オトコはつらいよ!? ~CNS 坂コーの独り言~

急性・重症患者看護専門看護師である坂コーの手探りなブログです。

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はじめまして。 都内某大学病院ICUで働く専門看護師の坂コーです♪ 心にうつりゆく医療や看護に関する事をそこはかとなく書いていくブログです。 2019年4月からこちらにお引越し↓↓↓↓↓↓

ショックの4つの病態-循環血液量減少性ショックー

2012-02-13 16:35:17 | ショック
前回の続き

酸素の需要と供給のバランスが崩れて、供給を上回る需要が生じている結果がショックだよ、ということは前回まとめた。
具体的に酸素バランスを評価していく指標にSvO2(混合静脈酸素飽和度)、ScvO2(中心静脈酸素不和度)や乳酸値(Lac)がある。



どのくらいの酸素が供給できているかはCO,Hb,SaO2(SpO2)で大体予測できるが組織での酸素消費量を直接みることはできない。
そこで全身を回ってきた血液の中にどのくらいの酸素が残っているかをみることで大体予測することができる。
SvO2が65%以上あれば組織の酸素が十分足りていることが多い。もしそれ以下なら酸素の需要と供給のバランスが負になっている可能性がある!
CO,Hb,SaO2,臓器の酸素消費量などが今どうなっているのか、と考える必要がある。
乳酸(Lac)も全身の酸素バランスの指標の一つである。エネルギー(ATP)を産生するとき酸素不足の状況では嫌気性解糖が行われその結果Lacが生じる。詳しくは別の回で勉強しようと思うがLac上昇は組織の低灌流と関係していることが多く、重症患者のLacの増加は生存率が低くなるといわれている(正常値:2μmol/l以下(18mg/dl))

ショックと一言で言ってもその病態から4つの病態に分けることができる

・循環血液量減少性ショック
・血液分布不均等性ショック
・心源性ショック
・閉塞性ショック

全てのショックがどれか一つの病態に当てはまるということではなく、複数の病態を合併していることもある(混合性ショック)ので色々考えることが大事。
あれ!?敗血症性ショックはどこに含まれるんですか?出血性ショックは??
それぞれ血液分布不均等性ショック、循環血液量減少性ショックに含まれる訳でとりあえずこの大きく分けた4つを覚えると良さそうだ。
それでは一つずつもう少し詳しくみていく

○循環血液量減少性ショック
まず人間の体にはどのくらいの水分があるかざっくり考える。一般的に体重の60%が水分で細胞内液はそのうち40%、細胞外液は20%を占める。細胞外液のうち15%は組織間液で残る5%が血漿である。

では循環血液量とは何だろう。
簡単に言うと血液のことである。血液は血漿成分と血球成分に分けられる。ヘマトクリット(Ht)は血液中に占める血球の体積を示すもので%で表される。
Ht40%なら血漿が体液の5%と考えると5×0.4 = 体重の2%が血液中の血球成分と考えられる。
そんなわけで循環血液量は体重の7-8%くらいとイメージするといい。
これを踏まえて
循環血液量減少性ショックとは血管内の内腔容積に対して血管内の血液量が低下して生じるショックである。
出血や脱水はイメージしやすいが熱傷や膵炎など血管内から間質へ水成分が移行しても起きるから難しい。
循環血液量が減ることにより前負荷が減り一回拍出量が減る。代償的に脈拍が上がって末梢をしめて血管抵抗をあげる。
代償が働くことで一般的に循環血液量の30%未満の喪失であれば血圧は維持されるといわれている。だから血圧が保たれている = 出血はないです。とは言えない。血圧が下がる前に呼吸数や脈拍、意識レベルなどに変化があるはず。総合的に患者をとらえることが大事な理由はそこにある。最初に気づけるのは患者の近くにいる看護師の特権!

ではどのように対処するか。2本柱があって
・血管内容量の補充
・さらなる血管内容量の損失の予防
である。血が出てるなら輸液したり、血を止めたりしましょうということ。
目標は平均血圧(MAP)65以上(MAP = 拡張期血圧 +(収縮期血圧-拡張期血圧)÷3)と酸素供給の確保(SaO2,Hb,CO)。



とりあえず今日はここまで。時間がかかる上になかなか進まない(T_T)
めげずにコツコツ続けていきたいですm(_ _)m♪

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