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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

4割

2017-05-16 09:00:44 | 日記

さて,本年(平成27年)3月16日付け日本経済新聞の朝刊に,知的財産高等裁判所の設楽隆一所長が,特許権侵害訴訟における和解を含んだ特許権者(原告)の実質的勝訴率が約4割(約42%)にのぼり,欧米に比べて原告勝訴率が低いという指摘に反論されたとの記事がありました。 

ご存じの方も多いと思いますが,知的財産権訴訟の判決は,判決の言い渡しがなされると数日で最高裁判所のウェブサイトに掲載されます。私も時々チェックするのですが,確かに請求棄却(原告敗訴)判決が大半で,一部認容判決(原告の請求を一部認める判決)を含めて原告勝訴判決はチラホラという感じです。それもそのはず,上記記事によれば,平成23年~25年の3年間で下された144件の判決中,原告勝訴判決は37件,割合にするとわずか25.7%です。 

この数字だけを見てしまうと,特許権者としては訴訟提起を躊躇してしまって当然です。特許権者だってむやみやたらと訴訟を起こしているわけではなくて,何度も何度も検討して,相手方とも書面のやりとりや交渉を重ねて,吟味して訴訟を提起しているわけです。訴訟を起こせば印紙代もかかりますし,弁護士費用も決して安くありません(スミマセン)。それなのに1/4の確率でしか勝てない,場合によっては裁判所からアナタの特許は無効だなんて全世界に宣言されるわけですから,特許権者に,訴訟なんか起こすだけ損だと思われてしまうのもやむを得ません。 

でも,上の数字はどうにも特許権侵害訴訟の実態とは合いません。究極的にはお金で解決できる場合が多い特許権侵害訴訟は,和解で終わることが少なくないからです。そして,設楽所長がご指摘されているとおり,「特許訴訟では,裁判所は『原告が勝つ』と判断した場合に和解を勧告する」ので,和解の場合には,原告有利のものが多くを占めます。「和解で終わったケースは94件(中略)。このうち原告勝訴に等しい合意内容の和解は販売・製造差し止めが41件,十分な金銭の支払いもしくはライセンス契約の締結が23件」(上記記事)ということですから,和解に占める原告有利和解の割合は約68%にもなるのです。 

この原告有利和解と原告勝訴判決を合計すると,特許権者(原告)の実質的勝訴率は約42%という冒頭の数字になります。42%ともなれば,五分五分とまではいかないものの,ダメ元という数字ではありませんから,特許権者にとっても,紛争解決手段として訴訟提起を選択する大きな動機になり得るのではないでしょうか。 

費用と労力をかけて,特許権を取得し,これまで維持してきたわけです。権利は行使してこそ意味があります。訴訟を起こさなければ宝の持ち腐れです。いえ,そうでないと困るんです,そもそも制度があることを考えなくては・・・。


ロゴマーク

2017-05-15 09:20:14 | 日記

旧東海道の案内看板に使う統一のロゴマークを大津市と草津市が作製し、12日に発表した。現在は外観が異なる看板や石碑に一体感を持たせ、沿道の景観アップにつなげるのが狙い。商標登録して全国に発信するといい、両市は「他都市にもロゴ入りの看板が広がってほしい」としている。

両市でつくる「びわこ大津草津景観推進協議会」が成安造形大(大津市)にデザイン制作を委託した。市職員と学生が昨年5月、京阪四宮駅(京都市山科区)から草津宿本陣(草津市)まで歩き、旧東海道を示す約90個の看板や石碑を調査。形状や表記が統一されておらず、劣化や損傷の激しいものもあった。

ロゴマークは波と道が描かれ、海や琵琶湖沿いの国々を通る旧東海道を表現し、文字は歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」にあった字体をモチーフにした。

ロゴの信用性を高めるため15日に10年間の商標登録を出願する。10月にはモデル事業として旧東海道に当たる大津市京町通で、数カ所にロゴを使った看板を設置する。他の自治体などから使用申請があれば無償提供する。

2日には大津、草津の両市長が商標登録に向けた協定書を締結。越直美大津市長は「統一感ある歴史まちづくりにつながる」と話し、橋川渉草津市長が「ロゴのある看板が(旧東海道の起点である)日本橋から京都までつながれば」と期待した。さて、日本橋から京都までつながるか・・・。


スヌーピー

2017-05-14 11:57:03 | 日記

ライセンス企業のアイコニックスブランド社は、同社の傘下でスヌーピーやチャーリー・ブラウン等の権利を管理する企業、ピーナッツワールドワイド社の株式の大半を売却した。売却先はDHXメデイア社で、金額は3億4500万ドル(約394億円)と伝えられている

DHXメデイアはカナダのノバスコシア州に本拠を置く企業で、子供向け人気テレビ番組の「テレタビーズ」等の権利を保有している。アイコニックス社が売却先を探しているとのニュースは今年1月から報じられており、アナリストらは売却額を3億ドルと予測していた。今回の取引は5月10日にアナウンスされた。金額は予想をやや上回るものになった。

スヌーピーの漫画「ピーナッツ」の生みの親のチャールズ・M・シュルツは2000年に死去。アイコニックスはシュルツの遺族とともに2010年にジョイントベンチャーを設立。ピーナッツの株式の80%を1億7,500万ドルで取得していた。今回のDHXメデイアへの権利売却後もシュルツの遺族は、残りの20%の株式を保有し続けることになる。

ロイターの報道によると、現在100カ国以上で配信中のスヌーピー等のキャラクターは年間3000万ドルの利益を生み出しているという。スヌーピーの生みの親のシュルツは、2016年のフォーブスの「死後も稼ぎ続ける著名人」ランキングでマイケル・ジャクソンに次いで2位につけ、収入は推定4,800万ドルとされていた。

