オトコはつらいよ!? ~CNS 坂コーの独り言~

急性・重症患者看護専門看護師である坂コーの手探りなブログです。

このブログについて

はじめまして。 都内某大学病院ICUで働く専門看護師の坂コーです♪ 心にうつりゆく医療や看護に関する事をそこはかとなく書いていくブログです。 2019年4月からこちらにお引越し↓↓↓↓↓↓

非侵襲的経皮ペーシング

2012-06-18 17:37:43 | 循環
昨日の夜勤は慌ただしかった。
高度の除脈。脈が伸びる伸びる。アトロピン打っても改善しない。
そんな心電図を見ていたらこっちの心臓が止まっちゃいそう(笑)

急変の際まずやることは人と物を集めること。
ひとりぼっちじゃ戦えない。
昨日は遠くから急変の雰囲気が漂ってきたので、受け持ち患者を他のスタッフにお願いして参戦しました。

明らかにペースメーカーの適応っぽいからテンポラリー(リードを静脈から挿入し、カテ先を右室心尖部に留置する体外式のペーシングカテーテル)を挿入しにいかなきゃまずそう。
でもその前にまずは経皮ペーシングですね。
そんなに使う回数が多いわけでもなく、自分で使ったこともない。
今回は先輩方がたくさんいたので無問題だったけど、この機会にこそっと勉強させていただきます♪


経皮的ペーシング(TCP;Transcutaneous pacing)は、胸部の表皮に電極を貼って、電気刺激を送り、心臓の脈を作りだします。
具体的にウチにあるハートスタートXLくんの使い方を取説みながら整理したいと思います。

まずはこの機器の概要から。


TCPをするためには
除細動パッド(電極)、モニタリング電極を患者に貼り、パッド電極をパッドアダプタケーブルに繋ぎます。

左のエネルギー選択ノブをマニュアルモードに合わせます。
右のペーシング操作用コントローラーのペースメーカキーを押すとペーシング機能が起動されて緑のLEDが点灯し画面にこのようなダイアログ・ボックスが表示されます。
設定出来るのはモード(デマンド(脈拍が設定以下のときにだけ刺激する)or固定)、レート、出力の3つです。

開始を押すとペーシングがスタートします!

昨日は上手く経皮ペーシングでペーシングが出来たので、とりあえずテンポラリー入れて何とか落ち着いたけど不整脈ってやっぱりこわい。
座学も大事だけどシミュレーション学習は実践で不可欠!

大変だったけど、とても勉強になった夜勤でしたm(_ _)m♪
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気管内挿管

2012-06-11 13:29:20 | 循環
約3ヶ月ぶりにブログ再開です。
新年度に入り妻の仕事復帰、それにともなう家事育児への参加、病棟リーダーのオリエンテーション、看護研究…と、てんこ盛りでブログの存在すーっかり忘れてました。
6月に入り生活にもようやくゆとりが出てきたので、張り切ってブログ再開します♪

先日リーダーをやっている時、挿管が必要な患者がいました。
受け持ちに挿管になることを伝えると、「介助についたことがありません…」と言われてしまいました。
ICUで働いていれば緊急で挿管が必要になる場合はあるわけで、1年以上ICUに居るのにはっきり介助につけないと断言されちゃうと困っちゃいます(~_~;)
ということで、今回は気管挿管について復習します。

気管挿管の目的や適応、挿管困難が予想される場合や合併症は知識として看護師も持っておいた方がいいので押さえておきましょう。


では実際の場面をイメージしていきたいと思います。

挿管をすると会話は出来ないし、鎮痛・鎮静も必要になり、治療のためとはいえ家族がショックを受けることがしばしばあります。
「昨日はあんなに元気そうだったのに…。」などなど。
緊急でなければ本人はもちろん、家族にもきちんと説明をし同意を得てから行う必要があります。

