ふくしまの里山を次世代に

鮫川村に秘密裏に建設された放射性廃棄物焼却処分場に反対する住民組織『鮫川村焼却炉問題連絡会』のメンバーによるブログです。

青生野地区で密室住民説明会

2013-02-28 16:33:06 | 地域住民
2月23日(土)

青生野地区限定説明会が18時から開かれました。
前日から発熱していたため、はってでも行きたかったのですが、39℃近くになりとても叶いませんでした。

代わりにメンバーの皆さんが駆け付け、以下報告を受けました。
メディアは冒頭のみ入れてもらうことができ、その後締め出されましたが、扉1枚を隔てた外側で聞き耳を立てていたそうです。これに対して、メンバーらは氷点下の屋外で震えながら懸命に中の声を追っていました。


(以下、メンバーの報告より)
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本日の青生野地区説明会は午後6時から始まり、9時少し前に終了しました。
結果は、どうだったと思われますか。
安心してください。
焼却炉施設建設反対の強い声に、村長、村議会議員、環境省はたじたじ。
白紙撤回の言質は取れませんでしたが、青生野地区住民の反対が強いことを改めて印象づけたはずです。
説明会の最後、賛成している人の数だけでも確認して、おそらく説明会では反対意見ばかりだったが、賛成している人はこれだけいるのだ、という都合のよい主張に利用しようと考えたのでしょう。
「本日の説明を理解された方は、お渡ししている用紙にマルをつけてくださいと」ぼそぼそ語る、あちら側の狡猾な誘導にも見事にAさん(メンバー)が反論。
「それって、採決と同じことをしようとしているんじゃないですか」と鋭く追及。
結局、撤回せざるを得ないことになりました。
オー、格好ワルー!

この寒空の下、会場の青生野地区集落センターの建物の外で、会場から洩れ聞こえてくる議論に聞き耳を立てていた人の数は10人ほど。
いつもながらの、長々しい大楽村長の経過説明、安全一点張りの環境省の説明に辟易しながらも、反対派の発言に会場から拍手が続くのに呼応して思わずわれわれも場外で手をたたいていました。
それにしても環境省の悪辣さにはほとほと嫌気が差した一日でした。
比較的温和な方々ばかりが揃っている説明会の会場で、環境省の責任者、山本課長は、こんなことを皆さんの前で得意げに述べ立てたのでした。

「ネット上などでいろんな意見が出ているので、皆さん不安に思われているのだろうと思います。環境省としても、もっと有効な情報発信を心がけたいと考えています。反対派の人たちは、同じことばかりを言って人心を惑わせています。しかし、われわれのデータや安全性についての確信は、焼却炉の事業を始めてから20年の実績に基づいているもので、自信をもっています。ぜひ今後とも、みなさまのご理解を頂戴したいと考えております。」

青生野地区以外の住民、さらにはマスコミもシャットアウト。自分たちに反論が及ばない安全地帯をつくり、そこで、自分たちに都合のよい情報を一方的に垂れ流すこのようなやり方を、「悪辣な」情報操作と言わずになんと名づければよいのでしょうか。
あまり癪に障ったので、説明会が終わりマスコミの取材が終わろうとしていた瞬間を捕まえ、次のように言ってやりました。

「私は場外で議論を聞いていた人間です。山本課長が言う反対派の人間ではありませんが、この事業には反対しています。反対派の人間が同じことばかりを言って反対しているとおっしゃいましたが、ぼくに言わせれば環境省こそが同じことばかりを言っているように聞こえますが。」

(山本課長)「それは、同じことを言わなければ意見がぶれていることになるので」

(私)「それじゃ、どちらの主張が正しいか、皆さんの前で公開討論会をやったらいいんじゃないでしょうか」
(山本課長)「いや、それは遠慮します」<車に乗って、逃げ去る>

こういう厚顔無恥の輩が、えらそうな顔をして、行政の中枢を担っているのです。
いやはや、寒空の下での疲労がどっと出た瞬間でした。
でも、Aさんをはじめ、青生野地区住民の勇気ある発言の数々が、そんな思いを打ち消すかのように帰路を急ぐ耳に響いていました。
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聞くと、この日は日立造船のほか、JAEA(日本版IAEA)も同席していたそうで、これまでの説明会にみられなかった専門用語をまくし立てた戦術に出たそうです。非常に卑劣で汚いとメンバーの感想。
それでも、住民側から果敢に反対意見が相次ぎ、環境省はこれでもか、これでもかと必死に説得を試みたものの、平行線に終始。何と18時に始まり終了したのは22時すぎでした。

