続き。ネタバレ全開ですよ。
その名も無き男に「物語はいつかは終わる」どうするつもりだ?と、一文字則宗(綾凰華・98期)が尋ねると、
いつまでもこの世界が続くとは思っていない。だからこの源氏物語の世界がある間に、
自分は光源氏として生き、光源氏として死ぬつもりだと答えます。それから地中深く骨を埋めるのだと。
その骨が遥か未来に発見された時、物語は歴史になり、そうすれば紫式部様は地獄に落ちないで済む、と
「嘘を本当に、物語を歴史に」
トロイの遺跡が発見されて伝説が歴史になったみたいに
なんか急に話のスケールが大きくなったというか壮大に。
そしてもの凄く気の長い話だな~
部隊がこの時代に来た時、そこが物語の世界に変わっていると認識出来ていたのは大元である光君と、小少将の君、
多分藤壷女御、それに六条御息所だけでした。
本編でない隙間の時間(=行間)になると正気を取り戻し、物語の外へ行こうとした小少将の君。
式神を使ってそれを阻止しようとした六条御息所。
六条御息所はなぜそれを認識でき、そして光君を演じている男に協力するのかわからなかったのですが、
のちに六条御息所を演じていたのは中宮彰子とわかります。
物語の他の登場人物たちも、次第に自分が物語の中の人間だと理解できるようになっていき、
光君への恨み言やら、自分の設定に対する文句や愚痴を言うようになっていくのですが、
刀剣男士たちが来た時点で物語には矛盾が生じ、破綻が始まっていたから、のようでした。
歌仙兼定(七海ひろき)や大倶梨伽羅(彩凪翔・92期)が、一時的に光君に成り代わったのも影響したのかもしれません。
(そのくだりは同じ光君でも個性が違っていてだいぶ面白かったです)
まあそもそも源氏物語の中に刀剣男士は存在しないですからね
一文字則宗と山長毛(麻央侑希・94期)に、藤壷女御を演じていた紫式部が、
物語の登場人物に現世と同じ様に、苦しみ悩み争いそして死を与えたことに対する後悔を話します。
物語ることを知った以上物語ることをやめることは出来ないと言っていた紫式部なのに
小説や漫画、映画・演劇など、物語ることをやめられない創作する人たちの業、のようなものを感じました
末満さんもそんな後ろめたさのようなものを感じることがあるんだろうか、なんて。
凡人には到底わからないですけど
それに対して彰子は物語への憧れ、源氏物語への熱い想いを少女のように目を輝かせて話すんですが、
それは現代に生きる少女たちと少しも変わらないんですよね
紫式部も中宮彰子も、現世の様々な制約や呪縛から自由になり、世界に空想を広げられたから物語を愛した。
でもそれは女性だけに限ったことではありません。
中宮彰子も源氏物語のファンだからこそ、光君を演じている男に共感してしまったのかもしれない。
そんな素晴らしい世界を私たちに与えてくれた、作者である紫式部が悩み苦しみながら
心を残しながら亡くなって行ったことが残念で仕方がない、と言う彰子。
って、エエッ今なんて
つまり源氏物語に変わる前の世界は源氏供養の世界で、どちらも現実(=歴史)ではない物語の世界、ということに
刀剣男士が歴史を守るために存在するように、六条御息所たちは物語を守るためにいるのだと
藤壷女御(=紫式部)の死を経て最後の戦いの場面に。
式神や時間遡行軍との闘いですが、いつものように刀剣男士一人ずつの殺陣の見せ場になります。
劇中に出て来るセリフの中には、ゲーム内で使われるているものがちょいちょいあるんですが、
戦闘シーンでは特に、ゲーム内で使われるセリフがてんこ盛りこんなにあったかなって思うくらい色々出て来ます
それに刀剣男士それぞれの殺陣は、刀種や逸話などの背景を反映していて個性があるので、
実際にゲームをやってみるとそれがわかって楽しいです
そして「雲隠」の帖での光君との最終決戦へ。
「雲隠が何もない物語なら、僕たちが語ってやろうではないか。物が語る、ゆえに物語と言うだろう!」
そう言い放ち部隊を率いて出陣していく歌仙兼定がカッコ良すぎ
そして迎え撃つラスボス光君あなた優雅な平安貴族じゃなかったの?
