ノイバラ山荘

花・猫・短歌・美術な日日

Y.Sさんへ

2016-05-23 19:00:11 | 短歌
春の終わりに空の欠片を入れて湖に押し出したカヌーが

夏の初めに花束を積んで戻ってきました。


この世に私が生まれてきた意味を

思い出させてくれる小さな花束でした。



大きな空の小さな欠片もまた空であるように、

命のエッセンスの一滴もまた命そのものでありましょう。


大切なものがこめられていれば、

どんなに小さな欠片でも

人の心に届くのだと思います。


短歌という小さな器は

そのために使いたいです。


気付かれにくいかすかな声や日常の地味な行為、

それをすくいとるための短歌という器。



お会いしたこともないY.Sさんが

指摘してくださったのは、

私の歌に見られる

世界・存在への信頼感でした。


そうでした。


父や母、そして私を成り立たせてくれた

すべての存在への無上の信頼こそが

私を成り立たせているものでした。


それは時に裏切られることもあるのですけれど、

信頼することをやめてはいけないのです。


時に誤解もあるからこそ、

言葉を伝えることをやめてはいけない。


信頼できない人と

利益のために手を結んではいけない。


人にはそれぞれの役割があります。

私がそれをしたら、

私の詩は翼を失ってしまう。


そのために与えられた私の命が

輝きを失ってしまう。


そんなことを思い出させてくれた、

小さな花束。


大切に胸に抱いています。

ありがとうございました。





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