起業会計

公認会計士による仙台TEOの起業支援活動、会計トピック、監査トピックの解説

子会社の為替換算

2006-04-16 01:22:22 | 監査
連結財務諸表を作るときに、海外の子会社は当然円貨に換算します。
換算に使う為替レートは、次のように決まっています。

資産・負債・・・期末日レート(CR)
損益項目・・・・期中平均レート(AR)
資本項目・・・・取得時レート(HR) (*1)

ということで、上記のように為替換算をすると貸借がバランスしません。
この差額は、「為替換算調整勘定」として資本の部に計上されます。


このように換算レートは項目によって異なるので、監査を行う際にそのチェックを行う必要があります。
今日は、このチェックをやっていました。

サクサクチェックをしていたのですが、こんなことがありました。

利益剰余金の換算で、為替レートがマイナスになっている項目がありました。

外貨 1,000ドル
円貨 -40,000円

つまり換算レートは、1ドル-40円という事になります。
果たしてこんなことがあるのでしょうか?


最初は、過去のレートが変動していても平均化されるから、少なくともマイナスにはならないのでは?と思っていました。
しかし、そうではないのですね。
・・・・

過去のARが円高(例えば100円)で、配当をするときに円安(例えば125円)になると、利益剰余金が外貨ではプラスでも、円貨ではマイナスになることがあるのですね。
まさに換算のパラドックスです。(*2)



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*1
正確には、資本金等の払込金額は、親会社が子会社株式を取得したとき(設立したとき)のレートです。
当期利益による利益剰余金の増加は、過去の損益項目のARを使います。
また、配当による利益剰余金の減少は、配当時のレートを使います。
これは、親子会社間の投資と資本の相殺消去をするためです。
為替レートが違うと消去の際に差額が出てしまうので、同じレートで換算します。

*2
会計でいう「換算のパラドックス」は、一般的には、テンポラル法で換算することにより、外貨と円貨の損益が逆方向になってしまうことを指します。
上記のようなときにはあまり使いませんが、あえて使ってみました・・・。




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