ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

新しいタイプのナノモーター

2012-08-11 | 報道/ニュース

自然界にはいろいろなナノサイズのモーターが存在している。たとえば細胞の鞭毛(11/7参照)、精子の尾、細胞のアデノシン三リン酸に よる駆動などがその例である。ナノテクノロジーの目標の一つは、モーターを備えたナノサイズマシンを作成することにある。すでにナノサイズの分子モーター について述べたことがある(9/17参照)。

13個のボロン原子よりなるクラスターは10個の原子の 輪の中に位置している3個の原子が回転しやすいことが知られていて、Wamkelエンジンと呼ばれてい(下図)。Wankelエンジンとは、エンジン中の回転部 分の中心が外枠の中心と一致しないエンジンである。ロサンゼルスにあるカルフォルニア大学(UCLA)の研究グループは、以前からこのWankelエンジ ンについて研究を進めていたが、最近になって外側の原子の輪の中にある内側の原子の輪が紫外線レーザーの照射によって回転することを明らかにした。この モーターの特徴は、レーザー光によって注入される熱エネルギーが外側の原子の輪に拡散し、系全体の温度上昇が最小限に食い止められることである。また、電 圧を加えることによって回転を一方向に制限することが出来るという。
http://www.chemistryviews.org/details/ezine/2330971/Shedding_Light_on_a_Molecular_Engine.html

ボロンクラスターがナノテクノロジーの構成ブロックとして重要な役割を果たすことになるかもしれない。