白いお衣装がなんか中華っぽかったです。「蘭陵王」の、かちゃ(凪七瑠海)のお衣装を思い出しました。
物語の世界が崩壊に向かっているとはいえ、さすが源氏物語の主人公。
刀剣男士の部隊全員を相手にしているのに一歩も引かない
それでも一人対六人ではさすがに分が悪く、次第に追い詰められていく光君。
歌仙兼定は最後のとどめを刺そうとして、突然止めてしまいます。
光君を演じている名もなき男がやろうとしていたことを思い出したから。
光君がここで華々しく死ぬことは、彼にとって計画通りだから
そこへ光君と関わった女性たちが現れ、恨みつらみを述べて殺そうとしますが殺すことができません。
恨んでいてもやはり光君を愛しているから。それでこそ「源氏物語」なのでしょう
最後に光君の元へ来た若紫にも出来ないと言われますが、愛するお前に殺されるなら本望だ、さあ、
と殺させようとするのがね~自分の望みのために幼い子どもも利用しようとする男にってなりました。
それは歌仙くんも同じ気持ちだったようで、結局最後のとどめを刺したのは歌仙兼定でした。
光君を演じていた男が死んだことで、役目を終えた女たちは消えていきます。
でも、それで終わりではありませんでした残っていた時間遡行軍が現れて男の遺体を持ち去ったのです
あっという間の出来事で、歌仙くんは追おうとはせず行かせてやります。
それに対して山長毛が「あの男に同情したのか」と僅かに咎めるような言い方をするのに、ちょっとヒヤッとしました。
歌仙くんは「土の下にはいろいろなものが埋まっている。」古代の神話から土地土地の伝説まで。
源氏物語が埋まっていたとしても大したことではない、と言い切るのが面白かったです。
まあ確かにそうかもしれません。今でも地方の蔵から新しい史料が発見されたり、
つい先日も4世紀くらいの古墳から、国宝級の蛇行剣と盾型の鏡が発見されて驚かされましたからね
ただ研究者の一人が、もし発見の経緯を知らなくて、その物だけ見せられたら偽物と鑑定するだろう、と話してましたから
真贋を見究めることは簡単ではないようです。
最後にもし自分たちのいる世界が(現実ではなく)物語だったらどうするか?と大倶梨伽羅に問われた歌仙くんは
源氏物語がそうであったように、この物語に心を寄せてくれる人たちがいるはずだから、それに報いたい、と答えます。
「僕は文系名刀だからね、風流の何たるかを教えてあげるよ!」
鶴丸国永が无伝で、三日月宗近にこの戦いが永遠に終わらなかったらどうする?気が狂わずにいられるか?
と訊いていたのを思い出しました
舞台を観ている私たち審神者が、彼らに終わりのない戦いを強いているのだと思うと、胸にちくっときます
そして時の政府もなかなか胡散臭い
源氏物語の世界に出陣した部隊が、実験用の擬似本丸だということが初めの方で明かされていて
「」ってなりました。
更に元々持っていない逸話が付与されていて(そ、そんなことが出来るとは)
歌仙兼定は細川忠興から妻ガラシャに譲られたという逸話、
大倶梨伽羅には伊達家に渡らず、徳川将軍家にあり続けたという逸話が
二振りとも戦いの中で本来の逸話を思い出し、結局元からある逸話の方が強いという結果に。
それを観察しているのが、一文字一家で彼らも本来無い別の刀剣男士の逸話を付与されますが、
刀としての逸話の他に一文字一家であることが彼らのアイデンティティの一つであるために、
惑わされることがなかったようです。
なんか闇ですよね
これからの展開に目が離せないです。