安心安全な施設というのであれば、もっとオープンに、フェアにやっていただきたいものです。




不透明な『同意書』

2013-01-17 04:57:00 | 地域住民
「鮫川村焼却炉建設の白紙撤回を求める署名」ができるや否や、鮫川村の若い人達を中心に、連絡会メンバーが“待ってました”とばかりに一斉に動き始めてくれました。
特に若い人達の熱意と行動力は敬服するほどで、夜遅くまで村内を子供のいる家庭から一軒一軒回って集めてくれたそうです。明らかになったのは、「子供のいるご家庭の殆どは焼却炉建設に激怒しているということ。

あの日の村長の言葉が思い出されます。

「あぁーやらなきゃ良かった!」

昨年12月14日、村議会で請願が不採択になった日に、午前中で終わった議会後のお昼休みを利用して、村長が「あぶくま自然大学」(進士徹さん宅)にお見えになり同席させて頂きました。
建設が明るみに出始めた頃、役場の人から「これ見て下さい」と言われて覗いたパソコン画面(恐らくツイッター)にずらりと並んだ反対意見を目の当たりにしてこう思ったそうです。

その時に止めていれば良かったものを…
でも、今からでも遅くないですよ!村長さん。建設続行すればもっと後悔することになるのですからね。


話を戻しますが、村の人達と話をするようになって色々なことが分かってきました。
村が建設地を決定する際、地域住民から得た「同意書」について、複数の人からこのように聞きました。村の説明と合わせて示します。

建設地である放牧地は18軒の肥育組合が共同管理しており、このうち1軒は村外で17軒は全て青生野地区住民である。青生野地区選出議員の強力な後押しの下、まず肥育組合に話が持ちかけられた。これに大賛成する何人かの組合員によって、まもなく組合全体で賛成となり、村と議員と組合3者の推進体制による放牧地周辺1キロ※の非組合12軒への説得が始まる。
合計30軒を対象に3回の説明会が設けられた。子供のいる家庭を中心に非組合員は反対を示すが、最初から数で圧倒的不利な立場に置かれた反対派は次第に押し切られていく。この間、何度も賛成派が反対派を戸別訪問し説得に当たる。
3回目の説明会で反対派の口が封じられ、「事業決定」。
まもなく同意書が回ってきて、なすすべのない反対派は渋々押印する。


これについて、複数の反対派のご家庭でこう伺いました。

「自分たち(若い人)の多くは日中働きに出ていてこの話を知らなかった。話を聞いていれば絶対反対したのに。両親は同意書に押印したが、内心は同意などしていない。反対できなかっただけだ。同意書の取り消しができるならそうしたい。とにかくこんなやり方は許せない。」


原発建設の手法と同じですね。違うのは原発事故の「後始末」という部分だけです。
原発も国民の8割は反対しています。それを押し切って建設してきた失政のツケも国民に、しかもこのような高齢化の進む過疎地に押し付けるのでしょうか。

県外の皆さんの中には、「福島は汚れてしまったのだから、汚染物を受け入れるより仕方ないのではないか」と思われる方もいるかも知れません。しかし汚れても住み続けざるを得ない、そのような人が大半で、これが現実です。
鮫川村を含む県南地区は比較的汚染を免れて何とか暮らしていけるレベルであり、場所によっては関東圏より線量は低いのです。焼却によって二次汚染させるほど馬鹿げたことはありません。地域住民の健康を害し、7億3千万もかけて建設しなければならない理由はどこにあるのでしょう。
村長は「鮫川は線量が低いからちょっとくらい焼却しても大丈夫」と言いますが、あまりにお粗末な認識です。

汚染物の処理は排出者責任で排出元での一元管理とすること。
市町村での処理は言語道断です。


※同意を得たのは周辺1キロ以内の住民が対象とされるが、この根拠として環境省は「焼却によって影響を受ける範囲」と説明している。つまり1キロ住民への説明は村の判断ではなく、環境省の指示であることが分かっている。ひいては、村長を手なずけ、議員、組合を操って地域の説得に当たらせる手法を手引きしたことは言うまでもない。
しかも、同じ1キロでも北茨城や塙町の住民には一切説明していない。
北茨城市の山氏さんは青生野地区の10軒近くを訪ね歩いたところ、同意書の内容そのものをきちんと理解せず、あるいは深刻に受け止めずに判を押していたことが分かった。これら10軒弱は全て事業に反対の意思を示したという。