砂の器
松本清張による1960年から61年にかけて読売新聞に連載された推理小説です
わしが生まれる前の作品です
まずはストーリーから
東京蒲田の操車場で無残な死体が発見された。
前日の夜被害者と犯人らしき人物がバーで飲んでいることが判明。
2人はズーズー弁で、地名のような「カメダ」と話していたとの証言をうけ
ベテラン刑事の今西は、東北の「羽後亀田」という駅があることに気づき調査に向かう
そこで、偶然文化集団の「ヌーボーグループ」と遭遇する
以後捜査は行き詰っていたが、被害者の息子からの照会で被害者の身元が判明
被害者は山陰地方の出身者であることがわかり、山陰地方のある地域では
ズーズー便が話されていることも判明した。
島根県のカメダカという地名を発見し被害者が過去カメダカで巡査をしていたことがわかる
今西が偶然読んだ随筆に列車の窓から切り刻んだ紙のようなものを捨てる女給の話があり
ふと、それは加害者が返り血を浴びた服を始末したのではないかと思いつく
今西は随筆にあった長野の線路沿いを歩きその服の切れはしを発見し
自分の推理が当たっていることを確信する
女給の線から浮かび上がってくるヌーボーグループの中心人物和賀。
和賀は前衛音楽の旗手として名を馳せ、代議士の娘との婚約もし
この世の春を謳歌していた
今西は和賀と被害者の接点を必死に追う
被害者は生前、お伊勢参りの途中で急に思いつき東京へ出てきたことがわかり
なぜ、被害者が急に東京へ行こうと思ったのか?
今西は生前の被害者の足取りを追ううち
被害者が東京へ向かう前日にある映画館に行ったことが分かった
映画館には被害者を東京へ向かわせる何かがあったのだ
今西は執念をもってその何かを調べ上げる
被害者と和賀をつなぐ線が見えてくるが、殺人にいたる動機が分からない
今西は、被害者と和賀の過去をさかのぼるうち
業病に侵された千代吉という乞食にたどりつく
石川県に生まれたという千代吉という人物は、業病を患い
幼い息子をつれて巡礼の旅に出ていた
カメダカについた千代吉は、被害者の巡査の好意で療養所へ入ることになった
千代吉の息子は巡査が面倒を見ていたが、放浪癖のためか行方知らずになっていたのだった
今西はその息子がいなくなった時期と和賀の過去を照らし合わせ
和賀の戸籍を調べていくうちに
和賀が千代吉の息子本人であることに気づく
業病の肉親を持つことを知っている巡査は、自分の出世に大きく
妨げになる。
これが殺人の動機であることに今西は納得し逮捕状を請求する。
そして、和賀が渡米する人生最良の日を迎えた当日、今西は和賀と対峙するのであった。
とまあこんな感じ
こないだ読んだ、ゴールデンなんとかみたいな
薄っぺらい本ではなく、じっくりと読ませる本でした
60年前の作品ではありますが、すごく丁寧に書かれていて
恐ろしく面白い本です。
映画化もされてますね
私が幼いときに見た映画は、刑事今西役を丹波哲郎、和賀を加藤剛が演じてた
1974年作の砂の器です。
昔テレビでみて
デジタルリマスター版で見直しました
今西役の丹波哲郎、その相棒の刑事が森田健作
森田刑事が夏の山の中の国鉄沿線を歩きながら白い布切れを探すシーンは
忘れられない
そして、映画の中では存命であった千代吉に今西が和賀の写真を見せるシーン
「こんな人はしりましぇん!!!」
子を思い必死に知らぬ顔をする千代吉の姿には
涙が禁じ得ない
そしてエンディング
人生最高のオーケストラでピアノ演奏する和賀
力強い演奏の場面と着々と逮捕にむけて準備する今西の姿が
オーバーラップするシーンには手に汗を握る
本を読むもよし
映画を見るもよし
ぜひどうぞ