うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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ついに、なでしこジャパンのユニフォームに世界女王の称号が与えられる

2011年08月15日 | サッカー(女子)
日本代表のオフィシャルサプライヤーであるアディダス ジャパンは、今夏に行われた女子ワールドカップで世界ランキング1位のアメリカを破り初優勝に輝いたなでしこジャパンの快挙を記念して、「なでしこジャパン オーセンティック チャンピオンジャージ2011」を20日から限定販売すると発表した。

 ユニフォームの右胸にはFIFA(国際サッカー連盟)から贈られた世界女王を表すワールドチャンピオンエンブレムが施され、左胸には優勝を表す星が刻まれている。

 なでしこジャパンは19日、「東日本大震災復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」でなでしこリーグ選抜と対戦。ユニフォームが初披露される予定だ。また、以降も、目標であるロンドン・オリンピック優勝へ向けて、同ユニフォームとともに歩むことになる。

〔サッカーキング 2011年8月15日の記事、写真は日本サッカー協会より〕


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世界のライバルどもよ、この紋所が目に入らぬか!!

8月18日に総理官邸で国民栄誉賞を表彰されることになった、「なでしこジャパン」ことサッカー日本女子代表。国民栄誉賞は個人では過去に18人おりますが、団体ではなでしこジャパンが史上初となる受賞です。「政治利用」の批判が常に付き纏う賞ですけど、未練がましく権力の座に居座る無能政権の支持率が今更上がるはずがないので、ただの野党のやっかみに過ぎないですね。「政治利用」の批判自体が立派な政治利用ですし、それに逆の立場なら絶対に贈っていたはずですから。国民栄誉賞以外にも、選手個人に出身地などの自治体からあらゆる表彰をされ、さながら“表彰式ラッシュ”です。ちなみに、私の地元の神奈川県厚木市は永里優季と同じ出身地です。ただ、北京五輪で4位入賞した際に、既に市は「市民功労賞」を永里に贈っていたので、今回は急遽慌てて特別表彰をしました。永里はW杯では不本意な出来だったので、来月に中国で開催するロンドン五輪アジア最終予選では、一緒に代表選出された妹の亜紗乃とともに大爆発してもらいたいです。

国民栄誉賞と同じく、なでしこジャパンには嬉しい栄誉を戴くことがあります。それは、国際サッカー連盟(FIFA)が先の女子W杯ドイツ大会で優勝したなでしこジャパンに対し、代表チームのユニフォームに現役の世界女王の証である「チャンピオンバッジ」と、W杯の優勝回数を表す「星」を付ける権利を与えられたことです。チャンピオンバッジは右胸に、星は左胸に入っている日の丸と日本サッカー協会の紋章の間のスペースに、それぞれ刺繍されます。なお、現在男子でチャンピオンバッジをユニフォームに刺繍されている代表チームが、昨夏の南アフリカW杯で初優勝したスペインです。ご存知の通り、スペインは決して体格に恵まれたチームではありませんが、高い技術とパスワークを駆使して最先端の内容で世界の頂点に君臨している国です。同じ系統のなでしこジャパンが彼らと同じ称号を手に出来るのは本当に光栄の極みです。しかも、この2つの称号を手にしているアジアのナショナルチームは、男女を通じてなでしこジャパンが唯一なので、非常に価値があります。自分が生きているうちに、日本のユニフォームに世界王者の称号が入るなんで、今でも信じられない気分です。

チャンピオンバッジの歴史は意外と新しく、2008年からです。この時点での現役の世界王者だった男子のイタリアと女子のドイツに最初の権利が与えられました。W杯優勝国に許されるこの称号は4年後の次回大会の開催まで使用が許されます。基本的にFIFAが管轄する試合に出場する際に、このバッジを付けたユニフォームを着用出来ます。チャンピオンバッジを例えるなら、スキーW杯の「イエロービブ」(種目別年間暫定総合1位の選手にのみ着用を許される黄色いゼッケン)や、自転車レースのツール・ド・フランスの「マイヨ・ジョーヌ」(個人総合成績1位の選手に与えられる黄色のリーダージャージ)と似たような感じです。ちなみに、同じスキーでも、アルペンの種目別暫定1位は「レッドビブ」と呼ばれてます。なお、スキーは、最終戦の時点でビブを獲得するとその年度のW杯総合王者となります。スキーの場合、五輪は4年に1度の単発の大会に過ぎませんが、W杯は年間を通して世界各地を転戦して戦うので、五輪よりも価値があると認識されてます。荻原健司と上村愛子は五輪の個人種目でのメダルはありませんが、W杯総合王者の経験があるのでもっとリスペクトされて然るべきです。