ピーナッツはアイコニックス社にとって最大の収益元となっており、昨年は9500万ドルの売上を生み出し、同社の総売上3億6800万ドルの4分の1近くを稼ぎ出していた。しかし、ピーナッツ関連のライセンス事業は近年不振にあえぎ、昨年以外では年間売上が8,000万ドルを超えることは稀だった。

生命保険会社のメットライフは長年スヌーピーを広告に起用し、推定で年間1200万ドルをアイコニックスにもたらしていたが、その契約も2019年で終了する。メットライフはスヌーピー無しの広告を今年にも始動すると伝えられている。

アイコニックス社のライセンス事業収入は2014年以来減少が続き、2014年には2億4950万ドルの純損失を計上しており、売却による資本追加は同社の必須の課題だった。アイコニックスは昨年12月には小売店のSharper Imageのライセンスを1億ドルで、ThreeSixtyグループに売却していた。

今回の売却の報せを受けてアイコニック社の株価は取引開始から0.43%の下落となり、本稿執筆時点で、6.97ドルで取引されている。 株価は下落か・・・。


2017-05-12 10:02:57 | 日記

西和賀町などが進めてきたデザインプロジェクトで誕生した地域ブランドが、「ユキノチカラ」として特許庁に商標登録された。同プロジェクトで進めてきたブランドが公的に認められたことで、これまで蓄積してきた信用の高まりや地域資源を生かしたさらなる活性化が期待される。

同プロジェクトは、町と町内事業所、県内在住のデザイナー6人が連携し、グッドデザイン賞を主催する日本デザイン振興会や北上信用金庫など4者の支援も受け、2015年9月に始動。地域の食材を活用して新たに開発した商品に訴求効果の高いパッケージデザインを組み合わせ、販路拡大を図っていく取り組みとして始まった。

16年3月には、町にとってマイナスイメージの雪が持つ食材の魅力を引き出す効果に着目し、地域ブランド「ユキノチカラ」を創設。16年度までの2カ年で、和洋菓子やどぶろく、そば、地ビールなど9事業所の15品が同ブランドの下で商品化された。

ランド化は、地域資源を生かした町内の特産品の良さを分かりやすくPRし、価値を高めて発信していくのが狙い。昨年12月に特許庁に商標登録を出願し、17年4月7日に登録された。商標権者は西和賀町。

参加事業者団平の高橋雅樹代表取締役(61)は「参加事業者の団結が図られ、さらなる事業推進に向けた動機付けにつながる。新たな事業所の参入もあるのでは」と期待を寄せる。

や同振興会によると、これまでの2年間で、当初掲げた魅力的な商品の発信を通じた町のPRと誘客には一定の成果を感じているとし、3年目の17年度は販路の定着・拡大に努めていく考えだ。同振興会事業部の鈴木紗栄課長は「ブランドの信頼を保てるような管理・運営体制を整えていく」と語っている。頑張れ、西和賀町!

キノチカラ参加事業者と商品は次の通り。

▽団平=雪のようせい▽お菓子処たかはし=金と銀のフィナンシェ、カクテルケーキ雪国・ホワイトレディ▽工藤菓子店=西和賀の雪玉 ほろりん▽サンタランド=サンタランドのポンセン▽西和賀産業公社=西和賀のどぶろく ユキノチカラ、ユキノチカラめし、生ドレッシング、寒ざらしそば、西わらび、ピクルス▽湯田牛乳公社=ゆきぼっこ▽銀河高原ビール=ユキノチカラ 白ビール▽やまに農産=食べる甘酒 あまゆきちゃん▽農事組合法人アースコネクト=ユキノチカラ米


九頭竜川

2017-05-11 08:32:01 | 日記

福井県勝山市を流れる九頭竜川のアユをブランド化しようと市、市漁協でつくる市水産業振興協議会は9日までに、特許庁に「九頭竜川勝山あゆ」の商標登録を申請した。認められれば県内では初のアユの商標登録となる。白山水系の水で育ったおいしいアユを全国にアピールし、観光客や釣り客の誘客につなげる。

勝山市の九頭竜川は良質のコケが育ち、それを食べるアユは大型で身が引き締まっているとされる。全国有数の釣り場としても知られ、友釣りによるアユ釣り日本一を決める「全日本王座決定戦」も毎年開かれている。

同協議会によると、商標登録は今年3月に申請。九頭竜川で捕れたアユや加工品を対象とし、生きているアユは商標対象外となる。今夏にも審査の結論が出るとみられている。

市漁協では商標登録を見込み鮮度を落とさずに急速冷凍する機器や真空パック機などを既に導入。釣り客からアユを買い取って保存し、市内の飲食店や、市中心部の旧料亭を改修して4月に開業した「花月楼」などからの注文に応じる態勢を整えた。

市ではアユを地域の観光資源と捉え、2020年度完成を目指す道の駅「恐竜渓谷ジオパーク(仮称)」でアユ釣りや手づかみを体験する場所を整備することも計画している。

市漁協の丸山忠男組合長は「勝山のアユは塩焼きの味を競う全国コンテスト『清流めぐり利き鮎会』で準グランプリに輝くなど、おいしさはお墨付き。全国に売り込みたい」と意欲を見せている。

今後は稚アユの放流量を拡大させて家庭や料理店向けに生アユの県外発送も検討したいとしている。

全国では岐阜県の郡上漁協などが長良川上流で捕れるアユを「郡上鮎」として地域団体商標登録し差別化を図っている。
頑張れ福井!