韓国発でフランチャイズ(FC)展開するデザートカフェ「ソルビン(雪氷)」のマーケティング担当者は先月末、市場調査のために中国・広州市を訪れたところ、信じられない光景を目にした。本社直営の「ソルビン」の店舗からわずか100メートルあまり離れた通りに偽物の「ソルビン」がオープンし、多くの客でにぎわっていたからだ。
ハングルで書かれた看板やメニューだけでなく、店員の制服まで韓国国内と瓜二つで、普通の消費者ならだまされてしまうほどだった。ソルビン関係者は「店長に抗議したら、むしろ『ウチが元祖だ』と言い返された」という。実際に偽物は本家よりも先に「ソルビン」という名称で中国で商標登録してしていたため、提訴することもできなかった。
中国の無差別な韓国商標先取りで、中国に進出する韓国企業の被害がどんどん広がっている。中国企業やブローカーが韓国の有名ブランドを中国で先行して商標登録し、それを高値で韓国企業に売りつけたり、偽物のサービスを量産したりとやりたい放題だ。韓国企業は中国に進出しようとしても足止めを食い、まずブローカー相手に商標登録の無効訴訟を起こしたり、商標の譲渡交渉を行ったりするのに時間を費やさなければならない。
韓国特許庁によると、韓国企業を狙った中国の商標ブローカーは40社以上に達する。これら業者による被害を受けた韓国企業は昨年だけで1125社に上り、中国国内での商標権を奪われ、営業ができない上、商標使用料も受け取れず、損失は毎年拡大の一途だ。売上損失を含む総被害額は年間2000億-3000億ウォン(200億-300億円)に達すると推定される。商標を取り戻すため、ブローカーに巨額を支払うこともある。2012年にアップルは「iPad」の商標を先行登録した中国企業に6000万ドルを支払った。