サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

【弱いっていけない事なの?】「あかね噺」 8~9巻の感想

2024-02-29 | 単行本感想












かつての好敵手、ひかるを含む前座錬成会の模様と結果が8~9巻では描かれている。
そこで主人公のあかねが披露した落語は・・・
強さや上手さではなく、
「弱さ」を魅せる驚きの落語だった。
そこで彼女の脳内世界で問い掛けられた「強くなきゃいけないの?」というテーマは、
ある種アンチジャンプ的であり正直考えさせられる部分が強かった。

そもそも、
弱い人間は存在してはいけないですか?
正しくなければ許されないですか?

でも.....
いくら頑張ったところで、
誰もがナンバーワンになれる訳でも、
誰もがスーパーマンになれる訳でもない。
だけど、
確かにここに存在している。
もう、それだけでもいいんじゃないですか?という事を描いている様に思えて、
ある種常に「上へ上へ」「頑張らなくちゃね」としかめっ面で息巻いてる日本人の性質とは、
あまりにもかけ離れたあかねのアンサーに読んでて震えてしまった。







(他人よりも)弱いと、
(他人よりも)下手だと、
どこか惨めさを感じるし情けなくも思うし悔しい気分を憶えるのは日本人らしい考え方だと思う
だけど、その考え方でいくと頂点の人しか幸福になれない~という事になってしまう
そこで、
過去のあかねから投げられた「強くなきゃいけないの?」って言葉には読んでて泣きそうになった
いつの間にか、誰に強いられた訳でもないのに、優れなくちゃ、完璧にならなくちゃ~と自分を虐待していた
でも、
この日のあかねの落語は、
そんな人間の「弱さ」も「出来なさ」も包み込んでくれる様な何よりも温かいものだった。
例えば、現状を変えたい、もっと頑張りたい。って自分を卑下しながら進む毎日をずっと繰り返すのって
一体いつどのタイミングで充足感とかを得るんだろう?とは前々から感じてたし、
やっぱりストイックさだけがすべての世界って息苦しい。
ってのを、
少年ジャンプでやってしまうセンスには痺れましたね
あかねは父親への憧憬が強すぎるあまり、彼の芸を美化しがちなところがあったみたい
だけど、本当はそうじゃない、弱いからこそ弱きの気持ちが分かる人間味が彼の落語の本質だった
そして、
そういう落語で勝ち続ける事が真の意味合いで一家の正しさを証明する~って事になると思う。
そういう落語は、誰もが報われてる訳では無い読者の心をも救う気もしました。







っていう事に気付き、
本当の意味で大好きだった父の落語を「識る」事が出来た
いずれはあかねはあかねで父を超えていく事になるんだと思う
ただ、
それに気付くのが遅かった。
それまでの方向性が足を引っ張り、
結果的には・・・
審査員受けは一番良かったものの、ある種一番大事なお客さんの評価が足りずに優勝は出来なかった。
 の、前に、
例え審査員受けを度外視しても、
この場に集まってたり配信で観てくれてるお客さんに全振りして演じ切ってみせた嘉一もまた素晴らしかった
落語はお偉いさんの為にあるんじゃない、お客さんの為のものだ。という芯の強さが素敵でした。
伝統も確かに大事だけど、どんどん形が変わっていくのも日本らしさだとも思う。
そして、彼は大人なので言う事にいちいち深みがある様にも感じた
結果的には、
ひかるどころかあかねにも負けて3位でしたけど、
彼もまた素敵なキャラクターなんで今後も頑張って欲しいですね。







で、まあ、
先述しちゃってたけど、
優勝したのはまさかのひかるでした。
っていうか、
「あかね噺」って主人公に負けさすタイプの漫画だったんだ~って感心しましたね
管理人の大好きな「みどりのマキバオー」にも通じる部分があってニッコリでした。
ひかるの落語は、見事だった
優勝するのも頷ける
単純に分かりやすいし、
客観的に考えても勘違い系の笑い話はウケを取りやすいのも理解出来る
声優という今まで培って来た技術を否定せずに、
❝ひかるのまま❞勝ってみせたのも正直素晴らしかった。

過去を否定せず、
過去も大事にして鮮やかに勝利してみせる
そんな生まれ変わったひかるの底力には感服させられた、、、が、
まさかこんな早くリベンジ達成するとは思わなかった(笑
自分も、
あかねと同じく、
あかねをねじ伏せてしまったら満足して落語を辞めるのではないか?って思ってた
 けど、
ひかるは辞めなかった
お客さんの評価の高さで総合的に勝利したけど、
審査員受けしたのは明確にあかねだったのは事実だから。
なので、
こんなものじゃ彼女が受けたトラウマは払拭されないだろう
今は、落語の世界で高め合う事自体に夢中になってる感もあるし、ひかるの今後も楽しみですね!!