次に物品を準備しましょう。
私の勤務先ではこんな感じです。
・喉頭鏡
・ブレード
・挿管チューブ
・スタイレット
・ジャクソンリース
・ジャクソンリースに付けるマスク
・カフ用シリンジ
・固定用チューブ
・キシロカインスプレー
・キシロカインジェル
・救急カート
・聴診器
・薬剤(フェンタニル、プロポフォール、マスキュラックスorエスラックス、ネオシネジン)

挿管チューブは事前にカフリークが無いようにチェック。(挿管後リークがあったら大変!!)
キシロカインスプレーを挿管チューブ内に噴射しスタイレットをセッティング。(スタイレットはチューブから飛び出しちゃダメ。スプレーの噴射はチューブが劣化するって噂はあるけど、滑りが悪いとスタイレットを抜く時にてこずる)
ブレードと喉頭鏡はセッティングして電気がつくことを確認しておく(いざ挿管って時に電池切れてたりすると最悪)
さぁ、これで準備は完了です。いよいよ挿管の手順に行きましょう。

まず、体位を整えます。
仰臥位にし少し高めのまくらを入れてsniffing position(スニッフィングポジション)をとらせます。
これは匂いを嗅ぐときのよう鼻を突き出した姿勢で、喉頭展開した時に声門部が見えやすくなります。

次は前酸素化(preoxygenation)です。
ジャクソンリースを用いて十分な酸素化を図ります。(これを前酸素化(peroxygenation)という)
これを行いつつ必要に応じ薬剤投与(鎮静・筋弛緩薬)します。
血圧が下がりすぎちゃう時にはネオシネジンなど使います。
バイタルサインには常に気を配りましょう。

クロスフィンガー法にて開口し、左手に喉頭鏡を持って患者の右口角にブレードを入れます。
舌はブレードで左側によけます。
喉頭展開は喉頭鏡のハンドルを上方前側に力を加えるようにします。(歯をテコの支点にしない。折れてしまう。)
大事なことは声門を確認すること!
唾液などの分泌物が邪魔なら吸引の必要がある。声門部が見にくい時はBURP法を試すと見やすくなります。(輪状軟骨をBackward;後方、Upward;頭側、Rightward;右側にPressure;押す方法のこと)


声門が確認できたら挿管チューブを進めていきます。
目を離すと声門を見失ってしまうから介助者が施行者の右手にチューブを渡してあげます。(向きにも注意!)
声門を通過したら施行者の「スタイレット抜いて」を合図に介助者がスタイレットを抜きます。
この時せっかく入れたチューブごと抜かないように、しっかりとチューブを持っておきましょう。
体深さは女性で21cm、男性で23cmが目安です。
最後にカフにエアーを入れて完了です。

ここまでで挿管は終了なんですけど、ちゃんとチューブが入っているか確認しなきゃいけません。
確認はまず、しっかりと胸郭が上がっているかみます。
次に聴診器で5点聴診(左右の前胸部、左右の側胸部、心窩部)をします。
片肺挿管になっていないか(左右差がある。解剖学的に右に入りやすい。)、食道挿管になってないか(心窩部でゴボゴボとした水泡音)をチェックです。
当ICUではEtCO2のモニタリングを出すのでこれで気管に入っているか確認できます。
チューブのくもりもみましょう。
大丈夫そうならテープで固定し、胸部レントゲン撮影をして最終確認です。(チューブの先端が気管分岐部の2~3cm上。気管分岐部は第4、5胸椎の高さで、前面では胸骨角(第2肋骨付着部)の高さ)
もし、ダメなら慌てずにチューブを抜いて前酸素化からやり直しましょう。



以上が大まかな手順です。
施設によっては違いがあるかと思うので先輩に確認しましょう。
何事もそうだと思いますが、成功の秘訣は準備をしっかりと行うことだと思います。

はじめでも述べましたが、挿管の適応や合併症などは押えときましょう。


久しぶりのブログは大変ですね。張り切りすぎずに細く長く継続して行きたいと思うので、応援よろしくお願いしますm(_ _)m
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