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サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

ボトムオブザワールド/eastern youth

2015-07-05 | アルバム感想





抑圧と不条理は向こう側の車線に
絶望と諦めは手前の信号に
中傷と嘲笑はコンビニの裏手
なんでもねえ
なんでもねえ
泣いてなんてやらねえ (コンクリートの川)








あなたは自分が「無価値な人間」だと思うでしょうか
俺はいつだってそう思っています
毎日考えます
仮に俺が物凄くコミュニケーションが上手くて物凄く素直でピュアで物凄く“誰か”に愛され必要とされるような人間ならば流石に考え直しますが
今のところそう感じたことは人生で一度もないですし、そう感じられるような気配すらありません
よしんば時に何かを掴んだとしても、結局掴んだ手の中から溢れ出して自分では処理し切れなくて見捨てられるような出来事ばかりでした
そのくらい出来損ないで、虚無感ばかりを受けながら日々過ごしている「失敗作」だと現時点では思わざるを得ません
っていうか「出来損ないじゃなかったらもっと良い暮らししてるよ!」「もっとちやほやされてるよ!」っていうのはありますよね(笑

でも、このアルバムを聴いていると、
だからこそ心が熱くなって胸が掻きむしられる
“上手く行ってるから楽しく生きる”という選択肢だけでなく
“上手く行ってないからこそ歯を食いしばって生きる”という選択肢もあるんだ、という事を改めて教えてくれる内容になっています


本当は誰の指図も必要なくて
誰の顔色も伺いたくなくて
でも、時に“群集心理”ってやつに負けそうな自分も居て
気が付けばいついつかなる時でも息苦しさを感じている自分がいて
それでも負けねえぞ、とか
それでも泣かねえぞ、とか
俺は俺の道を往く
お前と同じ道は(それが結果的に幸福的で安心感に満ち溢れたものだとしても)行かねえ、だとか
自分が欲しかった言葉だったり常日頃感じているモヤモヤがほぼカバーされているような作中観の楽曲ばかりなので
正直聴いていて凄く気持ち良かったし、スッキリしたし、「これだよこれ!」って感覚が自分の中ではありました

俗に言う「この世に必要とされてない人間」だったり
(実際問題、他人と大して関わり等持ってない上に不器用の極みであったら正直必要不必要かで言えば前者ですよね)
「無駄な人間」「無価値な人間」と呼ばれる全ての人々に向けたメッセージと応援のようなアルバム
勿論eastern youth自身はメッセンジャーでもなければエールの気持ちも更々ないでしょうけど
そこは受け手が“勝手に”解釈して良い部分ですし、そう聴くのも自由だと思います
少なくとも自分は今作に収録されている楽曲群を聴いていて
真っ直ぐに胸が熱くなったし、
生きてやろう、って思ったし
勇気をもらえたし
素直に「頑張ろう。」って感じ取れたし
その“全身全霊”の音像に聴いてて泣きそうにもなったのが本音です
無価値だろうが無駄だろうが、精一杯生き抜いてやる、最後には笑ってやる!
そんな気概と意志をまざまざと感じれるアルバムで同時に「今の」eastern youthらしいアルバムだなあ、とも思いました
「今の」っちゅうのはどういう意図と意味なのかは一言では形容出来ませんが、もうそれぞれの解釈で考えて頂けたら。
兎角、ここまで書いておいてなんですけど「聴けば分かる」類のアルバムだと思います

全編通して抜けの良いメロディ、どん底なタイトルの割にはポップで明るいメロディが多く
より軽やかに自由に解き放たれたeastern youthが楽しめるアルバムでもあります
リードトラックの「街の底」はミディアムロックと思いきや
曽我部恵一みたいなポエトリーにナンバガみたいなセンスが加わって、でもサビを聴けばどうしようもなくイースタン、と
変わり種でありながら王道っていうまた一歩突き抜けた新しい大名曲として鳴っています
続く「鳴らせよ 鳴らせ」はバンドアンサンブルの若手みたいな勢いとガムシャラなサビに思わず胸を打たれる激情ロック
先述の「泣きそうになった」というのはこの曲の事です
「イッテコイ カエッテコイ」「ナニクソ節」など美メロが冴える曲も多く往年のファンでも納得して聴けるアルバムになっているかと
かと思えば童謡っぽいメロディが新鮮な「茫洋」、
“あの人”の事を歌ってるんだろうな、と(勝手に)思っている名曲「テレビ塔」など聴かせるタイプの曲もあり
そしてタイトルの時点で大好きな「直に掴み取れ」は向井秀徳、グループイノウのcp、ブッチャーズ射守矢雄等がコーラスで参加しているビッグアンセム
特に向井秀徳は間奏でラップまでも披露していて、でもこれもまたサビはどうしようもなくイースタン、っていう
新しいeastern youthを模索しつつも、「らしさ」は薄まらせない絶妙なバランスの新作に仕上がっているかと
アレンジや構成の面でも長年のファンでも新鮮に感じる部分が多々あり、
まだまだ才能が尽きてない事を証明するにはうってつけのニューアルバムって個人的には断言出来る
というか、ロック好きならeastern youth聴いて下さい
この国のロックが好きならeastern youth聴いて下さい
今作を聴いていて、思わずそう感じちゃいました
そう思わせるほどの傑作です。
出来れば聴いて欲しいし、でもただ聴くだけじゃなくてあなたの胸に突き刺さるものがあればいいなあ。っていちファンとして願わざるを得ません。






訳も分からずただ歩き出した
訳も分からずただ喋り出した
いつしかその涙は否定され
それからその泣き声も奪われた
意味なき故の価値を見失い
価値なき故の意味なき命か (街の底)



色々書いたけど、「自分がなんで生きてるかがよく分からない」みたいな、
そんな事をしょっちゅう、もっと言えば毎日考えてるような人はこれを聴いてちょっと気持ち助けられる部分があるのでは?と
聴きながらふと感じたのでこの文章を書きました。価値も意味もない人生、でも、今、生きてる。それだけ。「それだけ」に心揺さぶられる。