ただ・・・
あかねがひかるに負けて号泣するシーンもかなりインパクトあった。
あかねは結構あっけらかんとした性格でもあるので、
負けても泣かないんじゃないかと思ってた
でも、
今回は父が得意としていたネタで負けたのがデカかったみたい
そもそもあかねは大衆の前でこき下ろされた父親の仇を討つ為にこの世界に乗り込んで来た訳で、
だからこそ、
父親のネタで負けるのは彼女の中では許されない事だった
父親のネタで負ける事は忌まわしい過去を正解にしてしまうも同義なので、
再び父親の存在が否定された気がして大泣きしてしまったんだと思う
 この涙を見た時、
胸が痛んだ
主人公がたまに負けるのは漫画としては予想が付かなくなって良い事のはずなのに、
あかねが親父の得意ネタを使って敗北した事実にもらい泣きしそうになった。
あかねはそもそも父親の正しさを証明するのが目的で、
決して落語王になる為にやってる訳では無い。
だからこそ、
読者としても悔しさを覚え・・・やっぱり、この娘を応援したい。って気持ちになりましたね
「強すぎる想い」と作中で皮肉られてたけど、そりゃ強すぎるって状態にもなるわな。
全力で人情的な落語に邁進するあかねの未来にも期待...です!

あかねのリベンジを拝むまでは決して本作からは離れられないでしょう
あの涙を見たら「勝ってても良かった。」って思っちゃうけど、
でも.....人生に挫折は付き物ですから。
可愛いのもあるけど、人生賭けて大好きなものの為に生きている姿が尊敬も出来て好きなんだと思う。
それと、新しい師匠に「ギャル」って言われてたけど、本当にギャル系にも見えるよね(笑
こういう娘がジャンプ漫画の主人公してるのも多様性ある令和っぽくて良いと思う。







多様性と言えば、
主人公のあかねは勿論、
兄弟子たちの想い、そして遂に登場したあかねの親父.....等々、
気が付けば様々な人間のドラマが描かれる職業漫画みたいにもなってきました
この辺は、
これまた管理人の大好きな「モンキーターン」を彷彿とさせます
っていうか、ジャンプと昔のサンデー漫画のミックスにも思えるんですよね
主人公のあかねだけではなく、
彼女を取り巻くみんなにも各々の人生があって、
決して脇役を演じたい訳じゃない
既に、
あかねに抜かれてしまったぐりこ兄さんの意地
彼は彼でこの漫画が「弱さ」を肯定した事でフィーチャーされたキャラにも思える
世の中マウントって言葉が流行してますけど、マウントを取られる様な側にも人生があって、
血の通った人間である~って事を痛感させられるシーンでした
 まあ、
ぐりこはマウント取られた訳では無く、
自ら察して「自分がこのグループの中で一番実力が無い。」って認めた訳ですけど、
それもまた辛いよな.....
想像以上に長寿漫画になりそうな気配もしてきたので、
当ブログもよりどっしりと本作とは向き合っていかなければ~と思いました。







一方、
ひかると並んで
もう一人の同世代ライバルポジションのからしも頑張っている
からしは意外とモテるのか幼馴染にひっそりと想われてるみたいなんですけど(笑
ただ、
からし自身は、
潜在的に好きなのかどうなのか、
あかねがひかるに負けた事にショックというか、
「強くあってくれよ。」みたいな切望も感じたりもしました
やっぱり、
あかねの事色々な意味で意識してるのかな・・・
それはそれとして、
あかね自身の評価が高まって来た事であかねにも昇進の話が出てきました
今度は、あかねは二ツ目昇進に向かって頑張っていく~流れになっていくっぽいですね
傷心から立ち直って、「塩からし」とか言ってる辺りの描写を見て安心もしました
活きの良い新米から、しっかりとした実績を奪いに行く...という新たな挑戦
10巻は3月に入ってすぐに出るので取り敢えずそちらが楽しみです♬


関係無いけど、
第七十三席の水着の扉絵を見る限り、
あかねは胸に関して言えばひかるに余裕で勝ってますな。。
(マジで関係ねぇーーー)















オマケ 最近ジャソプの表紙を飾ったイラスト。



しかし、
あの涙にはヤラれた・・・
泣き顔は可愛くもあったんだけど、
それ以上に、水面下の心情が痛いくらいに伝わって来て、
絶対にこの娘が親父の鉄板ネタで万雷の拍手を受けるトコ見届けないかん。。という想いにさせられた
誰よりも主人公を応援したくなる~って時点で良質な漫画なのは疑い様もないですね。



最新の画像もっと見る