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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

日本酒も簡単に使えなくなる?

2015-06-10 11:32:23 | 日記

伝え聞くところによれば、外国産の清酒との違いを際立たせるために、国産のコメを使って国内でつくられた清酒だけを「日本酒」として販売できるようにする方向で検討されているとのことだ。

純国産に限定することで日本酒のブランド力を高め、海外展開を後押しする狙いがあるようだ。我が国をはじめ世界貿易機関(WTO)の加盟国は、産地と品質が結びつく特産品を「地理的表示」に指定し、その地名を産地以外の商品に使わないよう取り決めている。

これまで日本酒には明確な定義がなかった。このため国税庁は年内にも、純国産の清酒だけを日本酒として地理的表示に指定する方向で調整しているという。近年の世界的な日本食ブームを受け、海外でも清酒を生産する動きが広がっている。地理的表示への指定が他国でも認められれば、純国産の清酒以外は日本酒として販売しないよう求めることができるようになる。

つまり、地域団体商標や商標とは違う法律で、種々の相違点があるが、そのうちの一つに地理的表示は産地の共通の財産であるが、商標は自然人・法人または団体が一人で独占できる権利である。あ~、これって縦割り行政?それとも・・・。


馬名は商標として使えるか?

2015-06-04 10:32:10 | 日記

先日、今年度のダービーは終わった。競馬好きの諸兄にはたまらない一日だったろう。この競走馬の名称等には,著名人の名称等が有するのと同様の顧客吸引力を有するものがあり,そのよう な場合には,その名称自体等に経済的価値がある。

競走馬の名称等が有する経済的価値を保護する ためには,商標法,不正競争防止法等の現行の知的財産関係の法律が認める権利や救済方法等がある。さて、競走馬の所有者は,競走馬の名称等が有する経済的価値(無体的価値)を独占的に支配する 無体財産権(物のパブリシティ権)を有するものと解し,馬名を保護されなければならないと思っている。

現に, 競走馬の所有者が,ゲームソフトを製作し,販売する会社との間で,その所有する競走馬の名称等の使用を 許諾するにつき,使用料の支払を受ける旨の契約を締結している例がある。このことからも,競走馬等の物 のパブリシティ権を一定の要件の下に承認し,これを保護するのを相当とする社会的状況が生まれていると いうべきである。

したがって,顧客吸引力を有する競走馬の名称等を第三者がその所有者に無断で使用するなどして上記の無体財産権を侵害した場合には,不法行為が成立し,損害賠償請求権が発生する。もっとも,上記の無体財産権は,現段階においては,排他性を有する権利とまではいえないから,差止 請求を認めることはできないと判例は示している。

結局、G1馬等の馬名を使用する場合には十分知的財産に注意を払わなければならないのだ!


地理的表示が目指すものは?

2015-06-02 10:38:44 | 日記

地理的表示(GI)保護制度が6月1日よりはじまった。それとは別に、地名プラス商品名で商標を独占使用できる地域団体商標制度がある。例えば、関さば、関あじなどが有名である。

こうした地域ブランドは、品質を守る努力はあくまで自主的なものにとどまるでしょう。また、ブランド名のただ乗りという侵害もある。侵害への対応は訴訟など自力救済しかない。これらの地域団体商標制度の課題を克服するために、わが国でも地理的表示保護制度を創設するため昨年6月に「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法)が成立した。以下は地理的表示保護制度の特徴である。

(1)地理的表示を生産地や品質などの基準とともに登録
(2)基準を満たすものに地理的表示の使用を認め「統一マーク」を付す
(3)不正な地理的表示の使用は行政が取締り
(4)生産者は登録された団体への加入で「地理的表示」を使用できる

この制度が、伝統的な産地と結び付いて地域団体商標と地理的表示制度を相互補完することが可能か?もしかしたら、農水省と経産省の縄張り争いに終わらないことを願います~(笑い)。