思考の踏み込み

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前田智徳17

2014-08-13 05:15:50 | 
面白いのはこの水谷コーチ、選手に混ざって寮暮らしをしていたときのエピソード。

若き野村や町田、緒方もいたその寮で水谷コーチの両隣の部屋が江藤と前田だったという。



「夜寝ようとすると、隣の部屋から音が聞こえてくる。"ブーンブーン"。

前田の部屋からや。
江藤の部屋からは聞こえてこん。

やがてその音は "ブンブン" と鋭くなっていき、最後は "シャリーン" というカミソリで紙を切った様な鋭利な音になった。」

「あいつは皆の前ではやらん。一人でやる。毎日毎晩。

江藤の部屋からは聞こえてこん。(笑)

前田は野球から逃げることをせんかった。どんなときもグチひとつ言わずにコツコツやった。だからあれだけの成績を残せたー 。」




なんとも前田らしい挿話であるが、これだけ前田を見続けた名コーチも、やはり前田の他を寄せ付けないほどの "努力" こそがその天才性の主な所以であるとみている。

はるかな後年、阪神のコーチとなっていた水谷のもとへあるとき電話が入る。

「前田さんから電話」と水谷夫人。

「前田? どこの前田や。」

電話の主は、その夜2000本安打を達成した前田智徳。

「おかげで達成できました。ありがとうございました。」

水谷実雄。泣く子も黙る鬼コーチ。現役時代は山本浩二らとともにカープ黄金期を支えた名選手。




すでに他球団にいるこの昔の恩師に、真っ先に報告する律儀な前田智徳。

"孤高" と評され、実際孤独な道を歩み続けたこの男にこうした "心の師" がいてくれたという事は、我々前田ファン達もまた一緒になって感謝したいくらいである。


さて ー、話を戻さなければならない。

前田智徳の天才性についてである。



"前田は誤解されている。けして天才じゃない"

(このポスターは前田自信お気に入りだったようで、一枚だけ欲しかったらしい。だがなかなか球団に自分からは言えず、見兼ねた奥さんが球団に頼んでもらってきて本人にあげた、というエピソードがある。)



さて、
ー そもそも天才の本質とはいったい何か?

それを知るには同じ打者として前田の天才性を評価する声よりも、実際に前田と相対し、その凄まじさを身を持って体験し恐怖すら味わっていた投手達の証言に耳を傾ける方が近道であるかもしれない。




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