奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

昼の散歩 大和民俗公園

2021-05-28 21:19:16 | 奈良散策
奈良散策 第101弾


5月26日の午後から、以前も行ったことのある大和民俗公園に行ってみました。









今頃が見ごろの花で、サラサウツギというそうです。





こちらはキンシバイ



虫の姿はあまり見なかったですね。とりあえず、シオカラトンボを撮りました。



続いて、ハラビロトンボ





それから、ジガバチ。こんなところかな。







これはたぶん、ヨシノアザミ



それから、また、シオカラトンボ



アサマイチモンジ



シオヤトンボもいました。



キショウブに来ていた真っ黒なハチ。これはたぶん、タイワンタケクマバチ



そして、これはモンキチョウ



トイレに行ったら、壁にコスズメが止まっていました。こっそり、パチリ。











コゲラの声をあちこちで聞いたのですが、やっと写真が撮れました。でも、暗い所で撮ったので、今一つかな。最後はばっちりピントが合ったのですが、顔が隠れてしまいました。







これはツツジ科ですね。家に戻ってから調べてみると、どうやらネジキのようです。

この日の収穫はコゲラだけだったかもしれません。思ったより、鳥の声も聞こえなかったし、虫も少なかったし。理想的な林だと思っていたのですが。

朝の散歩 佐保川周辺

2021-05-27 20:41:53 | 奈良散策
奈良散策 第100弾


5月24日朝の散歩のときの写真です。この朝は雨が降っていなかったので、思わず散歩に出かけたのですが、途中から黒雲がやってきたので、慌てて家に戻りました。だから、30分くらいの散歩でした。





天気がそれほど良くなかったので、この日は植物を撮ろうと思って歩きました。最初に見つけたのがこのシロザでした。







それからこのイネ科です。最近、イネ科の図鑑を買ったので、分からない種がないかとイネ科を探すようになりました。これはよく分からないので、一株持って帰って、顕微鏡で見たら、見覚えのある花でした。そう、この間調べたクサヨシでした。



こんな田んぼや養魚池の多い環境なら、トンボがうじゃうじゃと思っていたのですが、シオカラトンボですら少ないです。貴重な一匹なので、撮りました。





この間、布をかぶせてあったところの布がみな取り外されていました。イネの苗ですね。こんな風に育てるのですね。



これはフタモンアシナガバチ。アシナガバチはこれしか見てませんね。



そして、やっと蛾を見つけました。ウンモンオオシロヒメシャク



それから、モンシロチョウ



短い時間だったのですが、ちょっとだけ佐保川にも行ってみました。佐保川の土手は今、工事中で入れませんでした。それで、地蔵院川に行き、そこから佐保川土手を見ていたら、セッカが止まりました。今頃、セッカはどこにでもいる感じです。

雑談)写真が溜まって溜まってどうしようもなかったのですが、慌ててブログに出したおかげで、やっと一昨日の分まで終わりました。最近は梅雨で散歩に出られないので、何とか追いつきました。でも、大和郡山市で見た鳥が67種で止まっています。それで、昨日は理想的な林があると思っていた大和民俗公園に行ってみました。カメラを持っていた方にお聞きすると、カラ類、キビタキ、キクイタダキ、アカハラ、キジ、トラツグミなどが見られ、オオルリやクロツグミも見られるかもしれないとのことでした。でも、歩いた感じだと鳥の姿はほとんど見かけませんでした。なかなか増えそうにありません。そういう意味では、虫も少ないですね。チョウとトンボが共に50種くらいは行くと思っていたのですが、このペースだと、蝶はせいぜい30種、トンボは15種がやっとかもしれません。もっといい場所がないかなぁ。

朝と昼の散歩で見つけた虫 ハチ目

2021-05-27 16:39:21 | 奈良のむし探検
奈良のむし探検 第20弾


5月23日の朝と昼に出かけた散歩で見つけた虫の続きで、ハチ目です。ハチ類は田んぼの畔で、タンボボやハルジオンなど花がいっぱい咲いている場所で見つけました。ハナバチが多いので、「日本産ハナバチ図鑑」を見ながら、何とか名前を調べようとしたのですが、やはり採集しないと何ともしようのないことが分かりました。それで、推測だけで決めた名前をつけておきます。たぶん、間違っていると思います。



最初はフタモンアシナガバチです。





ここからがよく分かりません。翅脈を見たのですが、肝心のところが写っていません。何ともしようがありません。たぶん、ヒメハナバチ科ではないかと思っています。





これは顔面に黄色の部分があり、後脛節の半分が暗色になっています。これはムカシハナバチ科メンハナバチ属♂の特徴です。わずかに見える顔面の黄色のパターンからヤマノメンハナバチかなと思ったのですが、まったく怪しいです。





