なぜか、ここんとこずっと三島に浸っていたので、一息入れたのが「三人噺」で、一緒に買ったのが小林信彦著「テレビの黄金時代」(文春文庫)。
「シャボン玉ホリデー」が始まった1961年から、「巨泉・前武ゲバゲバ90分」が終わった1971年までのほぼ10年間(冷戦真っ最中!)をテレビの黄金時代として位置づけ、著者自身がかかわったその舞台裏の変遷をつづった私的テレビ・ヴァラエティ史だ。
この10年間を小中高生の視聴者として体験したぼくとしては、この時代のビデオがほとんど残されていなくて(ビデオテープが高くて使い回ししていたんだって)、もはやこの黄金時代を語るには人々の記憶を頼るしかないということの悔しさと、それゆえこの黄金時代を同時代で体験できた幸福感、優越感を改めてこの本で確認したのだった。どっぷり私はテレビの黄金時代につかっていたのだ。
いまや、あの有名な植木等のおよびギャグも、いかに面白かったかを、知らない人に言葉で伝えるのはむずかしい。この本の中で著者も、あえて記録の記述のように再現を試みている。けれど、それは、あれを見て、笑い転げたことのあるものにしか分からない。それでも、あのおもしろさを伝えていくには、ひたすらいかにおもしろかったかを語っていくしかないとは!
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