社民党 京都府連合 野崎靖仁 副主席語録
社会民主党 中央規律委員 野崎靖仁、55歳。
日々の思いを綴ります。
 



久住昌之(原作)谷口ジロー(作画)『文庫版 孤独のグルメ』(扶桑社文庫)を読む。

扶桑社の『月刊PANJA』誌上で1994年から1996年にかけて
不定期連載していた作品を単行本化したものです。

『月刊PANJA』は週刊『SPA!』の月刊誌版のような雑誌で、
94年から96年まで発行されていました。



「飯テロ」という言葉を生み出した深夜ドラマ「孤独のグルメ」の原作です。

孤独のグルメ


主人公の井之頭五郎は個人で貿易商を営む独身の壮年男性。
下戸で甘党、愛煙家です。

こうした属性は、他のグルメ漫画との差別化で設定されました。

ドラマ版ではゴローさんが出先で実在のお店に入り、
そこの料理に舌鼓を打つのが基本的なストーリー。

実在のお店で撮影されますが、店員や客は役者が演じています。
ドラマではありますが、実在のお店を紹介するグルメ番組です。

酒飲み向けに原作者が登場するミニコーナー
「ふらっとQUSUMI」があるくらいグルメ情報番組として徹底しています。

【ドラマ24】孤独のグルメ Season7 #11


この原作版、特にドラマ化以前の作品を収録した文庫版は、少し趣が異なります。

ドラマ版に登場するのは実在のお店なので「ハズレ」はありませんが、
文庫版ではコンビニで惣菜を買い込んだり、「ハズレ」の店が登場します。

ドラマ版は空腹感をもよおす終わり方ですが、文庫版はペーソスあふれる読後感。

文庫版のストーリー上の縛りは「ゴローさんが何かを食べる」ことだけ。
食事の内容よりは、ゴローさんのモノローグによる心象描写に魅力を感じます。

「グルメ」の要素よりも「孤独」の方が濃い作風です。

ゆえに、家庭とも会社組織とも無縁な独身の輸入雑貨商、という
ゴローさんの基本設定が生きているのでしょう。

家庭にも組織にも縛られない生き方を選んだゴローさんが安らぎを見出すのは、
食欲という生物としての基本的な欲求を満たすときだけ。

そんな不器用で狷介なところのある中年男性の哀感が、
バブル崩壊後の変わりゆく街の風景とあいまって、巧みに表現されています。

90年代の作品なので、ゴローさんが新幹線の座席で喫煙していたり、
秋葉原が電気街だけの街として描写されていたりと、
時代を感じさせる描写もあります。

雑誌に連載されていれば、これだけを目当てに買いたくなるような漫画です。

作画の谷口ジロー氏が亡くなられたので、雑誌に登場することはなくなりましたが。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )






コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )