ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

焚き火だ焚き火だ金閣寺

2005年12月14日 | 
 大徳寺で狩野永徳の襖絵を見た感動のまま、暦では春だったが、冷たい雪が舞う中を金閣まで歩いた。途中凍えた身体を燗酒と鰊そばで温め、いざ金閣と臨んだが生憎修繕工事中で金閣を見ることはできず少しがっかりしたことがあった。2年前の2月のことだ。

 しばらく忘れていた金閣を目にしたのはTVのニュース画像でだ。ブッシュの横で「サン・ジャパン!」と手を広げる小泉の後方に、光りを放っている金閣寺が見えた。

 三島由紀夫「金閣寺」のなかに、戦後まもなく街娼の女を連れて金閣寺にやってきた進駐軍の米兵が、主人公の溝口に命令して倒れている女の腹を踏ませるシーンがあった。小説では、女は身ごもっていたことがやがて明らかになり、この後急速に終結に向けて物語は進んでいくのだが、金閣の前で、日本人の若い坊主に女の腹を踏ませる米兵の悪徳と「サン・ジャパン!」と米国大統領に愛想を振りまく日本国首相の美徳とは、どちらも同質に思えてしまう。

 この「サン・ジャパン!」の映像を年末になると見る機会が多くなる。それと最近の寒さが、2年前の金閣訪問のときの心地よい寒さを思い出させ、三島の「金閣寺」へと連鎖し、もう一度金閣を燃やしてみたらどうかと物騒なことさえ想像してしまうのだった。
 厳寒の冬空に舞う火の粉はどんなに美しかろ。そして「生きよう」という新しい生への熱情が沸きあがってくるかもしれないのだ。

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