ぶろぐ猫の目

笑う門には福来る・・
実験中

悪い夏 恐ろしい小説です

2022-09-20 11:12:48 | 読んだ本の紹介

悪い夏



康太郎氏のおすすめであった、染井為人の「悪い夏」ようやく読めました

一気に読んでしまいました。



ストーリーから



夏の暑い日の話

社会福祉事務所のケースワーカー佐々木は、生活保護を受けている人を訪問し

生活保護を受ける資格があるかどうか、働けないのかどうかを確認するという仕事をしていた。

同僚の高野は、生活保護を受けている愛美に受給打ち切りをネタに脅し

肉体関係を結んでいた。

ヤクザの金本とその情婦の莉華は、愛美と高野の関係を知り

それをネタに高野を脅し、生活保護不正受給ビジネスをしのぎにしようとたくらむ

ところが、同僚の宮田が高野の悪事に気づき

先手を打って、高野を退職に追い込みます

予定の狂った金本は愛美を脅し色仕掛けで佐々木を落とすように仕向ける

女性に免疫のない佐々木は、コロッと騙され金本の餌食にされる

佐々木にとって最悪の夏が訪れた。



とまあこんな感じ

まあ、読んでてぞっとする話でした

旦那を事故で失い、幼い子供を抱えたシングルマザー

保険金も頼る身寄りもない場合、すぐそこに破綻が訪れる

電気ガス水道のライフラインがとまり、食うものもない

つい出来心で万引きをしてしまい、世間からつまはじきにされる

その先には、一家心中することしか残されていない

そんなことにならないように生活保護という仕組みがあるのだが

それを悪用する人間もいる

本当に必要な人に生活保護が認められず

腰が痛いと正業に就かず、怠けてパチンコに明け暮れる人間

身内から金をもらいながら、生活保護をせしめる

河本の親、みたいな人間

こずるい腐った、世の中の最底辺にうごめく人を描いてます

人間、歯車が一つ狂えばそうなる可能性はありますね

うちの実家も相当の貧乏でした。生活保護もらえばいいのにとか

思ってましたが、本当の底辺はそんなレベルではないのですね



佐々木のなんとか回っていた生活が、歯車が一つ狂ったせいで

怒涛の如く悪い方へ悪い方へ転回していきます

その様子は、ある意味滑稽ですらあります

いったい佐々木はどこまで落ちていくのか?

佐々木に救いはあるのか?



非常に恐ろしい小説でした





コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする