社民党 京都府連合 野崎靖仁 副主席語録
社会民主党 中央規律委員 野崎靖仁、55歳。
日々の思いを綴ります。
 



藤本勝次『マホメット ユダヤ人との抗争』(中公新書)を読む。



イスラム教の開祖ムハンマドとユダヤ人の関係をクローズアップした本です。

・ムハンマドの初期の教えはユダヤ教やキリスト教とは異なる
 「ばくぜんとした一神教」を基礎にしていた。
・アラビア半島にはムハンマド誕生前からユダヤ教やキリスト教が広まっていたが、
 初期ムハンマドはユダヤ教やキリスト教の知識に乏しかった。
・ムハンマドの「ばくぜんとした一神教」は堕落し不正のはびこる
 メッカの多神教の部族社会への批判であり、迫害の原因となった。
・メッカを追われたムハンマドはメディナへと拠点を移す。
 メディナは経済的実権を握るユダヤ部族とアラブ氏族が混在していた。
・ムハンマドはユダヤ教徒の協力を望んでいたが、彼を預言者と認めないユダヤ人と対立。
 メディナから対立するユダヤ部族を追放した。
・ムハンマドと対立するユダヤ教徒は追放され、
 その他のユダヤ教徒はジズヤ(人頭税)と引き換えに信仰を保障された。

聖書の知識の乏しかった初期ムハンマドがユダヤ教徒との対立を契機に知識を深め、
「ばくぜんとした一神教」から「アブラハムの一神教」へと変化していく過程も描かれます。

イスラム教の成立過程を資料を基に論じる内容なので、
日本人イスラム教徒によるムハンマド伝である
鈴木紘司『預言者ムハンマド』(PHP新書)と併せて読むと面白いでしょう。

初めから「完成したイスラム教」を宣教したという信者からの説明と、
「ばくぜんとした一神教」からユダヤ教徒との対立を経て
「アブラハムの一神教」へと変化していったとする本書の説明。

この二つの説明を読み比べてみると、イスラームを、
ある意味「突き放した視点」で見ることができます。

頭ごなしの否定でも護教論でもない、突き放した視点で。


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