散歩していると、民家の敷地から公道へはみ出した大きな柿の枝がある
この家の住人はあまり剪定もしないからこのようにはみ出ていることに気付かないのだろうが、歩行者にとってはいささか迷惑な気持ちにもなる
その枝には日毎大きくなるのが判るほど、順調に育つ柿の実が成っている
だが妻はその枝から落ちて地上に数個転がっている実に興味があるらしかった
ある時 「どうして落ちるのかなあ~?」 と、その実を惜しむかのように私に言った
私は良い返事が浮かばないが、何か答えないといけないと少し間を取って考えてみた
「柿の木には実が集まる会議があって、そこでジャンケンして、残る実、落ちる実を決めるんだって」 と、言った
そんな返事なので勿論妻は納得はしていないようだ
実際、6月になると落ちる実の数が増えてきたようだが、私はこれは木が自ら行う 「自然摘果」 だと考えた
そこでネットで調べてみると 『柿は自ら結実を調整する機能を持っているようで、それを 「整理落下(」 と言って6月下旬頃までは自然に実を落とす』 と説明されていた
このように6月に柿の実が落ちるのは自然の法則のようなもので、その営みの不思議さを知ることになった
さて、この 「整理落下」 のことを妻に話したが、やはりあまり納得する様子は無かった
今日も散歩の時、この柿の木を見ると、落ちている実が少なくなっていたので、これからは妻の興味も木に成っている実に移るだろう
食べるのが大好きな妻だから、柿の実にはそれなりの興味があるのだろうが、もう秋になって熟れた実を食べることを妻は夢見ているのかもしれない
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