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2014年シーズンの宮國椋丞に胸を撫で下ろす。

2014-10-07 23:25:47 | 2014年シーズン

宮國はストレートが走っていた。
前半は逆球も多く、アマい球もけっこうあったけれど、
そんなこと気にせずに、腕を振っていたように見えた。
ファームでは、そんなことばかり気にしながら投げてたようなシーズンだったはずが、
なんということでしょう。


それにしても、ナイスピッチングだった。
制球がどうのなんて細かいことは、この際どうでもよい。
とにかくいい球がいっていた。
とにかくストレートがキレていた。
とにかく、勝った。
最後の最後で今季初勝利を挙げた。
それだけで今回は充分ではないか。

前田健太のボーク、カープの力み、引き分けでも2位、地元での最終戦、
本来ならそんなことを振り返って綴りたいが、
それどころではなくなってしまった。
シーズン後半に大田が躍動してファンを喜ばせたように、
宮國の最終戦好投もジャイアンツファンにはビッグ・サプライズである。


ゲームが始まる前、ついつい不安なイメージが頭をつく。
今の宮國に菊池、丸、エルドレッド、ロサリオらが抑えられるのか。
初回から捕まってしまうのではないか。
どうにか初回をうまく乗り切ってくれないか。

今季初登板だった4月のベイスターズ戦では初回に2ランを浴びた。
2度目の登板となった8月のベイスターズ戦でも初回から連打を喰らい、
3イニング連続で得点を許した。
そういえば、イースタンリーグ最終戦でも初回に4失点、敗戦投手になっている。
とにかく初回、いいテンポで乗り切って欲しい。
優勝前よりよっぽど力が入る。

ところが、そんな心配をよそに、宮國は初回をスンナリ10球で終わらせた。
先頭の梵を初球シュートゴロに仕留めると、菊池、丸も危なげなく打ち取った。
梵を1球で仕留められたのは助かったろう。

二回には連打と死球で満塁とされ、会沢の犠牲フライで1点を先制されたが、
次の前田健太をしっかり抑え、そこで止めることが出来た。
結果的に失点はその1点のみだった。

前半、アマい球もそこそこあった中で、カープの硬さに助けられたことは否定できない。
とくに4番のエルドレッド以降にその傾向が顕著だった気がする。
最初の打席でエルドレッドにはスライダーをセンター前へ運ばれたが、あれは明らかなボール球。
エルドレッドの腕の長さだから届いたようなもので、当たってもあの打球が精一杯のバッティング。
松山のライト前にしてもけっして鋭い当たりではなく、阿部のグラブの少し先を抜けていったゴロ。
打ち取った2打席目のファーストゴロと当たりは変わらない。
ロサリオは二回にスローカーブで見逃しの三振に倒れた後、
最後までタイミングが合わせ辛そうに見えた。

その辺りをうまく衝いていたのが、丸との勝負ではなかったか。
三回と五回、丸の前で二度、菊池が2ベースで出塁するが、
このとき二度とも丸を四球で歩かせた。
ストライクは取りにいってたので、ハナから勝負を避けていたわけではない。
二度とも丁寧にコースをついた結果の四球である。
しかも丸に対しては他の打者よりもスライダーがコースにきまっていた。

三回の丸への投球は6球のうち5球がスライダーかフォーク。
外と低めを丁寧についた。
唯一投げたストレートは、最後、四球となった内角へのボール球。
五回は投じた5球すべてが変化球。
外のスライダーにフォークは一貫して内角低めのボールゾーン。
フォークのボール球に丸はほとんど乗ってこなかった。

こうして2打席とも勝負にはいってたものの、
丸には決して無理をしないという姿勢がバッテリーから、とくに小林のリードから窺える。
すなわちそれは、4番・エルドレッドとの勝負を意味する。
そしてその思惑どおり、宮國・小林バッテリーは丸を歩かせたあとのエルドレッドを、
2打席連続で三振に切ってとる。

小林はエルドレッドに対して自信を持って攻めていると解説の前田氏は指摘する。
たしかに、内角へのストレートを要求する小林のミットの構えには力強さがあった。
ここに投げてくれという、宮國に対する強いメッセージ。

5回のエルドレッドとの対決の際、二死一、三塁で、
初球のストレートが力んでワンバウンドになった。
2球目のスライダーもワンバウンド気味に外へ逸れた。
すかさずマウンドへ歩み寄った小林は二言三言、宮國に声をかけ、
鼓舞するように、あるいは勝負を促すように、腰の辺りを二度、ポンポンと叩いた。
絶対に打ち取れるという小林の要求に応えるように、
宮國は腕を振って渾身のストレートをエルドレッドの膝元へ投げ込んだ。

そんな大胆さが、いい方向に転がった。
思い切って内角へ投げ込む宮國に、久しぶりの躍動感を見た。
この試合の前の登板、9月28日のイースタン最終戦の投球とは明らかな違いだ。
そのときの宮國は、ここまで試行錯誤している宮國の姿そのものだった。
おそらく、多くのファンが感じている最近の宮國のあの感じ。
見ていて心配になる、見ていてちょっと辛くなる、そんな投球フォームだった。

28日のファーム最終戦のVTRを見返してみたが、
やはりまだそのときは、あのフォームが色濃い。

昨日は腕の振りだけでなく、軸足の溜め、踏み込んだ左足の幅の大きさ、
上半身が回転するときの力感、なんだかアチコチが良く見えた。
この一週間余りの期間で、宮國に何か変化があったのか。
あるいはこの日、宮國に変化をもたらすような何かが起きたのか。

その日の投球の中でもバラつきがあると、以前、宮國本人が言っていたように、
解説の緒方耕一氏も少し前に似たようなことをファーム戦の中継の中で解説していたことがある。
やはりまだ、ひと試合の中でも、しっくりいったり、いかなかったりが繰り返されている。
28日の投球フォームの感じと、昨日のフォームの違いを比べても、
わずか一週間でこの違いであるから、何かが一週間の間で変わったというよりも、
昨日はいいほうの宮國が出たと考えるほうが自然なのかもしれない。

「最後のチャンス。2試合の悔しさを全部ぶつけようと思った。2軍でやってきたことが出せた」。
スポーツ紙などをチェックしても、本人のコメントはこれくらいしか見当たらない。
ただ、覚悟を持っての登板だったことは窺える。

いずれにしても、昨日のような投球フォームが継続できれば、
ある程度の結果は出せる。
多少、制球に難はあっても、
昨日の力強いフォームの方が躍動感があっていい。
この秋から来春にかけての期間で、
課題の制球とどれだけ折り合いをつけられるだろうか。


持ってる球種をまんべんなく投げていたのも昨日の宮國の印象だ。
スライダー、フォークは回を追うごとに低めにきまった。
ストレートが走っていたから、あの100キロに満たないスローカーブも有効だったろう。
小林の強気なリードが一役買ったのも間違いない。
ただ、前田健太に投げ勝ったのは事実であっても、
硬さの目立ったカープ打線に救われたのは明白。

埋めなければいけないウイークポイントと、まだまだ埋められるノビシロの大きさを確信し、
2014年シーズンの宮國椋丞に、ファンはひとまず胸を撫で下ろす。

それにしても、一軍のグラウンドであんな晴れやかな顔をした宮國を見るのは、
本当に久しぶりだ。






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