これも後脛節の半分が暗色で、顔面に黄色の部分があるので、ムカシハナバチ科メンハナバチ属♀だと思われます。この顔面のパターンから初めヒメメンハナバチを思ったのですが、腹部の節に毛があるところが合いません。顔がやや長いので、ホソメンハナバチ♀かなと思ったのですが、これも怪しいです。





これはたぶん、アカガネコハナバチ







顔に黄色の模様があるのですが、後脛節全体が黄色なので、たぶん、ツヤハナバチの仲間です。腹部に淡色部があり、その模様からキオビツヤハナバチかなと思いました。



最後はアリ。ピントが甘くて細部がよく分かりません。全体の印象は以前調べたことがあるトビイロケアリかなと思ったのですが、これもよく分かりません(以前はハヤシケアリだと思ったのですが、これがトビイロケアリではないかと思っています。トビイロケアリについてはここにも書きました。ただ、樹上性なので違うかもしれません)。ケアリの検索には触角の立毛の数を数えないといけないので、大変だったことを思い出しました。

朝と昼の散歩で見つけた虫 ハエ目

2021-05-27 12:06:41 | 奈良のむし探検
奈良のむし探検 第19弾


5月23日の朝と昼に田んぼの畔で探した虫の写真です。もうだいたい全部を出したのですが、ハエとハチが残ってしまいました。どちらも採集必須の虫たちなので、写真だけだとなかなか分かりません。でも、できる限り調べてみようと思って、朝からうんうんうなりながら調べています。まずはハエ目からです。



最初はアシナガバエの仲間です。この仲間は綺麗なのですが、なかなか大変な仲間です。アシナガバエはとりあえず翅脈を見ます。



以前はマンションの廊下で撮っていたので、うまく撮れていたのですが、野外だと風が吹くので、なかなかうまく撮れません。拡大するとこんなぼやぼやの写真になっています。この写真からなんとか情報を取り出します。写真の明るさを変え、コントラストを増すと翅脈が少しはっきりしてきます。この仲間については、双翅目談話会の機関紙「はなあぶ」に翅脈の写真が載っていることを以前教えてもらいました(田悟敏弘、「関東地方にて採集したアシナガバエ科のの記録」、はなあぶ No. 30-2、1 (2010))。アシナガバエ科に特徴的な翅脈がM1+2脈と呼ばれる脈です。この脈がまっすぐだったり、前方に少し曲がっていたり、ほぼ直角に折れ曲がっていたり、二つに分岐したりと様々です。この写真の個体は前方にほぼ直角に曲り、その後、翅縁に向かってR4+5脈にほぼ平行に走ります。こんな翅脈を持っているのは、アシナガバエ亜科のDolichopus(ナミアシナガバエ属)です。「日本昆虫目録第8巻」によると、この属には4種が載っているのですが、中村剛之、「『日本昆虫目録 第8巻 双翅目』の出版と日本産双翅目相の解明度について」、昆蟲(ニューシリーズ) 19, 22 (2016)によると、アシナガバエ科の種の解明度は10-50%。実際、感覚的にも無数の種類がいるような感じさえします。なお、この仲間については先日、顕微鏡写真を出しました。この時と同じ種かもしれません。



これもアシナガバエ。



先ほどの種と比べると、M1+2脈が僅かに前縁側に曲がって、R4+5脈とほぼ平行に翅縁側に走っています。M3+4脈が大きく後縁側に曲り、また、m-m脈がかなり翅の基部にあります。こんなところを手掛かりに、田悟氏の翅脈の写真と見比べると、Hercostomus, Gymnoptemus, Chrysotus, Syntormon, Rhaophiumなどの属がよく似ていることが分かります。これについては以前も検討したことがあります。この時はChrysotusが一番近いとしていたのですが、根拠ははっきりしません。



春の頃からよく見ていたヒゲナガヤチバエが今頃もいっぱいいました。



これはホソヒメヒラタアブだろうと思います。





問題はそのすぐ横にいたこのハエです。これも翅脈を見てみました。特徴的なのはsc切目とR1脈が翅の前縁に達するところが結構距離が離れていることです。sc切目はSc脈が前縁に達するところなので、これだけ離れているというとSc脈がほぼ直角に前縁に達するミバエ科が思い浮かびます。そこで、ネットで調べたのですが、似たような種に違う名前が当てられていて判断がつきません。そこで、ミバエ科の論文を少し探してみました。

M. Yaran, "Two new records of fruit flies (Diptera: Tephritidae) for the fauna ofAksaray and Mersin provinces", Turkish J. Zool. 39, 1056 (2015).(ここからダウンロードできます)

この論文に翅のパターンが載っていました。翅脈と翅の模様を比べると、Eisina sonchiという種が似ている感じがしました。これは、日本でも見られていて、ノゲシケブカミバエという名前が付いています。ネットを見ると、この和名で似た写真を出しているサイトがいくつかありました。たぶん、これかなと思っています。



これはハルジオンにいたニセケバエ科です。写真を見ると分かるように大変小さなハエです。これもピントが合っていなくてどうしようもないのですが、とりあえず、翅脈を見てみました。



