北海タイムス物語 増田俊也著
七帝柔道記の作者、増田俊也先生の青春期ともいえる作品
まずはあらすじから
1887年(明治20年)創業の「北海タイムス」。
北海道で有数の購買数を誇る新聞であったが、バブル崩壊後の不況により苦戦を強いられている時代の話
早稲田を出た、野々宮はマスコミ試験を落ちまくったあげく、北海タイムスに入社する。
外回りの記者希望で、記者の仕事を覚えたら、一年で辞めて、全国紙へ!という野望を持っていた。
しかし野々村は記者になれず、紙面レイアウトや見出しをつける整理部という部署に配属される。
唯一の希望は同期の浦さんという訳アリの女性に恋心を抱くのであるが、浦さんは記者に配属され面白くない
また労働条件も聞いていた以上に悪く、給料は他社の6分の1、年収でも200万しかなく業務量は4倍という
超ブラック企業であった。
不承不承の仕事でやる気も出ず、先輩の権藤には冷たくあしらわれ仕事もうまくいかない。
そんな野々村を温かく見守るのが先輩の松田。松田は七帝柔道記の主人公増田すなわち作者の増田さんを投影しているのか・・
そんな超個性的な仲間、先輩にかこまれ、そんなブラックな会社でも次第に愛するようになる。
「仕事っていうのはな、恋愛と同じなんだ。お前が好きだと思えば向こうも好きだって言ってくれる」 新入社員の成長を描く熱血お仕事物語。
とまあこんな感じ
今の時代では、労働基準法なんか無視のコンプライアンス引っ掛かりまくり企業
パワハラ、セクハラ、アルハラは当たり前。そして賃金は最低
そんな会社でもみんな辞めずに頑張っているのは「北海タイムス」という会社への
リスペクトと仕事への自尊心であったわけですね。
今では価値観も変わりはて、金がもらえるなら
意にそぐわない仕事でもやるという人が多くなってると思いますが
どうでしょうか?
昭和世代のおっさんには、理解できる部分の多い小説だと思います
昭和のおっさんの気持ちを理解するための参考書として若い人にも読んでほしい本です