ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

科学技術は人類に幸福をもたらさなければならない

2011-09-30 | 日記
昨日のBSフジプライムニュースの討論にいささか疑問を感じた。

科学技術と人類の共存がテーマの一つであったが、絶対安全ということはありえないとのことで、科学技術があたかも猛獣であるかのように扱われているのが気になった。産業革命以来、科学技術の発達が人々の生活を豊かにしてきたことは否定出来ないだろう。21世紀には、ナノテクノロジーや万能細胞などの新技術の導入により、より多くの人々が幸福な生活を享受出来るようになる必要がある。それが、科学者、技術者の義務であろう。

福島原子力発電所の事故は、確かに科学技術が恐ろしいものであることを明確にした。しかしながら、この原因は、津波が起こる可能性のある場所に建設された原子力発電所の非常用電源が地下室に存在したことによる。もし、非常用電源が正常に作動すればこのような多量の放射性物質の撒き散らしが起こらなかったであろう。このような原子力発電所を建設した東京電力、またその建設を容認した原子力安全・保安院、原子力委員会および原子力安全委員会の責任は大きい。原子炉は廃炉になってもよい。放射線の撒き散らしさえ起こらなければ、単に電力会社の問題で、国家的・国際的問題にはならなかったであろう。

確かに絶対安全ということはあり得ない。しかし事故を回避出来ることも技術の一つである。野田首相が原子力発電所の安全性を世界最高水準に高めると国際公約したが、日本の科学者や技術者が先頭に立ってこれを必ず実行してほしい(9/26参照)。

昨日の議論でもう一つ気になったのは、自動車事故による障害と放射線障害を同等に扱っていることである。自動車事故の被害者にどのように対処するか、すべての外科医は熟知しているはずである。しかし放射線被ばく者に何が起こるかまだ明確ではない。特に内部被曝は外部被曝に比べて、その危険性が高い(8/14参照)。遺伝的効果も含めると、50年、100年後にどのような影響が現れるか予知出来ないのが現状であろう。子供を思う母親の気持ちがよくわかる。決して感情論ではない。

メディアの人々は、専門家によって意見が違うという。これは、その問題が未解決であるという証拠である。専門家同士は論理的な議論を行う。解決した問題であれば、議論が分かれるはずがない。

科学技術報道でのメディアの役割は大きい。新しい情報の報道は人々啓蒙するであろう。不適切な報道は人々を不安に陥れるであろう。