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ちょっとした感想(『さよなら、さよならハリウッド』)

2007-09-05 23:27:44 | 映画
 確か1930年代から40年代のハリウッドで全盛をきわめたスクリューボール・コメディでは婚約者たちは不意の闖入者の登場によって結婚のチャンスを奪われるものだと書いていたのは蓮實重彦だったが、この『さよなら、さよならハリウッド』でも、あっけないほどのご都合主義の連続でひとつの婚約関係が破棄されてしまう。

 もしかしたら前妻を新たな婚約者から奪還するためにあれこれと策略をめぐらす男を主人公としたホークスの『ヒズ・ガール・フライデー』をウディ・アレン流にアレンジしてみたということか。自虐的なギャグを散りばめながら、最後は強引に原題( HOLLYWOOD ENDING )通りのご都合主義的なハッピーエンドを用意するなど、そう思わせる節は確かにある。

 かつてのスクリュボール・コメディで活躍したチャールズ・コバーンのような役回りを演ずるマーク・ライデルはなかなかいい味を出していたが、さすがにアレンにはもうケーリー・グラントの役回りは難しいし、ルビッチやホークス、スタージェスなどの爽快感は望むべくもないが、主人公がひたすら神経症的な天然ボケを連発するうちに事態が好転していったのだった。





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