ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

恋する誰かさんの愚かなる心に降るアメリカはジェントルレイン

2009年07月08日 | 音楽
 南博・著『鍵盤上のU.S.A. -ジャズピアニスト・エレジー アメリカ編』を図書館で借りて読む。銀座のクラブのピアノ弾きで貯めた資金でボストンのバークリー音楽院に留学した海外ジャズ武者修行記。本の惹句では「ジャズ青年のビルドゥンクス・ロマン」とされているが、ジャズピアニスト・ボストン格闘編といったほうがいい。三十路前(アラサー)の留学、若造の視点とは異なったアメリカ観、アメリカ人観が展開されておもしろい。アメリカ人のスーパーフィシャルな笑顔、ボストンの素顔、バークリー音楽院の実態、ポーランド人サックス奏者のパワー、スティーヴ・キューンとの出会いなどジャズマンならではの体験と視点にノンストップ一気読みだ。ロバート・B・パーカーのボストンや大学の街という知的な都会のイメージとは違う田舎な都会としてのボストンの素顔は意外だったが。快作である。この人の音楽は信頼できる。

 そんなわけで、早速タワレコで南博トリオの「Like Someone in Love」を購入(昨年リリースされた時、ジャケットが?だったのと、あの靖国オジンが推薦していたので敬遠したが)。これも傑作。「My Foolish Heart」の一音目。これはビル・エヴァンスへのオマージュであり、たぶんこの単音でいきたかったのだということが、この本を読むと分かる。そして繊細だけれども男気と粋が感じられるアルバムなのだった。

 一緒に武田和命(ts)「ジェントル・ノヴェンバー」が高音質で再発売されていたので購入。フラスコ・レーベルのレコードが出たのはもう30年前か。社会人として駆け出しの頃でもう擦り切れるくらい聴いた。武田のテナーに山下洋輔トリオ〈国仲(b)・森山(dr)〉。1曲目「ソウル・トレイン」で胸がキュンとなる。あの頃好きだった女の子を思い出しつつセンチメンタルな旅だ。ジャズにおける「歌う」ことの真髄が聴けるアルバムだ。

 さらにアン・サリーの1stアルバム「Voyage」が、ジャケットをリデザインして1,000円だったので、これも購入。この1stが歌手としての力量を一番発揮しているのではないかと思うくらい声も歌もいい。「小舟」「酒バラ」「スマイル」「青春の光と影」など選曲もよく、伸びのある声とときどきのファルセットで聴く者の胸に歌が入り込んでくる。ついでにミッシェル・カミロの1988年のアルバム「ミッシェル・カミロ」も1,000円だったので買ってみる。で、4枚買って、その日のタワレコはボーナスポイントがつく日だったので、3倍もポイントがついたのだった。そこでジャズ短歌一首。

  恋する誰かさんの愚かなる心に降るアメリカはジェントルレイン



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