何とか読み取ることができます。特徴はRs/R4+5脈が翅の中央くらいまでしか伸びていないこと、M脈の基幹部が短く、その後、M1とM2に分岐した部分が長くなっていることなどが読み取れます。



実は以前、ヒメジョオンにいたニセケバエの翅脈を調べたことがあります。この時の翅脈と比べると、今回のニセケバエの翅脈はよく似ています。この時はニセケバエ亜科のナガサキニセケバエ族まで到達して、そこで止まっていました。「日本昆虫目録第8巻」を見ると、この族にはCoboldiaとSwammerdamellaという2つの属が載っています。Manual of Nearctic Diptera (MND;ここからダウンロードできます)という本があるのですが、それを見ると、この両者の区別をつけることができます。詳細は省略しますが、この写真の個体はCoboldia属かその近傍だと思われます。この属には有名な害虫であるナガサキニセケバエ Coboldia fuscipesというのがいます。この種については、先ほどのMNDに翅脈のスケッチが載っています。比べてみると、M脈の基幹部が本種の方がやや短いなど、少し気になるところもあるのですが、大まかには大変良く似ています。たぶん、ナガサキニセケバエか、その近傍だろうと思われます。なお、中村氏によると、ニセケバエ科には5属6種が記録されていて、解明度は20%程度となっています。未記載種が多いのですが、全体でも30種くらいなので、それほど多くはなさそうです。





これもホソヒメヒラタアブ



それから、また、ヒゲナガヤチバエ





最後はヨシノアザミに止まっていたアブです。市毛 勝義氏の、「はなあぶの世界」を見ると、シマアシブトハナアブ♀がよく似ています。

これでハエ目は終わりです。残りはハチ目。これがまた大変。

朝と昼の散歩 カメムシ、バッタ、クモなど

2021-05-26 21:11:51 | 奈良のむし探検
奈良のむし探検 第18弾


5月23日の朝と昼に出かけた散歩のときに撮った写真の続きです。この日はムスジイトトンボを写しに出かけたのですが、肝心のイトトンボがほとんど見つからなかったので、田んぼの畔で虫探しをしました。今回はカメムシ、バッタ、クモなどです。





最初はこんなカメムシです。結合板が緑色なのですが、後脚腿節内側が暗色なので、たぶん、ブチヒゲヘリカメムシだと思います。(追記2023/02/12:色合いからコブチヒメヘリカメムシではないかと思います



ネットで探したのですが、ツユムシの幼虫みたいです。



これはハナグモ



ハルジオンの花にいるニセケバエを写していたら、知らない間に写っていました。アザミウマの仲間です。アザミウマについては、全国農村教育協会の「農作物のアザミウマ」しか手元にありません。これは農作物につくアザミウマだけなので、ハルジオンまでは載っていないだろうなと思ったのですが、最後に「作物別加害種一覧」が載っていました。ハルジオンはなかったのですが、同属のヒメジョオンは載っていて、キイロハナアザミウマ、コスモスアザミウマ、ハナアザミウマ、ミナミキイロアザミウマの4種が載っていました。写真がよくないし、検索表もないので、これ以上は調べられそうにないですね。



これはシラホシカメムシ







バッタの幼虫を捕まえているこのハエトリは少し迷いました。「日本のクモ」、「ハエトリグモハンドブック」、さらには、「한국의 거미(韓国のクモ)」まで見たのですが、どうも確信が持てません。でも、たぶん、ヤハズハエトリ♂ではないかと思います。



これはセスジではなく、ヒメナガカメムシの方だと思います。





これはたぶん、ホソハリカメムシ



これは何イナゴか分かりませんが、幼虫です。





最後はヤハズハエトリ♀です。

残りはハエとハチが残っていますが、どちらも採集をしないで写真だけだと判断が難しい連中です。でも、頑張ってみます。

雑談)今朝は曇っていて、気温もやや低め、鳥も虫もあまりいませんでした。でも、帰ろうかなと思ったときにジャガイモの葉にイトトンボが3匹止まっているのを見つけました。寒いのかじっとしているので、接写で撮り、家に戻ってから調べてみました。実は、そのうち一匹が探して求めていたムスジイトトンボ♀でした。もう一匹はアオモンイトトンボ♂、もう一匹はセスジかムスジの若い個体のようでした。午後からは大和民俗公園に行ってみました。林アリ、池アリ、野原アリ、湿地アリと虫探しには絶好の地なのですが、どういうわけかチョウも少ないし、トンボもほとんどいないし、虫がほとんどいません。鳥もウグイス、キビタキ、メジロ、シジュウカラあたりが鳴いていただけで、いたって静かなものです。近くに矢田丘陵もあるのに、どうしてこんなに何もいないのだろうと、かえって不思議に思いました。でも、コゲラの写真が辛うじて撮れ、大和郡山市で撮った鳥は67種になりました。