優勝回数を表す星は割と歴史があります。世界各国のリーグ戦でも、優勝回数を星で表している国が多々あります。W杯では、ブラジルが1970年メキシコ大会で3度目の優勝を果たし、その記念に3つの星を紋章の上に付けたのが始まりだと言われてます。ただ、星に関しては各国とも基準はマチマチですね。というのも、ブラジルの女子はW杯では優勝は皆無ですが、胸に5つの星が入っているのは男子とユニフォームが全く同じデザインだからです。また、ウルグアイのユニフォームには4つの星が入ってますが、これはW杯優勝2回(1930年ウルグアイ大会&1950年ブラジル大会)だけでなく、2度の五輪での優勝(1924年パリ大会&1928年アムステルダム大会)も含んでいるからです。1920年代はまだW杯が存在しなかったので、五輪が事実上の世界一を決める大会でした。それだけ、全盛時代だったこの当時のことを、彼らは今でも強く誇りに思っている証拠なのでしょう。チャンピオンバッジはボクシングのチャンピオンベルトと同様に、次回大会で敗退すれば剥がされてしまいますが、星はユニフォームに永遠に刻まれます。この星は、未来を切り拓く為に苦難の道を歩んだ先人達の思いが詰まった結晶でもあるので、とても重みがあります。

8月19日に国立競技場で開催されるなでしこリーグ選抜とのチャリティーマッチで、この新しいユニフォームが初めてお披露目されます。また、FIFAの幹部が出席の下、チャンピオンバッジの贈呈式も行われる予定です。ただ、このユニフォームを五輪本番で着られるのかは、現時点では全く不透明な状況なのです。というのも、前回の2008年北京五輪では国際オリンピック委員会(IOC)の通達により、ユニフォームに協会の紋章や、契約メーカーの固有デザインを付けることが制限された為、通常とは全く異なるデザインにさせられた経緯があるからです。北京五輪の男女の日本のユニフォームを見ると分かりますが、左胸に刺繍された八咫烏の協会の紋章が外されて日の丸だけになり、両肩にプリントされた契約メーカーであるアディダスのスリーラインも消されました。前回W杯優勝国だったドイツも北京五輪ではチャンピオンバッジを付ける事が出来ず、その影響なのか大会も3位に終わりました。五輪はFIFA主催大会ではなく、IOC管轄の大会なので、参加国にこのような措置が取られました。今度のロンドン五輪アジア最終予選はアジアサッカー連盟の管轄試合(つまりFIFA管轄下の大会)ですが、現時点では微妙らしいとのことです。

9月1日から中国の済南で開催されるロンドン五輪アジア最終予選は、アジアの2つの出場枠を巡って壮絶な戦いとなることが予想されます。アジアのライバル達は我々の首を狩る為に、手ぐすねを引いて待ち構えてます。水戸黄門の印籠ではないけど、世界女王の称号が入ったユニフォームを身に纏う事が出来れば、それだけでライバルを精神的に威嚇することが可能なので、是非ともチャンピオンバッジと星の入ったユニフォームで戦いたいところです。とはいえ、お腹の星を取られると何をやってもダメになる「オバケのQ太郎」のドロンパみたいにはなりたくないですね(笑)。


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▼北京五輪準々決勝・対中国戦の試合前の集合写真。
ちなみに、3番の池田浩美以外は、全員が今回のW杯&五輪予選のなでしこジャパンのメンバー。
(2008年8月15日 @秦皇島オリンピック・スポーツセンター・スタジアム)





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