
魂うらはら・・・(by少年隊)
例えコガラシが幽奈さんを選んだとしても、
誰もが認める様な「普通の幸せ」は望めないだろう
幽奈さんもそれに対して自覚的な面があったからこそ
ああいう態度を取ってしまったのだと思います
本心ではない笑顔、
本心ではない後押し・・・
それは冒頭付近のこのコマからも顕著に表れています

この表情こそが本心。
幽奈さんもまた、ある意味人魚姫と似たような境遇だった
今のコガラシがみんなに受け入れられてるのは幽奈さんが居たから、、、とも言える
もし幽奈さんが居なかったら、ポルターガイストが起こらず事件の解決も頼まれず
(千紗希さんがコガラシに解決を頼もう、と思ったきっかけの一つにあの不可解な現象があったと思われる)、
未だに誰にも信じてもらえなくて孤立していたかもしれない
何より、先に出会ったのは幽奈さんの方である
別に恋愛に発展する様な出来事があったわけではないけれど、
それでもやっぱり拭い切れない複雑な感情が彼女の中にはあったんでしょう。
そして、「自分は人間ではないから」という、そういう気持ちにもシンクロしてしまって
正に今の幽奈さんにとって最も感情移入出来る物語がこの人魚姫だったんでしょうね
どことなく(自分の好きな人を)奪われたような気持ち、
でも(種族が違うので)諦めを抱く心情、
最後には消える事を選択しようと思う決意・・・と考えれば考えるほど幽奈さん向けの題材だと言える
本当はもっと別の振舞いをしたい、幽奈さんだって本当は・・・、と
彼女の本心が水面下で伝わってくるからこそ
読み手としても感情移入が出来る、
見事な作劇に仕上がってたなあ。と思いました

これが本当の・・・
だけど、千紗希さんとしては、本心を隠して、辛い気持ちのまま諦めて欲しくはなかった
コガラシが人間の誰かとくっ付いたら幽奈さんが潔く身を引くのは明白だったので
そうじゃない方法を、
そうじゃない生き方を、
「友達として」彼女にして欲しかった
だから、無自覚に劇の行く末を変えてしまったんでしょう
それは千紗希さんからの幽奈さんに対する後押しでもあった
本当は寂しくて仕方ないのに大丈夫そうに笑って、
本当は悲しくて仕方ないのに平気そうに振る舞って・・・
それは一見利口で大人らしい割り切った態度にも思えるけど、
よくよく考えたらそれは自己犠牲で
自分自身をただただ擦り減らす行為に過ぎない
「人間同士で結ばれる」のが“普通”だとは思うが、
コガラシが最後に言った通り幽奈さんだって人間と何も変わりがない、
一人の恋する少女、、、である事もまた事実なのだ
それを誤魔化さずに、
しっかりと向き合う・・・事が千紗希さんの願いであり
これからの「ゆらぎ荘の幽奈さん」のテーマになっていくんだろうなあ。って思う
何もしないで、“手前の中だけで”勝手に判断して勝手に諦めるのは簡単だし、ある意味最も「楽な」選択だとも言える
でも、そうじゃなく、ちゃんと闘おう。ちゃんと考えよう。そして、ちゃんと素直になろう・・・!ってのが
今回のテーマでありメッセージなのだと個人的には感じ取りました
今こうやって自分なりに噛み砕いて感想にはしてますが、
相当に奥深い・・・
とてもすべてを簡潔に表現する事は難しいような筆舌にしがたいレベルの名エピソードでもありました
千紗希さんは、幽奈さんの「友達」として、そう簡単に逃げ出す事は許さなかった
そんな彼女の選択もまた厳しくも優しい尊さに満ちたものだとも感じました
同時に、幽奈さんに突き付けられた“宿題”でもあるんでしょうね
今週は完全に幽奈さん視点で、
コガラシがただの恋する対象として描かれており
正にタイトル通り「ゆらぎ荘の幽奈さん」そのものなお話でした
幽奈さんが主人公として振る舞ってて、
文字通りに“揺らぎ”を魅せる・・・という
ある意味今までで最も作品タイトルに沿った内容だったなー、と。
幽奈さんの恋も、作品自体も、来年も一生懸命応援して支えて行きたいですね
今年の感想はこれで終わりですが、来年へ美しく繋ぐ切ない名話として仕上がっていて
本当に良い締め括りだったなぁ。と思いました
幽奈さんの幸せ、
幽奈さんの本懐・・・って事で
幽奈さんに大幅にスポットが当てられたのも本作の基本に立ち返る構成で良かったと感じました。
今週分読んだら「ホントに幽奈さんには幸せになって欲しいなあ・・・」って強く思ってしまう、そういう引き込ませ方が実に秀逸でしたね。

扉絵もまた美しい。
余談ですが、幽奈さんの憑依ネタはコメディのきっかけとして今後も使えそうだな~と思ったのと
切なさ優先の作劇は前作「恋染紅葉」っぽいなあ。って、そんな事も思いながら読みました
エロがほぼ皆無のお話でしたが、それでもバッチリと読ませられる事がその分(改めて)証明出来た、
ミウラさんの実力、恋愛漫画としての旨味もきっちりと提示する事が出来た。。そんな会心の話数だった。と、力強く思いました
今日も早朝からアンケ投函して来ます!
エロがあってもなくてもゆらぎ荘は余裕で面白いですね(笑
幽奈さんが「好きになってもいいのか・・・」と悩むあたりはこの手の作品としてとても誠実に思いましたし、
個人的にはハーレムエンドではなく、ちゃんと決着付けてくれそうだな~って期待を煽ってくれました
こういうシリアスで切実な話数を挟むことによって物語全体も引き締まると思うので、そういう意味合いでも
やって大正解ですし、直面させるべき問題だったかのように思います。
>幽奈にはぜひ幸せになって欲しいです。
今回で、その想いが明確に強まりましたね。
>他だと千沙希は今回幽奈の背中を押してくれましたけどこの子自身の気持ちはどうなんだろうと思いました。
千紗希さんはまだ本格的には惚れてなさそうですね
頭の良い子ですから、周りに遠慮しちゃってる部分もあるのかもしれません
千紗希さんを使っても胸熱なエピソードが作れそうな予感はしてます。この子もこの子で難儀な子っぽいですからね(笑
自分を押し殺してでも、他人の幸せを選択するような・・・。
今週の内容を見て、自分も本当に来年の幽奈さんが楽しみになりました。
人間に恋してはいけない・・・という心情をここまでシリアスに切り取ってくれた事で作劇に対する信頼感も高まった気がしますしね。
悩んだ分だけ、報われた時のカタルシスも大きいですから。