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地球に落ちてきたデッドマンは金髪がお好きな将軍たちの夜

2008年12月17日 | 映画
 ジム・ジャームッシュ監督、ジョニー・デップ主演「デッドマン」をDVDで観る。「ダウンバイロー」でもそうだったが、ジャームッシュにあって川と船は、エクソダスへ誘う装置のようでもある。デップ扮するウイリアム・ブレイクという名前の会計士を助けるインディアンのゲイリー・ファーマー(漫才の東京ダイナマイトの太ったほうに似ている)が実にいい。ディッキンソン社長役のロバート・ミッチャムなど、出てくる男たちのみごとな存在感を楽しもう。

 ウイリアム・ブレイクは18世紀イギリスの詩人。「ドアーズ」のジム・モリソンなどが影響されたとか、ロック・アーチストにけっこう人気な詩人だが、この映画でも、インディアンのノーボディがデップを助けるのも、ブレイクの詩に救われた経験があり、デップ扮する会計士ブレイクを詩人と思ったからなのだった。呪文のように口ずさまれるブレイクの詩。映画そのものがブレイクへのオマージュといわれているけれど、ブレイクをしっかり読んだことがないので、よくわからない。

 ハワード・ホークス監督、ジェーン・ラッセル、マリリン・モンローのグラマラス・コンビ主演「紳士は金髪がお好き」、ニコラス・ローグ監督、デビット・ボウイ主演の「地球に落ちてきた男」をDVD、アナトール・リトヴァク監督、ピーター・オトゥール主演「将軍たちの夜」を録画で観る。

「紳士は~」は、むしろ「淑女はお金が大好き」というタイトルの方が合っているかな。カメラを意識させないショットのつなぎのみごとさよ。ローグの映画はやはり退屈。ラストの「スターダスト」が誰の演奏だったか知りたくてDVDを買ってしまったのだが、やはりアーティ・ショー楽団の演奏だった。この頃のボウイはやはり人間離れした顔をしている。

「将軍たちの夜」はワルシャワの反ナチ勢力を掃討するため、オトゥール扮するエキセントリックなタンツ将軍が、ベンツのオープンカーに立って指揮し、その背景の建物に火炎放射器の炎を放たれるシーンが秀逸。美術がアレクサンドル・トローネ、そのセットがすばらしい。

 ひさびさにミステリーなど読む。トム・ロブ・スミス著「チャイルド44」。面白いとの評判どおり一気読みだったが、ラストの失速が不満。スターリン圧政下のソ連が舞台、しかも1953年の話というところがミソ。スターリン独裁下のソ連ものは、粛清社会という過酷な現実にいかに抗うかがポイントとなるので、ナチものと同じでどうしたって面白くなる。極貧の村に生まれた兄弟、残酷な子ども殺しの連続殺人事件、嫉妬深く無慈悲な同僚に執拗に痛めつけられる主人公、愛情のなかった夫婦の再生などがからみ、読み応えは十分。表紙のイラストもよい。

 村上もとか著「龍(ロン)」が14巻までになった。750円×14で10,500円かかっているわけだが、日中戦争期の日本、中国を舞台にした歴史大河漫画で、なかなか読み応えのあるおもしろい漫画だ。14巻で舞台は上海から満州へと移るのだが、毎月2冊ずつの文庫化が楽しみの一つになっている。

 景気悪化著しく、暗い新年になりそうな気配だが、こんなときはアキ・カウリスマキの貧困3部作、「浮き雲」「過去のない男」「街の灯り」を観るべし。

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1 コメント

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Unknown (のりへい)
2008-12-18 10:49:05
大江健三郎の小説でもよくブレイクの詩を引用していますよね。
ブレイクは僕も読んでいないので、良くわかりませんが。
最近、ある人に薦められて田村隆一という詩人の詩を読んでます。
詩を読むと、曲を作ってバンドをやりたくなります。
まあ、そんな文学的なバンドでもないですが。
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