電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

世界が沈む

2009-01-01 00:16:51 | 政治・経済・社会

 2008年の10大ニュースは、いろいろな方面でいろいろ取り上げられているが、私の印象でいえば、「毎日jp 2008年重大ニュース」がいちばん納得させられる内容だと思った。それによれば、1位が「米リーマン経営破綻 金融危機」で、2位が「次期米大統領にオバマ氏」、3位が「小室哲哉容疑者を逮捕」となっている。これは、日本だけでなく世界も含んでいるが、私たちはもう世界も日本も区別のない時代に入っていると言える。もちろん、4位「麻生内閣誕生 福田首相から交代」とか5位「東京・秋葉原で通り魔 7人死亡」というのも大きな事件であり、以下6位「厚生年金、供与記録改ざん相次ぐ」、7位「北京五輪閉幕 日本は金9個」、8位「ノーベル賞に日本人計4氏」、9位「ゴルフ17歳石川、賞金1億円」、10位「中国製ギョウザに殺虫剤混入」と続いている。

 ところで、「米リーマン経営破綻 金融危機」は、9月16日夕刊の記事で、米メディアによると、負債総額は6,130億ドル(約64兆3600億円)で米史上最大だという。もちろん、米国市場最大だということは、おそらく世界最大だと思われる。ほとんど日本の国家予算と同じ規模の負債がどんなに大きいのか、私には実感がわかない。ただ、こうしてアメリカから起こった金融危機は、その後世界を席巻し、ついには、トヨタの赤字までに発展した。これまで、世界的に超優良企業といわれていたところが、軒並みダメージを受けているのが、危機の深刻さを示しているとも言える。

 日本は、すでにバブルの崩壊の経験をしていて、バブル崩壊後のデフレの時代を入っている。今、世界がこれから、かつて日本がたどったデフレの時代に突入していくものと思われる。そして、かつては日本だけが低金利になっていたが、これからは、世界中が低金利時代になる。それが、どんなことを意味するのか、本当のところはよく分からない。アメリカも欧州も韓国や中国も日本の円に対して急激に安くなっている。トヨタをはじめとする、これまでの日本の優良企業が赤字になっていくのは、アメリカ、欧州、中国やアジア市場の冷え込みと同時に、円高のせいでもある。もちろん、輸入産業は、おそらく利益を上げていくに違いない。

 2009年がどんな年になるかは、本当に難しい。この世界の不況は、日本のチャンスかもしれないが、世界不況の大きさゆえに、日本も巻き込まれていってしまうのかもしれない。そんな中で、私たちは、どんな立場をとればいいのだろうか。かなりの優良企業に内定していた学生が内定を取り消されたり、トヨタをはじめとした大企業が非正規雇用者を解雇し始めたりしている。現在、内定の取り消しや、非正規雇用者の解雇が問題になったのは、今のところ企業の危機というより、さしあたりの赤字への対処としての処置である故に、問題になっているとも言える。なぜなら、倒産ということになればそうした問題など吹っ飛んでしまうからだ。

 そのためか、一部の知識人たちは、内定の取り消しや非正規雇用の解雇は、やむを得ない必要悪として考えているだけではなく、マスコミで大きく騒がれること自体を問題にし始めている。しかし、必要悪と思うのは、私たち一般大衆ではない。それは、そうした決断をした企業がそう思っているだけだ。正規雇用者でなければ、解雇してもいいということはあり得ない。おそらく、企業から見れば、正規雇用者を解雇するときより、コストが少なくて済むからである。場合によれば、次は正規雇用者になって行くに違いない。私たちは、今や、日本国内に、海外に行かなくても安い労働力がどんどん増加していることを知るべきだと思う。

 おそらく、世界の不況は、日本の中では、これまでに少しずつ拡大してきた格差をさらに大きくさせるのではないかと思われる。勝間和代さんの新しい本の題は、『起きていることはすべて正しい』(ダイヤモンド社/2008.11.28)であり、これもベストセラーになるに違いない。勝間さんの考え方によれば、おそらく多分、非正規雇用者になって、今年の決算までは飛ぶ鳥を落とす勢いのトヨタに行き、1年ごとの契約で雇われていたのに、今回予想に反して解雇されて行き場を失ってしまった人は、そうなる必然があったということになるのだと思われる。それは、必然であって、正しいということではない。正しいというのは、勝間さんの価値判断に過ぎない。

 だから、「起きていることはすべて正しい」というのは、自分のやった結果がどうなったかということについて語るときは、そのように考えるべきだとしても、誰か別の人の人生については、必ずしもそうではないと考えるべきだと思う。なぜなら、そうでないとCHABOのような活動をしなければならない必然性はないことになる。私は、勝間さんもそうだが、大前研一さんの場合も、これからどうなるかということの分析は実に的確なのだが、そこに巻き込まれている人たちのとらえ方にいつも不満がある。なぜなら、資本主義社会の中で、成功するかしないかは、どうしても偶然の要素がかなりあるからだ。ある意味では、その人が持って生まれた宿命みたいなものがあり得るのだ。

 2009年は、日本経済がどうなっていくかということと同時に、世界経済の動きを押さえながら、私たちの生活がどうなっていくかということをもう少しじっくりと考えてみたい。安倍内閣から福田内閣になり、そして現在の麻生内閣になった自民党の政治が、なんだがとてもばからしくなって、何か言ってみようという気持ちまで萎えさせられてきて、ここしばらく経済や政治のことはあまり考えてこなかった。アメリカのオバマ新大統領を中心としたアメリカ経済も含めて、じっくり考えて見たい。2008年の重大ニュースを振り返りながら、そんなことを思った。

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