ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

富樫如来に導かれたジャズジャイアンツの慈愛溢れる「マイ・ワンダフル・ライフ」

2009年10月29日 | 音楽
「マイ・ワンダフル・ライフ-富樫雅彦バラード・コレクション」は、2年前に亡くなった天才ドラマー富樫雅彦の作曲したバラードを集め、佐藤允彦、渡辺貞夫、峰厚介、日野皓正、山下洋輔ら富樫にゆかりあるジャズメンがソロやデュオで競演した日本のジャズジャイアンツによる追悼(競演が正しいかも)アルバムだ。これだけのメンバーを引き寄せてしまうところが富樫のすごさといえばすごさなのだが、このアルバムは不在であることの存在感が美しいとしかいいようのない叙情を奏でている。

 タワレコで試聴し、1曲目ナベサダが演奏する標題曲「マイ・ワンダフル・ライフ」を聴きながら目頭が熱くなってきてしまった。1曲目でこのアルバムの意図が分かる。富樫さんは、類稀なバラードの作曲者であったのだ。しかも、ここに集結した日本のジャズジャイアンツが不在の富樫さんと一緒にインプロヴィゼーションしていることの喜びが音になって溢れ出ている。亡くなってすぐの追悼アルバムではこうはいかなかった。確かな不在を確認しながら、しかし傍らには見えない富樫がいる。5人のプレイヤーは富樫の音を聴きながら演奏しているのだ。だからこんなにも美しく慈しみのある演奏ができるのだろう。ボーナストラックとして収録されている山下による標題曲のピアノ・ソロもやさしい。皆が富樫如来に導かれてプレイしているとしか思えないそんなアルバムなのだった。

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