水に降る雪

おもに宝塚、そして日々のこと

舞台「刀剣乱舞」禺伝矛盾源氏物語②

2023-03-22 | OG

光源氏の役は、あきらくん(瀬戸かずや・90期)でした。

発表があった時、あきらくん刀剣男士じゃないんだ、ちょっと残念って思ったのは私だけではないのでは

それでも出陣先が源氏物語なのでかなり大きな役なんだろうな、とは思いましたけど。

 

実際に観てみたら、めちゃくちゃヤバイ役でしたね~

そもそも光源氏自体、現代の感覚からしたらとんでもない犯罪者ですけど

気になった方は、今アーカイブ配信中なのでご覧くださいね

 

ところでタカラジェンヌの愛称は、たいてい本名由来か芸名由来なんですが、あきらくんはそのどちらにもあてはまらなくて

???ってなってる刀ステファンの方もいらっしゃるかもしれません

「あきら」という愛称を付けたのは同期の、まりもちゃん(蒼乃夕妃・あおのゆき元月組トップ娘役)。

あきらっぽい、という理由で付けた、のが定着したようです

あきらは「天使なんかじゃない」に出て来るキャラクターだそうです。

 

その、まりもちゃんは刀ステファンにはお馴染み、将軍義輝様役の中河内雅貴さんの奥様。

意外なところでつながってるものですね

以下ネタバレありますよ。何というか驚きの連続でした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始まりは平安時代に部隊が出陣すると、紫式部に頼まれて「源氏物語」の原書数冊を抱え、

物語の外へ行こうとして妖に襲われた小少将の君を助けるところから。

 

そこで知らされたのはその時代が源氏物語の世界に変わっていること、紫式部の願いは物語を破綻させること。

つまり物語を改変して矛盾を生じさせて破綻させれば、源氏物語の夢から覚められる、ということで、

いつもは歴史改変を阻止する刀剣男士が、物語を改変する側に回ることに

 

まずは情報共有が大事、というわけで源氏物語の概略の説明をしてくれますし、

お芝居の流れの中で、つまりこういうことだよね、と整理してくれるのでとても親切

雨夜の品定めとか、空蝉を口説くところとか好き放題言ってて、今の世の女性からするとムッとするところも、

彼らが代わりに憤慨してくれたり、ツッコンでくれるので、ちょっとホッとします

千年経っても変わらない絶望感はありますが

 

 

光君あきらくんが、よどみなく滑らかに滔々と口説き続けるのが何しろ凄い

悪いことをしているとは欠片も思って無いので始末に悪いです。

口説くのも空蝉の手を取って見つめるのも押し倒すのも、やることなすこと全部イケメンで腹立つ

あきらくんじゃなかったら許せんわこの場面だけを観てもリアル男子でなくてよかったなと思いました。

ドラマや映画ならまだしも舞台は生ですから余計ね

 

それにいちいち反応してツッコムのが、しゅうくん(汐月しゅう・90期)の南泉一文字で。

同期の掛け合いになってて、めちゃくちゃ間がイイので会場中に笑いが広がってました

 

 

物語を破綻させるために、中心人物である光君を殺そうとしますが、源氏物語に光君の死は描かれていないので殺せない。

そしてそれを光君も自覚していて、現実なら刀剣男士に敵わないだろうがこれは私の物語だから、設定も変えられると豪語、

虚構の世界に君臨するラスボス感が凄かったです

 

源氏物語に光君の死は描かれていませんが、欠落した41帖雲隠は前後の帖から光君の死が暗示されています。

ところが雲隠は章題だけの白紙の帖なので、内容は作者である紫式部の頭の中にしかないことから、

光君を殺せるのは紫式部だけではないか‥‥‥

ただ小少将の君がこの世界で弘徽殿の女御を演じていたように、

もしかしたらこの世界のどこかに紫式部がいるのではないか、と探すことに。

 

更に同じ様に光君を演じている男に成り代わることが出来れば、突破口が開けるのではと

力づくで成り代わるつもりで光君のところへ歌仙兼定(七海ひろき・89期)が行くと、

相手はあっさりお前に譲ろう!と代わってくれるんです

 

そこで光君でなくなった男にお前は誰だと問うと、

「私は誰でもない。取るに足らない、歴史の狭間で生きる者だ。」という驚きの答えが

更に、ただ紫式部様をお救いしたいだけだと。紫式部を救う?

 

そして歴史の狭間人まさかここでまた出て来るとは思いませんでした

一時的に歴史の表舞台にいたことがあっても、その後の消息が不明で歴史に埋もれた人、というような意味なのですが、

だからこそ、表面の歴史の裏で動きやすいので、時間遡行軍に利用されやすい。

織田信長の家臣だった黒人の侍弥助みたいに

 

小少将の君は、それらしき男のことを紫式部に聞いたのを覚えていました。

ある日紫式部を訪ねてきた源氏物語の熱列なファンのことを。

紫式部を神かなにかのように崇拝していて、会えたことをとても喜んでましたが、

心配なことが一つある、それは物語が嘘だ、ということだと

 

って、エエファンなのにそういうこと言うんだ、酷くない?と思いましたが、

実はそういう仏教の考えがあるようで、嘘は罪悪→嘘をつくと地獄に落ちる➝物語は嘘➝紫式部は地獄に落ちるとなるらしい。

それに対して紫式部は「物語は嘘。でも物語ることを知ってしまった以上止めることは出来ないので、いいんです」

 

山長毛さん(麻央侑希・94期)によるとそれはまるで、能などにある「源氏供養」だそうで。

地獄に落ちた紫式部が光君と自らの供養を僧に頼むという物語。

男には崇拝する紫式部が地獄に落ちて苦しむ未来が耐えられなかった

 

つまりはたった一人のファンの妄想に、時間遡行軍が手を貸して始まった暴走

いや凄いですね今の時代で言うならヤラカシ、厄介オタってところでしょうか?

作者が頼んだわけでも無いのに‥‥。

とはいえ男の方は紫式部に対して何の見返りも求めておらず、言わば無償の愛なんですよね


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