ふくしまの里山を次世代に

鮫川村に秘密裏に建設された放射性廃棄物焼却処分場に反対する住民組織『鮫川村焼却炉問題連絡会』のメンバーによるブログです。

不透明な『同意書』

2013-01-17 04:57:00 | 地域住民
「鮫川村焼却炉建設の白紙撤回を求める署名」ができるや否や、鮫川村の若い人達を中心に、連絡会メンバーが“待ってました”とばかりに一斉に動き始めてくれました。
特に若い人達の熱意と行動力は敬服するほどで、夜遅くまで村内を子供のいる家庭から一軒一軒回って集めてくれたそうです。明らかになったのは、「子供のいるご家庭の殆どは焼却炉建設に激怒しているということ。

あの日の村長の言葉が思い出されます。

「あぁーやらなきゃ良かった!」

昨年12月14日、村議会で請願が不採択になった日に、午前中で終わった議会後のお昼休みを利用して、村長が「あぶくま自然大学」(進士徹さん宅)にお見えになり同席させて頂きました。
建設が明るみに出始めた頃、役場の人から「これ見て下さい」と言われて覗いたパソコン画面(恐らくツイッター)にずらりと並んだ反対意見を目の当たりにしてこう思ったそうです。

その時に止めていれば良かったものを…
でも、今からでも遅くないですよ!村長さん。建設続行すればもっと後悔することになるのですからね。


話を戻しますが、村の人達と話をするようになって色々なことが分かってきました。
村が建設地を決定する際、地域住民から得た「同意書」について、複数の人からこのように聞きました。村の説明と合わせて示します。

建設地である放牧地は18軒の肥育組合が共同管理しており、このうち1軒は村外で17軒は全て青生野地区住民である。青生野地区選出議員の強力な後押しの下、まず肥育組合に話が持ちかけられた。これに大賛成する何人かの組合員によって、まもなく組合全体で賛成となり、村と議員と組合3者の推進体制による放牧地周辺1キロ※の非組合12軒への説得が始まる。
合計30軒を対象に3回の説明会が設けられた。子供のいる家庭を中心に非組合員は反対を示すが、最初から数で圧倒的不利な立場に置かれた反対派は次第に押し切られていく。この間、何度も賛成派が反対派を戸別訪問し説得に当たる。
3回目の説明会で反対派の口が封じられ、「事業決定」。
まもなく同意書が回ってきて、なすすべのない反対派は渋々押印する。


これについて、複数の反対派のご家庭でこう伺いました。

「自分たち(若い人)の多くは日中働きに出ていてこの話を知らなかった。話を聞いていれば絶対反対したのに。両親は同意書に押印したが、内心は同意などしていない。反対できなかっただけだ。同意書の取り消しができるならそうしたい。とにかくこんなやり方は許せない。」


原発建設の手法と同じですね。違うのは原発事故の「後始末」という部分だけです。
原発も国民の8割は反対しています。それを押し切って建設してきた失政のツケも国民に、しかもこのような高齢化の進む過疎地に押し付けるのでしょうか。

県外の皆さんの中には、「福島は汚れてしまったのだから、汚染物を受け入れるより仕方ないのではないか」と思われる方もいるかも知れません。しかし汚れても住み続けざるを得ない、そのような人が大半で、これが現実です。
鮫川村を含む県南地区は比較的汚染を免れて何とか暮らしていけるレベルであり、場所によっては関東圏より線量は低いのです。焼却によって二次汚染させるほど馬鹿げたことはありません。地域住民の健康を害し、7億3千万もかけて建設しなければならない理由はどこにあるのでしょう。
村長は「鮫川は線量が低いからちょっとくらい焼却しても大丈夫」と言いますが、あまりにお粗末な認識です。

汚染物の処理は排出者責任で排出元での一元管理とすること。
市町村での処理は言語道断です。


※同意を得たのは周辺1キロ以内の住民が対象とされるが、この根拠として環境省は「焼却によって影響を受ける範囲」と説明している。つまり1キロ住民への説明は村の判断ではなく、環境省の指示であることが分かっている。ひいては、村長を手なずけ、議員、組合を操って地域の説得に当たらせる手法を手引きしたことは言うまでもない。
しかも、同じ1キロでも北茨城や塙町の住民には一切説明していない。
北茨城市の山氏さんは青生野地区の10軒近くを訪ね歩いたところ、同意書の内容そのものをきちんと理解せず、あるいは深刻に受け止めずに判を押していたことが分かった。これら10軒弱は全て事業に反対の意思を示したという。

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