演出家の蜷川幸雄さんが亡くなられました。
<演出家の蜷川幸雄さんが死去 「マクベス」など国際的に活躍>
(共同通信 2016/5/12 19:34)
http://this.kiji.is/103406914364687861?c=39546741839462401
蜷川さんが演出を手掛け、海外でも高い評価を得たのが
ギリシャ悲劇の「王女メディア」です。
Ninagawa's Medea (1984)
その台本となったのが高橋睦郎修辞の『王女メディア』(小沢書店)です。
帯の文章は蜷川幸雄。
高校生の頃、古本屋で購入しました。

「王女メディア」上演用の台本作成が高橋氏に依頼され、
「上演にふさわしい台本」「こなれた日本語」という条件でつくられたのが
この台本です。
「こなれた日本語」というところで特徴的なのが
「固有名詞の普通名詞化」。
カタカナの人名、神名、地名がたくさん出てくるギリシア悲劇。
予備知識のない人にとっては煩雑でしかありません。
そこで、固有名詞を普通名詞に言いかえることで
予備知識なしでも作品世界に入れるようにしています。
だから「修辞」ということになります。
メディア→奥さま
イアソン→ご主人さま
クレオン→この国の殿さま
ゼウス→大空の親神さま
アテナ→甲冑を頂く戦の女神さま
コリントス→この土地
ギリシアの地→このようにありがたい文明の地
これだと、註釈なしでも理解できます。
上演台本だけでなく、「修辞者とは何か」
海外公演の随行記「メーデイアの国のメーデイア」も
収録されており、当時の評判を知ることができます。
「王女メディア」は蜷川氏から演出を変え、
高橋氏の台本はそのままで上演されています。
「王女メディア」 ダイジェスト映像
平幹二朗主演の公演は終わりましたが、
機会があれば見たいものです。
王女メディア 初日カーテンコール
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