Naoの誰でもわかる!英語の話

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Rioの話#3

2020-05-29 | Rioの話
Rioの話#3

小学校は地元のバイリンガルエジュケーションを積極的に行っている学校に行かせました。当時、アメリカでは外国から来た子供たちに英語を早く学ばせ、アメリカ文化に溶け込まそうという教育が主流でしたが、一部の学校では、母国の言語、文化も大事にさせながら、アメリカの教育を行うという、Bilingual Educationを教育手法の重要な一部とする学校もあり、Rioはそのような小学校に通うことになりました。幼稚園からの友達がそこに多く行くこともその決定の要因だったように思います。多くの異なった文化を持つ友達がいたこともあってか、Rioは学校へ行くことが楽しそうでした。

中等教育(Secondary Education)は、私が通っていたイリノイ大学の実験校(University Laboratory High School) である、通称、Uni High(University High School)というところに行きました。Rioは、一年飛び級をしての入学となりました。Uni Highは、ノーベル賞を受賞した卒業性が数人いることもあり、アメリカの高校の中でも有名なところです。卒業生の多くはアメリカの著名な大学に行きます。ハーバード大学、イェール大学(Yale University)、MIT(マサチューセッツ工科大学)、ブラウン大学等々です。学習量が多いのが特徴的であったとともに、芸術、音楽などのアート教育に注力していました。それは、アメリカの超一流大学と言われる大学に入るためには勉強ができるだけでは入れないからです。その点は日本の東大に入るのとは大きく異なります。アメリカの高校生がアメリカの大学に入るためには、SAT(Scholastic Assessment Test)、もしくは、ACT(American College Testing)を受験しなければなりません。当然上位の大学に入るためには高いスコアを取る必要がありますが、アメリカの大学では、ある一定以上の成績(得点)を取っていることが求められますが、高い得点を取っている生徒が必ず合格になるかというと、そうではありません。実際、Uni Highの卒業生で、SATで満点を取った生徒がハーバード大学に入れなかったという話がありました。結局ブラウン大学に入ったそうです。

ではなぜ満点なのにハーバード大学に入れなかったのか。それは、アメリカの著名な大学に入るためには、アカデミックな部分で優れているだけではなく、芸術や文化、スポーツ、あるいは、地域活動(ボランティア活動)等において優れた成果を示す必要があるからです。つまり、バランスの取れた人間であると評価されないと合格しないということです。これまでのアメリカ大統領の多くが楽器を使って音楽を奏でる様子を見たことがありますが、それは、前述のような背景があるからだと推察します。もちろん、そのような情操教育と無縁の大統領がいることは皆さんよくご存じとは思いますが(誰とは言いませんが…)。

ですので、Uni Highでの勉強はかなり大変なものでした。Rioは帰宅してしばらくゆっくりすると早速宿題を始め、よく深夜12時過ぎまで勉強していたものです。その多くは調べ物とそのまとめで、Internetを使って様々な人間や社会問題等について読み、それをまとめてレポートにしていました。読む本の量も多く、またそれらを毎日バックパックに入れて通学していました。私も一度それを背負ってみたことがありましたが、本当に重かったです。先ほどの情操教育に関しては、RioはUni Highではブラスバンド部に所属し、バイオリンとトランペットを担当しました。演奏の練習は毎日あったため、Rioは毎朝、教科書が一杯詰まった重たいバックパックを背負い、そして楽器を脇に抱えて登校しました。基本、親が生徒を学校に送っていくことになっていたので、アメリカに戻った時には、私がドライバーとなり毎日送迎しました。そして授業が終わったら、ピアノ、数学、テコンドー等々、様々な習い事へ送っていくというのが私の日課でした。また、Rioは陸上部にも所属し、クロスカントリーを行っていました。友人からの信頼も厚く、ある事件があった時には、クラブの皆が校長室に行ってRioのために抗議してくれたこともあったほどです。その頃の友人にRioの死が伝えられることはあるのか…あればいいのですが。  (End of #3)

                                 

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