やいかに。。。

PubMedサーチの復習です。

まず、advance を押して検索画面を開きます。

そうすると、検索ワードを入力できる画面になるので、ワードを入れていきます。

ワードを入力したら、一度Add to historyを押します。
このスライドでは、論文の表題(Title)にICUまたはIntensive careが入っているものを検索しています。


すると、検索履歴(History)にICU or Intensive careが追加されます。
この時点では40393件もあるので、とても見ることができません。
そこで、検索ワード話追加していきます。


HistoryのAddをクリックすると、検索ワードに過去の検索履歴を追加することができます。
ここでは、先ほどのICU or Intensive careの他に、Familyとvisit*[ti] or presenceを追加します。
*[ti]をつけることで、visitだけでなく、visitableやvisitantsなども含んで検索できます。
また、面会はvisitだけでなく、最近はpresenceと表現されることが多いので、ここでもor検索をします。


これで検索(Search)をかけてみると...

274件の文献が検索されました。

初期設定では20件ずつしか見れなくて見づらいので、200件ずつの表示に変えてみます。

すると見やすくなったので、上からざぁーと見てみます。
2010年以降だと135件だということがわかりました。


タイトルと雑誌名に注目しながら見ていきます。
Reviewと書いてある文献はある程度過去の文献をまとめてくれているので、その領域についての知識をざっくり得るのに適しているのではないかと私は感じます。
すると、上から13個目に、2017年にCCMからICUにおける家族中心ケアのガイドラインというのが出ているのがわかります。
どの雑誌が良い雑誌かはImpact factorが参考になります。
集中治療領域のimpact factorをいつもご指導していただいている先生がまとめている ので参考にしています。


というわけで、今回の抄読会では Guidelines for Family-Centered Care in the Neonatal, Pediatric, and Adult ICU.を扱わせていただきました。
ご興味のある方は、ぜひICUの抄読会 のスライドを見てみてください。
内容が多くて一部しか扱えませんでしたが。
個人的には、家族ケアは片手間ではできることではないので、ICUスタッフが意識を向けることとその環境を整えることが必要なのではないかと感じます。
物理的に難しい状況の中で、家族ケアは大事だからやりましょうと言ってもみんな辛いので。。。

今回の抄読会に向けてたくさんの英語文献を読みましたが、格段に理解がしやすくなってきた気がします。
スタディサプリと指導してくれる先生に感謝です。
ちなみに、私は高1 スタンダードレベル英語<文法・読解編>をとりあえず一回やりました。
今は復習を繰り返している感じです。
まだまだ、google翻訳やWebip翻訳の力を借りていますが、文のまとまりがどこまでなのかがわかるようになったので、より効果的に扱えている気がします。
興味のある方はぜひ一緒に勉強しましょう♪


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お悔やみの手紙の効果

2017-05-24 04:22:50 | 倫理
今月、 ICUの抄読会を担当させていただきました。

今年の3月末にICM発表され
Effect of a condolence letter on grief symptoms among relatives of patients who died in the ICU: a randomized clinical trial.という論文です。

ICMはIntensive Care Medicineの略で集中治療領域の代表的な雑誌です。
しかも、"SEVEN-DAY PROFILE PUBLICATION"と書いてあります。
きっと、重要な研究だから投稿されてからあっという間に採用・掲載された的なニュアンスの論文だと思われます。

内容は簡単に言うと、ICUで亡くなった患者の家族に対してお悔やみの手紙を送ったら、悲嘆症状は改善するか?を明らかにしようと多施設RCTを行っています。
RCTとは、研究の中でもエビデンスレベルの高い手法です。

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02833_11

介入の効果を調べる研究では対照群(コントロール群)が必要になります。
例えば、よくダイエットのCMで〇〇サプリを飲んだら5kg痩せましたー、っていうのありますよね。
でも、食事療法や運動療法をやってたかもしれないし(交絡因子)、〇〇サプリじゃなくてヨーグレットでも痩せたかもしれません(プラセポ効果)

なので、介入を比較する際に、同じ人に介入する場合と、しない場合を試せたら一番いいですよね?
でも、実際は同じ人間なんて存在しないわけです。

例えば、ドラゴンボールに登場する天津飯は“四身の拳”という技を使えます。


ナルトは“多重影分身の術”という術を使います。


このようなことが実際にできれば、同一人物に介入する場合としない場合の効果を検証することができます。
まぁ、実際には難しいですよね。

そこで編み出されたのがRCTです。
簡単に言うと、RCTは対象をランダム(無作為)に2群に分け、“介入あり”と“介入なし”で効果を見る方法です。
人間は一人一人もちろん違いますが、数が多くなるとグルーピの平均的な特徴は似るという特徴をうまく利用しています。
この方法を用いることで、先ほどのダイエットサプリの話では、食事療法や運動療法などの交絡因子を制御することができます。


話をICMの論文に戻します。

この研究では、ICUに入室した患者で、48時間以上経過して亡くなった患者の家族を対象にランダム化しています。
この研究の介入は、“お悔やみの手紙”を送ることです。

さて、介入の結果はいかに…。




なんか、良さそうな介入に見えますが、介入群の方が抑うつやPTSD症状が多くみられたようです。

うーん、なんでだろう??

私が考えるところによると、
今回のような対象に対して、私たちは相手の状況を考慮しながら様々な工夫をするはずです。
そこには“技”があるわけで、プロトコールで決められた今回の介入では不十分(場合によっては悪影響)だった可能性があるのではないかと思います。

しかし、今回の研究のように、正しいと思われていることを科学的に検証することはとても貴重だと思います。
“看護はアート(技)でありサイエンス(科学)だ”と言われますが、この二つの柱の重要性を再確認するメッセージ性の高い論文ではないかと思います。

詳しい内容にご興味のある方は、ぜひこちらをご覧くださいませ。



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