猫山の乳がん日記

2009年11月、2年半かかった乳房再建が完了。ホルモン治療は副作用のため1年間で中止し、無治療です。

「八日目の蝉」

2008年02月12日 | 読む
「八日目の蝉」(角田光代 著)



長距離通勤でへとへとになっている最近の私ですが
この本を読んでいる間は幸せでした。
電車に乗れば続きが読めるから。
久しぶりにそれぐらい入り込んで読みました。

不倫相手の赤ちゃんを誘拐してして逃亡する女と
誘拐された子供のその後の話。

と、それだけ聞くと、なんて不道徳なんでしょう
と思ってしまうのですが
読み始めると、どうか希和子(誘拐犯)が1日でも長く
薫(誘拐された子)と一緒にいられますようにと
希和子とともに強く願っている自分に気づきます。
人さらいを応援してることに罪悪感を感じながら。

ここまで強い思いを持って育てるなら
もはやそれが犯罪だとは思えない。

実際には逃亡して赤ちゃんを育てるとか
たまたま撮られた写真がフォトコンテストに入選して
新聞に載って居所がバレるとか、
まずありえない話なんですが
そんなことはどうでもよくなってきます。

希和子がスーパーで米や醤油を買うとき
それは単に商品ではなく、明日も明後日もそれを使う、
家で食事をする、という穏やかな保証なのだと思う場面
がとっても心に残っています。

普段当たり前にしていること、ともすれば、あぁ、もううんざりと
思ってしてることが、他の人にとっては幸せだったり
するんですよね。

私はもちろん犯罪者でも逃亡者でもないけれど
ここ何年も今の生活を「仮」だとずっと思っており
今後長く使うようなものは買わずにいます。
テレビがいまだにブラウン管だよ…
だから希和子の気持ちがちょっとだけわかった気がしました。

未婚/既婚、子供の有無などによって感じることは
全く違ってくると思いますが
私は、幸せの形は人それぞれなんだということ、
幸せは日々の生活の中にあるものだということを
強く感じました。


本日のよかったこと
のめりこめる本を読めたこと 


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