ぶろぐ猫の目

笑う門には福来る・・
実験中

鉄の骨 池井戸潤

2022-09-07 13:49:17 | 読んだ本の紹介

「鉄の骨」池井戸潤



昔、読んだような記憶はあるんですが、内容を忘れてるので

読み直してみたのですが

ことのほか面白かったです



あらすじ

中堅ゼネコン・一松組に入社して4年目の富島平太はある日突然、業務課への異動を命じられる。

大学の建築学科を卒業し、入社以来現場を担当してきた平太にとって、

営業を担当する業務課は正に畑違いの部署だった。



着任早々、区役所への挨拶を命じられた平太は、

公共工事の最低入札価格や指名入札業者の数に探りを入れる上司と役人とのやり取りにはらはらする。

その日の夜の飲み会で平太は、業務課が通称「談合課」と呼ばれる部署であること、

談合がなければ建設業界は立ち行かないため談合は「必要悪」であることを聞かされる。



談合は本当に悪なのか、平太の苦悩の日々が始まる。

時を同じくして、2000億円規模の地下鉄敷設という大型公共事業の情報が入る。

地下鉄工事に関して豊富な知識やノウハウを誇る一松組は独自技術によりコスト的優位に立つが、

社内外のしがらみから、一松組そして平太も談合に関わらざるを得なくなる。

平太は、上司の尾形の命令で、談合を仕切るフィクサーと呼ばれる三橋の元に送られる

三橋自身も談合に対して、懐疑的ではあるが義理の兄の代議士城山の代理人として

その手腕を発揮せざるを得ない状況となっていた。



平太の彼女である萌は、銀行員で平太が談合にかかわることを嫌っていた

上司の園田から求愛され平太を裏切るのだが、平太のことを忘れられずにいる。



そんな中、東京地検特捜部が水面下で捜査を進める中、萌の勤める銀行に調査が入り

危険を察知した萌は平太に談合から手を引くように言うが、

平太は、談合が悪だとわかりつつも会社の1社員としての立場を貫くことを決意していた。



この大型公共事業の入札が始まる。

入札の結果は、そして一松組と平太の運命は。







この小説が出されたのが2009年とのことで10年以上前の小説ですが

当時の建築業界は、談合ありきの体質から抜け出そうと業界が取り組んでいた時期にあたるのか

しかし、談合は業界のバランスを保つための必要悪との考えも間違いとは言えないきがします。

大手ゼネコンは、抱える下請けも含めると何十万人もの人間を支えています

工事を受注できないと、係る人々の生活が脅かされる。

中堅ゼネコンも同様の構図。しかしコスト面では仕入れ力で優位に立つ

大手ゼネコンに太刀打ちするのは難しい。

大手で独占すると、業界内のバランスが崩れる

そこで、談合という方式で全体バランスを図るのですが

そこには、フィクサーと呼ばれる黒幕が談合を仕切り、今回はA社、次回はB社と

割り振るのが通例でした

当然、談合で入札額が恣意的に操作されるので

発注額が高騰し、公共工事であれば税金が余計に費やされます

また、入札額の何パーセントかはフィクサーの懐に入り

それが、公共工事を発注する側の政治家に還元されるという構図

そんなことがまかり通ってた時代。



この小説では、ラストで談合は悪だと断罪するわけですが

その後のことは書かれてません。

談合やぶりで、受注したとして

次回以降、談合やぶりの汚名は消えず業界から干された場合どうなるのか

そんなことを考えさせられます

いまでは、業界もジョイントベンチャーを組むなど、自助努力により

談合体質からの脱却を図っているようですが

本当のところはわかりませんね



 似たような話でオリンピックがありますね

オリンピックに巣くう電通のような腐れ企業が、フィクサーとして

森喜朗みたいなくされを使って、便宜を図らせた企業から

金をすいあげる、吸い上げるだけではなく、水増しした費用から

中抜きするわけですから、談合より質が悪い。



こういった連中を取り締まるのが検察ですからね

しっかりやってもらわないとですね





















コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする