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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

「面白い恋人」と「白い恋人」

2015-06-15 11:07:47 | 日記

2年ほど前のチョコレートの話です。「面白い恋人」というネーミングを聞いたとき、「白い恋人」だと勘違いして「面白い恋人」を購入した人がいたかも知れません。中には、怒りを覚えるどころか、さすが「お笑いの本家である吉本! 」と、感心した人も多数おられるのではないかと思います。そこに、ユーモアや笑いが感じられたことも否定できません。

しかし、法的には、「さすが!」とばかり言ってはいられません。長年かけて築き上げてきたブランドに便乗するような行為は、いかにユーモアが効いていても、許されない場合があるからです。

被告吉本興業側は、「面白い恋人」の商標のまま、販売を継続できる形で和解した(2013年2月13日、札幌地裁)わけですから、満足できる解決が得られたといって良いでしょう。

一方、原告石屋製菓側は、誤認混同が認められる可能性が低いと見られていた状況下でも、自社と北海道にとってのブランドの重要性を考えて提訴に踏み切った結果、本拠地(北海道)での商圏は維持できたので大きなダメージを受けずに落着できたのではないでしょうか。この事件から学ぶべきは時間と費用より経営戦略の視点が大きいと見ることはできませんか?