読書と追憶

主に読んだ本の備忘録です。

三沢厚彦作品展 山代巴展

2008-03-08 15:38:02 | 日記
 美術館に「三沢厚彦 ANIMALS+plus」を見に行った。動物たちがかわいいというよりちょっと不気味で無愛想で不思議な存在感だった。さわってはいけませんと言われていたけどつい撫でたくなって、こっそりしろくまのおしりをなでなでしてきた。

 その後、文学館に行って「山代巴展」を見た。山代さんの経歴、作品紹介のパネル、本、書簡などがたくさん展示してあり、昔著作集を読んだときの感情が蘇って胸がいっぱいになってしまった。にわか右翼はよく「昔の日本人はもっと誇りがあって・・・」みたいなことを言うけど、「荷車の歌」や「囚われの女たち」に出てくる女性たちの人生はひどすぎる。あんな差別や人権侵害を当然としていた戦前の日本になんて絶対帰りたくない。奴隷のように自由も権利もなく、一生過酷な労働をしつづけた女性たちや植民地の人たちを犠牲にしてはじめて成り立っていた社会だったじゃないか。日本はそこから這い上がってやっと豊かで平等な社会になったのだ。たぶんもうみんな忘れてしまったのだろう。心配なのは日本が経済的に低迷し、だんだん貧乏になってくるにつれて、また誰かが誰かを一方的に搾取するような不平等な構造が生まれ、それを正当化するための思想的拠りどころとして戦前の思想が使われるのではないかということなんだ。うわー、絶対いや。
 また山代巴をきちんと読み返さなくちゃと思った。

 それから常設展に井伏鱒二の部屋があり、山椒魚が潜む岩屋コーナーもあったのでびっくりした。ボタンを押すと山椒魚がバタバタと動く。穴の中にはちゃんと蛙もいた。二匹とも飢え死にしたんじゃなかったのか・・・・。

 

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